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神と悪魔

「それにしても、いったいどういう心境の変化よ。

諦めたんじゃなかったの?」


「最初は自殺してこれ以上、俺に囚われないようにするつもりだったんだが、それを禁じられたからな。

それに、あいつにも幸せになって欲しい」


「そう、でも勝算はあるの?

フリッグたちですら手も足も出ないんでしょ?」


「それについては、帰ってからだな。

手を貸してくれるか?」


「当然」


さて、アリスはまだいいとしても、フリッグは立ち直れているか……

この戦い、フリッグ抜きでは勝つことなんてできないだろう。

かといって、無理矢理戦わせたとしても、すぐに折れてしまうようでは話にならない。

残り3日、立ち直ってくれよ、フリッグ。



「で、いったいこれは何のつもりだ?」


帰ってきた途端に捕縛。

指一本すら動かせない。


「そんなの、レンが勝手に殺されに行かせない為です!

先程は不覚にも驚いてしまいましたが、私とレン、それに皆もいます。

私一人で勝てなくても皆なら勝てます!」


立ち直ってる?

少なくとも空元気というわけじゃない。

これは嬉しい誤算だが……


「アリスは何も言ってないよ。

元気だけが取り柄だから、立ち直りも早いんだよ」


「む、取り柄だったら他にもあります!

家事全般はレンから太鼓判を貰えるほど得意なんですよ」


戦いを挑んだとはいえ、未だに舞花に勝てるとは思わない。

だが、こいつらとらなら……


「フリッグ、早く拘束を解け。

舞花との戦いまであと3日しかないんだ。

それまでに、作戦をきめるぞ」


「はい!」



「まだ、起きてたんですか?」


「ああ、ちょっと眠れなくてな」


「駄目ですよ、今のレンは不老不死でもなんでもないんですから。

きちんとした生活を送らないと体調崩しますよ」


「そうだな、おとなしく寝るとするか

明日も忙しくなりそうだしな」


「その役目はレンにしかできないんですから、しっかり英気を養ってくださいね。

それじゃあ、おやすみなさい」


「……フリッグ、ちょっと待て」


「どうしたんです……か!?」


いつもは、妹として家族としてしか見えないこいつも、こうやって抱きしめるとやっぱり女なんだと実感するな。


「あ、あの、レン?

これってそういうことなんですか?

これから美味しくいただかれちゃうんですか?」


「そうだと言ったらどうする?」


「ちょ、ちょっとまってくだひゃい!?

ま、まだ心の準備が……!?」


神の中でも最強の存在、だが、脆弱な人間である俺の腕の中で必死に抜け出そうとしている。


「あ……」


強く抱きしてめてやれば、抵抗もなくなる。


「あの……ですね、私、いつも苛めてほしいとか言ってますけど、やっぱり最初だけは優しくしてほしいというか……

で、でも、苛めて欲しいっていうのは嘘じゃないですよ!

レンに滅茶苦茶にされているところを妄想して……」


愛おしい。

もう、誤魔化しようなんてない。

俺の腕の中にいる存在が、神であろうと関係なく、1人の女として。


「フリッグ、もし、舞花に勝って、全部終わったら話がある」


「……それは、期待してもいいんですか?」


「どうだろうな?

そもそも、あんなことを言いはしたが舞花に勝てるとは思えない。

あいつの強さは絶対だ、指一本でこの世界を壊すことだってできる」


「レンは最後だから、こんなことしたんですか?」


「さぁな、気が付いたら抱きしめてた。

そうなのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

だが、勝てるとは思えなくても、負けるつもりはない」


例え、奇跡が起こらなければ勝てないとしても、必ず舞花を連れ戻す。


「レン、私頑張ります。

絶対に勝って、話の続きを聞かせてもらいます。

だから、絶対に勝ちましょう」


「ああ、勝つぞ、フリッグ」



「約束の期日ですが、答えは変わりませんか?」


「ああ、勝ってお前を連れ戻してやる」


「……そうですか、では、小手調べと行きましょう。

どうか、私に辿り着く前に終わらないでくださいね」


そういえば、舞花と本気で喧嘩するなんてこれが初めてか。

いつも、身を引くふりをして俺にとって良い方向へと導いてきたからな。

いつでも、あいつは正しい。

だが、例え間違いだったとしてもこれだけは譲れない。


「いきましょう、レン」


「ああ、勝って帰るぞ」


side アリス


「ん、始まったみたいだよ」


「それにしても、何度見ても壮観ね。

よくも、国中の戦力を集められたものね」


いろいろ、弱み握ってるからね。

お姫様も山ほど貸を作ってるからそう簡単に断れないし、断れない建前の理由も用意してたし、お兄ちゃんならこれくらい簡単にできる。

そういう黒いところはお姉ちゃんたちには知られたくないらしいから、これを知っているっていうか協力者であるアリス、ちょっとだけ優越感があるんだよね。


「これくらいしないと話にならないってことだよ。

そもそも、人数集めたってあの人に直接挑まれたらそれまでなんだけどね」


「でも、それはないんでしょ?

というか、前の世界の記憶を見たけどあの兄弟仲良すぎるのよ。

お互いの考えてることが分かるって兄妹の枠組み超えてるっての。」


「まぁ、お兄ちゃんはシスコンだしね。

そんな素振り見せなくても、いつも目を光らせてるから」


「それって、私たちにも当てはまるのかしら……

なんだか、複雑な気分ね」


そうはいっても、ミナお姉ちゃんだってお兄ちゃんに盗聴器を仕掛けたときはのりのりだったんだよ?

アリスたちもやってることはお兄ちゃんと変わらないんだよね。


「これも惚れた弱みかしらね。

それにしてもこれを見て動じなくなった私を褒めてやりたいわ」


「うん、アリスもここまでやるとは思わなかったよ」


空を埋め尽くす神と悪魔の軍勢。

お互い争うわけでもなく、一ヶ所に向けて進行してる。


「そもそも、悪魔って神が滅ぼしたんじゃないの?」


「あの人が蘇らせたんじゃない?

お兄ちゃんもできないことはないって言ってたし」


「本当に滅茶苦茶ね……」


「それでも、お兄ちゃんの期待には応えないとね。

ベルゼム、用意は良い?」


「我、力を思い知らせてやろう」


準備は万端、相手に不足はなし、気分は最高潮


「さぁ、明けない夜の始まりだよ」


この日の為に世界各地に刻んできた刻印を順次発動。

この世界全てを覆い尽くす『月の庭』

これで一定以上の力を持たない神は抑えが効く。

でも、しっかりと止めは刺さないとね


「ベルゼム、大きいの行くよ」


「任せておけ」


この世界の核である月とベルゼムを融合。

誰に許可を貰って空を飛んでいるつもりなのか知らないけど、この世界の神であるアリスが許さない。


「這い蹲れ、『月竜の咆哮』」


side out



「あれが、アリスの本気か……」


強いことは知っていた。

だが、実際にこうやって目の当たりにすると俺の認識がどれだけ甘かったか毎回思い知らさせれる。

神や悪魔が殺虫剤を撒かれ息絶えていく蟲のように墜ちていく。


「あれなら、敵戦力の大半は引きつけられそうですね。

私たちは予定通り、舞花さんを叩きに行きましょう」


「アリスたちの頑張りを無駄にしない為にも急ぐぞ」


大まかな作戦は、アリスを筆頭に国中の戦力を集め敵の戦力を引きつけ、その隙に俺とフリッグで舞花を倒す。


「それにしても、どうして舞花さんが直接こないって分かったんですか?」


「あいつは俺を直接殺すことなんてできないんだよ。

俺が自ら殺されようとしているならともかく、今の俺を殺せるような非情さなんて持ち合わせてない」


そもそも、舞花が俺を探すのに手間取るなんてことがありえないんだ。

おそらく、間接的にとはいえ、俺を殺したショックで呆然としていたんだろう。

半年以上もの間、そのことに気付かない程、落ち込んでいた。

2度も、そんな思いをさせるわけにはいかない。


「あいつに言ってやりたい事がある。

それで、止まってくれるか分からないが、俺たちが勝つ方法はそれしかない」


「大丈夫です、舞花さんがレンの義妹ならきっと届きます。

私が絶対に届かせます!」


「頼むぞ、フリッグ」


待ってろよ、舞華。


やっと、やっとレンがデレました! (。・・。)ポッ


でも、いちゃいちゃはお預けΣ(・口・)


フリッグ涙目です (ノ_・。)


というわけで、ヒロインはフリッグ、やっぱり王道っていいですよね。


ミナとアリスについては本編終了後、舞花が現れなかったらというIFの物語で書こうかと思っています。(気力が残っていれば……)


そんなこんなで、前哨戦開始、アリス無双です!


ミナや、フリュネなどの活躍も……あるといいなぁ


それではまた次回(。・ω・。)ノ~☆'・:*;'・:*'・:*'・:*;'・:*'バイバイ☆



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