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ニダヴェリール その⑨ 最後の願い

side アリス


「な、なんだあれは……!」


「あぁ、そういえば居たんだったね。

もう、貴方の役目は終わりだから消えていいよ。

今まで、御苦労さま」


「ふ、ふざけるな!!

私が今までこの時の為にどれだけ金と時間をかけたと思っている!!」


「知らないし、どうでもいいけど、貴方は利用されていだけ。

貴方が何をしようとしていたかなんて、ここの長はとっくに気づいてること知ってた?

リースの周りにいた人たちは、護衛目的じゃなくて貴方が失敗した時の為にかけていた保険なんだよ。

制御できない力なんて害悪以外の何物でもないしね……っと!?」


「消してやる、ミーア姉さんを苦しめるもの全てを消してやる!」


これは、神獣クラスの力はあるんじゃなかな?

『月の庭』は対神用の世界だけど、この世界にある穢れは神じゃなくても侵食する。

むしろ、神力という清純を纏っていない分、精神も肉体も侵食されやすいはずなのに、ものともしてない。

伊達に何千年も生きてないね。


「アリスは貴方なんてもう何の価値もないし、死んでもらってもいいんだけど、お兄ちゃんが変に責任感じちゃうからね。

一応、助けてあげる。

その後は、牢獄いきだろうけどね」


「ふざ、うぐっ……」


まったく、変に欲を出すからこんなことになるのに。

どうして、慎ましく生きられないのかな?


「さて、それじゃ、そろそろアリスの方から行くよ!」


「消えろ!」


side out


side ミーア


「あれが、リース……なの?」


信じられない。

だって、昨日まで普通に話して、一緒にご飯食べて、いつも通りだったのに……


「全て消えてしまえ!」


「~っ、ちょっとからかいすぎたかな?

危うく、死なせちゃうとこだったよ。」


「貴方は、いったい……」


こんな幼い少女が、この夜を作って、あの竜と戦っているなんて誰もが信じないだろう。

自分の体よりも大きい魔力弾を易々と相殺し、比べ物にならに程巨大な竜を地に堕としている。


「ふぅ、格下相手にちょっと本気だしすぎちゃったかな?

弱い者いじめなんてアリスの趣味じゃないのになぁ……

でも、これで少しは頭も冷えたかな?

それとも、死なない程度に凍てつかせてあげようかな?」


「あ、あの……」


「伝えるなら今だよ」


「え?」


「8年前、何があったのかはだいたい想像はついてる。

貴方は、また、何も出来ずに失うの?」


「何を言って……」


「当時はまだ子供だったからね、仕方ないと言えば仕方ないかもしれない。

でも、逃げてばかりじゃ、また、大切な者をなくしゃうよ」


……8年前、あの時私は



「この馬鹿野郎!!

あれほど、慎重にやれと言ったのに、尻尾掴まれるような真似しやがって!!」


「ど、どうしますか、頭」


「人質はいるんだ、追って来たら殺すと伝えておけ。

それと、人質は2人もいらねぇ、片方は見せしめに殺しておけ」


「来ないで!」


「黙ってろ、ガキ!」



そこからは思い出せない。

気が付いたら、誘拐犯はいなくなって、隣には気を失ったリースがいた。

いままで、考えようともしなかった、思い出したら全てが消えてしましそうな気がして……


「世の中には知らない方がいいことがあるかもしれないよね。

でも、それって真実から目を逸らして、ただ逃げてるだけだよ。

別に逃げることが悪いとは言わないけど、後から真実を知って悔やんでも遅いんだよ

ねぇ、貴方にとってリースってどんな存在だった?」


私にとってリースは誰より大切な存在で、私の半身ともいえる存在。

そのリースが今苦しんでいるなら……



「死ね!」


「……あ、……お、ねえ…ちゃん……」


「リース、リース、死なないで!

誰か助けて!」


「うるせぇ!

もうこいつは死んだんだよ、おとなしくしろ!」


「いやああぁぁ!

リース、リース!」


『汝が願い、我が叶えよう』


「なんだこいつ……ぐあぁぁあ!」



「おもい…だした……」


あの時、リースは死んだ。

そして、声が聞こえて……


「貴方たちのその眼はベルゼムと繋がっている。

過去にベルゼムが力を与え、その力を悪用しないように見張る為にね。

時が過ぎていくうちに力はなくなったけど、その眼だけは生き続けたんだよ。

そしてあの時、貴方はリースが殺されて、リースが生き返ることを願った。

でも、失われた命は取り戻せない。

だから、あのベルゼムはリースの代わりとなって今まであなたと共にあり続けた」


「それじゃあ、あれはリースじゃないの……?」


「そうだよ、でもね、ベルゼムはあの時もう1つの願いを聞いていたんだよ。

それはね、リースが死ぬ間際に、誰より大切な貴方を想って……」


『ミーア姉さんが、幸せになりますように

私の分まで、幸せに生きてくれますように』


「…うぅっ、リース、りーすぅ…」


「だから、ベルゼムは自分を封じてリースとして生きてきた。

リースの最後の願いをずっと叶え続けてる為に、あなたが幸せに生きていけるように見守り続けてきたんだよ」


私はあの時からずっとリースを守っていこうって思ってた。

だけど、私はずっと真実から目を背けてリースに守られてたんだ。


「ねぇ、解放してあげようよ。

もう、リースに支えられなくても強く生きていけるって、リースを安心して眠らせてあげよう。」


「でも、どうしたら……」


「お膳立ては全部アリスがやってあげる。

だから、貴方は思っていることを全部伝えて。」


side out


side アリス


「邪魔をするな、我はあの娘の願いを叶え続ける」


「それは、それが貴方の食べ物だから?」


「あの娘の最後の願いは尊く、美しい。

その願いを守り続けることに理由などいらぬ」


「それじゃあ、駄目なんだよ。

貴方もあの人も、8年前から進めてない。

今、やっとあの人はリースの想いを背負って歩きだそうとしている。

リースを解放してあげるときなんだよ」


「我は長い時生き、多くの人を見てきたが人は弱く脆い。

あの娘に、この想いを背負う力などない」


「『人の力を舐めるな』、アリスのお兄ちゃんが良く使うセリフでね。

アリスはその言葉のおかげで、神さえも退ける力を持ってても力に溺れたりしない。

アリスが1人だったら、力に溺れてるかもしれないけどアリスは1人じゃない。

あの人も1人じゃない、リースの想いだってきっと強く背負って生きていける。

もう少し人を信じてもいいんじゃない?」


「……戯言を」


「聞いてあげなよ。

あの人の想いを」


side out


side ミーア


「それじゃあ、後は貴女次第だよ。」


「……うん。

リース……ベルゼム、私はリースに幸せになって欲しかった。

今思えば、真実から目を逸らすための言い訳だった。

リースの為って自分に言い訳をしてリースの死を受け入れないで、ベルゼムが見せてくれた幻に縋ってずっと逃げてきた。

でも、それじゃあ駄目なんだよね……」


今まで色々な事があったよね。

ずっと、リースは傍にいて、私を支えてくれたよね。

一緒に喜んで、一緒に悲しんで、一緒に笑って、一緒に泣いて……


「私はリースの想いに報いるためにも強く生きるから!

リースが傍にいなくても、強く歩いていくから!

だから、もう、休んでいいんだよ……ぅっく…」


「おねえちゃん」


「…リー…ス…」


「これから、いっぱいつらいことがあっても私はもう傍にいられないけど、もう、お姉ちゃんなら大丈夫だよ。

幸せになってね、おねえちゃん」


「ありがとう!

ずっと、ずっと、見守ってくれて、ありがとう!」


「うん、ばいばい、おねえちゃん」


「……うぅ…ぐすっ……りーすぅー…ありがとう…ひっく…」


side out


side アリス


「どこいくの?」


「願いは聞き届けられた。

もう、我は必要あるまい。」


「まって!

助けてくれてありがとう!

リースの想いを預かってくれて、リースの代わりに私を助けてくれてありがとう!」


「……娘、良いものを見せてもらった。

もう少し、人というものを信じてみるのもの悪くないかもしれぬな」


「そうでしょ?

ここまでお膳立てしてあげたアリスに感謝してよね」


「ふん、しかし、貴様の目的はなんだ?」


「それはね、ベルゼム、貴方だよ。

この『月の庭』って展開するのに時間が掛かりすぎるからね。

だから、補助が欲しかったんだよ」


「我に貴様のもとに下れと?」


「話が早くて助かるよ。

ベルゼム、私の使い魔にならない?」


「ふははははははは!

いいだろう、我を従えたければ力を示せ!」


「ふふっ、分かりやすくていいね。

手加減はしてあげるから死なないでね」


side out


「まったく、無駄な時間をとらせおって」


「文句ならフリッグに言え」


「し、仕方ないじゃないですか!

キスなんて滅多にしてくれないのに、レンの方からしてくれたんですよ!

少し混乱しても仕方ないんです!」


あれが少し……

本気で暴走したらどうなるのか想像したくもない


「レンはもっと日常的にサービスするべきです。

そうすれば、ちょっとずつ慣れてあんなことにはならないはずです!」


慣れるまで、あの状態のフリッグを相手にしろと?

とてもじゃないが、俺には耐えられないな。


「な、なんですかその眼は!」


しかし、以前は監禁の危険性があったことを考えると随分ましになったと言うべきか。

暴走されるとめんどくさいが、普段のフリッグは癒されるしな。


「いや、お前はそのまま変わらないでくれよ」


「は、はい?」


「それより、まだ着かないのか?」


「ここですね、行きますよ」


前はゆっくり見る暇なんてなかったが本当に綺麗な場所だ。

雲1つない空に、輝く大きな満月、月光に照らされた金色のススキ。

ここがアリスの心象風景というなら、どこまでも純粋なのだろう。


「2人とも私の傍から離れないでくださいね。

ここは対神用の世界ですので神力を持っていれば世界が襲い掛かってきますから」


「展開する手間が掛かりすぎる点を除けばこれ以上の物はないじゃろうな」


「ええ、その欠点もすぐに解決してしまいそうですけどね」


フリッグでさえ脅威と感じるさせる程の力か。

俺とアリスが出会ってまだ1年も経っていないというのに、呆れるほどの才能だな。


「あ、お兄ちゃん目が覚めたんだ。」


「ああ、おかげさまで久しぶりにぐっすり眠れたよ」


「そんなに怒らないでよ。

過程はどうであれ、この結果はお兄ちゃんにとって最高の終わり方でしょ?

リースの願いは果たされて、誰も死なずに終わらせることができたよ。

ついでに、アリスに使い魔もできたしね」


さらに言えば、反乱分子も生かしたまま捉えることができた。

それに、彼女に口利きをしてもらえば支持を得ることも難しくないだろう。


「ああ、よくやってくれたな」


「ん~、もっと褒めて」


「むぅ~、レンはアリスに甘すぎです!

私にも、もっと構ってください!」


「お姉ちゃん、邪魔!」


「じゃ、邪魔!?

最近私の扱いが酷くないですか!」


「アリスとお兄ちゃんの蜜月を邪魔するからだよ!」


「アリスこそ私とレンの邪魔ばっかりするじゃないですか!」


「ふむ、貴様が我主の想い人か。

良い眼をしている、これからも我主を頼む」


「ああ、こちらこそよろしくな」


「今日という今日はもう許しません!

構えなさい!」


「ふふん、昨日までのアリスと思ったら大間違いだよ。

行くよ、ベルゼム!」


あいつら、元気だなぁ……


珍しくしんみりとした話なってしまいました今話


そして、またもアリスの強化イベントが発生!


それでも、まだフリッグの方が強いです。


フリッグを10とするとアリスは9くらいになります。


ちなみに、フリュネは1………


これはフリッグがフリュネの10倍強いという意味ではなく一番最小の値が1というだけ、実際フリッグとフリュネは比べ物になりません。


同じく知力でレンを10とするとこれまたアリスは9、ミナは7、フリュネは5くらい。

今回レンの裏をかけたのはリースの正体を見抜いたからです。

ミナも頭は良いんですが、そのベクトルは研究の方に向いてるのでこんな感じです。


そして、気になるフリッグですが2くらいになります。

フリッグも決して頭が悪いと言うわけではないんですが、人を疑うということをあんまり知らず、加えて天然さんなので発言ちょっと馬鹿っぽくなってます。

でもそこが可愛い(*ノノ)キャ


総合するとアリスがずば抜けてますね、最年少なのに……


さて、次回はニダヴェリール最終話


レンvsジンとなります。


レンの策略をミナは読み切ることができるのか!?


そして再び全く関係ない話ですが『ありがとう』という言葉をきちんといえるって素晴らしいですよね。

とあるゲームで気付かされ、それ以降『ありがとう』を言うように気を付けています。

誰かに助けてもらったとき『ごめんなさい』や『すみません』より『ありがとう』を言ってもらった方が嬉しいですよね。

もちろん、時と場合にもよりますが……


それではまた次回(。・ω・。)ノ~☆'・:*;'・:*'・:*'・:*;'・:*'バイバイ☆

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