VSミナ
とりあえずあの女を追い返すことに成功したが次はこいつがむくれてやがる。
大方、俺があの女の涙に負けたから嫉妬しているんだろうが、それをわざわざ指摘して地雷を踏みたくない。
いちいちこの程度のことに嫉妬されて気にしてたらきりがない。
つまり、ここは何もせず料理でもするとしよう。
そうはいっても調理器具がまともに揃っていない上にこの世界では魔法で火を起こすようでそんなものを使えない俺は少々物騒だが火炎放射気で火を起こすことになる。
この力でびっくりしたのはフライパンが作れたことだ。
どこかの漫画やゲームなんかでフライパンや箒を武器にしてるものがあったから試してみたら普通にできた。
どうやらこの力は俺が武器と認識していれば造れるものらしい。
話は脱線したが料理をすると言ってもここは日本じゃないから調味料を簡単に買えはしない。
さらに時間がなかったからよく調べずに買ってきてしまったから味が乱れるかもしれない。
そうはいっても食べないよりましなので試行錯誤しながらやって行くしかないわけだ。
「レン!!
どうして私を無視してるんですか!!」
っち、無視してればそうのうち落ち着くと思ったが予想外だな。
「聞いているんですか!!」
「聞いてるよ。
それでお前は俺にどうして欲しいんだ。」
「レンは女の涙に弱すぎです。
だから、あんな女なんかに騙されちゃうんです。」
失敬な。
嘘泣きかそうじゃないかなんて詐欺師レベルになると分からないがそうじゃない限り義妹に散々鍛えられたから騙されることなんてない。
「いいですか、レンが好きになっていい女性は私だけなんです。
だからレンはもう少し私のことを気遣うべきです。」
どこの暴君だ。
お前の目的は俺の自殺願望を無くさせることじゃなかったのか?
「そういうが、俺がもしあいつのことを好きになったらもう死のうとはしないと思うぞ。
そうなればお前の目的は果たされる訳だからむしろ歓迎すべきことじゃないのか?」
side フリッグ
「そういうが、俺がもしあいつのことを好きになったらもう死のうとはしないと思うぞ。
そうなればお前の目的は果たされる訳だからむしろ歓迎すべきことじゃないのか?」
いったい何を言ってるんでしょうかこの人は。
目的が果たされるから歓迎すべき?
私の気持ちを知っていてあえてこのセリフを言ってるようであれば私にも考えがありますよ。
「レン。」
「なん、ん!!」
side out
「なん、ん!!」
この馬鹿いったい何のつもりだ。
「はぁ、これで私がどれだけ本気か分かりましたか?」
そんなものキスなんかしないでも分かってる。
「もう二度とこんなことはするな。」
「嫌です。」
この馬鹿女は・・・
「いいか、俺はお前のことを好きでも何でもないんだ。
それに俺なんかの為に自分の身を安売りするな!!」
イライラする。
少しは見直したともったらこれか?
失望もいいところだ。
「私は生涯レン以外に体を許すつもりなんてありません。
だから安売りなんてしてません!!」
ああ、くそ。
どうしてこいつはここまで一直線なんだよ。
「っち!!
いいか、俺がお前の気持ちに応えるまで絶対にもうするなよ。
今度やってみろお前の目の前で死に続けてやる。」
「・・・・分かりました。
その代わりレンもあまり他の女性に目移りしないでくださいね。」
こいつ自分の姿を見たことないのか?
こいつ以上の外見をもってる奴なんてそうそういるはずがない。
それにこいつは危険だ。
いつも軽く流していたがマジで距離を取っていないと百年持たないかもしれない。
side フリッグ
「・・・・分かりました。
その代わりレンもあまり他の女性に目移りしないでくださいね。」
レンを変えるのは私です。
この役目は誰にも譲るわけにはいきません。
レンが欲しい。
レンを独占したい。
レンを私に縛り付けたい。
レンに会うまでの私では考えられないことです。
もしレンが他の女性の所に行ってしまったらその時私がどうなるか想像すらできません。
絶対にその心を奪って見せます。
side out
あんなことがあったから空気が重い。
せっかくの食事だというのにまったく味が分からない。
こいつが俺のこと好きだとは知っていたがあそこまで積極的だとは予想外だった。
この分なら明日にでも元に戻ってると思うがあれを毎日受けてたら理性が持つ訳がない。
そうなればこいつは永遠に俺を離すことはないだろう。
厄介な奴に惚れられたもんだ。
「皿は浸けといてくれ。
明日洗っておく。」
「いえ、食べるばかりでは悪いのでそれくらいはやらせてください。」
「それなら頼む。
俺は部屋の整理をしているから何かあったら呼んでくれ。」
side フリッグ
「それなら頼む。
俺は部屋の整理をしているから何かあったら呼んでくれ。」
あああああああああああああああああ////////
私はいったい何をしてしまったんでしょう。
恥ずかしすぎてレンと顔を合わせられません。
あの時の私が別人みたいに思えます。
嫉妬深いことは自覚してましたが性格が変わってしまうとまでは思っていませんでした。
でも、やっぱりあれは私なんだと思います。
キスした時頭が真っ白になってなにも考えられないほどの幸福でした。
あの幸福を他の誰かに譲ることなんてできるはずありません。
はぁ、レンは怒ってるでしょうか?
レンの言葉を聞く限り相変わらず自分のことはそっちのけで私のことだけを心配してましたから私の軽はずみな行動に対して怒ってるんでしょうね。
でも、それはレンが私を無視するからいけないんです。
私が嫉妬して構って欲しいって分かってるのに無視するからです。
でもレンとこのままの雰囲気は耐えられないので明日にでも謝りましょう。
side out
さて、あいつのことは今は置いておくとして、問題はどんな勝負を持ちかけてくるかだな。
分かっていることは対等な条件下の勝負ということだけ。
まず戦闘方面ではあいつがいる限り挑んでこないはずだ。
俺とあいつの兄貴の1対1なら話は別だがそれだと対等という条件を満たしてない。
つまり、戦闘より頭脳を試される戦いになるはず。
そして勝負の方法はどちらが決めると明言していない。
だがこっちには最悪勝負を破棄することができる。
故にこっち側から勝負の内容を決めてやれば対等な条件下とはいえ下準備ができる。
しかし、この勝負はあいつに諦めてもらわなければ俺の勝利条件が満たされない。
よって、勝負の内容は運の要素が強いものでなおかつ俺が確実に勝利できるものだ。
その条件を満たしているものは・・・・・・
side ミナ
昨日は不覚を取ったけど今日は負けない。
ただでさえ昨日死ぬほどはずかいいところを見られてしまったんだから名誉挽回、汚名返上、絶対に負けるわけにはいかない。
こっちが勝負内容を決めてもたぶん意味がないからなにも用意していない。
対等な条件下のもとというのがあいつの出した条件。
恐らく運の要素が大きく関わる勝負になるはず。
だけど、そんなものは関係ない。
これはあいつが私を騙せるか、私があいつのトリックを見破るかの勝負。
絶対に見破って見せる。
side out
「よく来たな。
俺たちは今日も仕事をするつもりなんだ。
だから手っ取り早い方法にするぞ。
ここに2つの水が入ったコップと2つの粉がある。
昨日、街を探して見つけたものだが、片方はただの甘い粉、片方は痺れ薬だ。
見た目ではまったく分からないだろう?
これを水に溶かし痺れ薬を引いた方が負けだ。」
「その粉は誰が入れるの?」
まぁ、当然疑ってくるよな。
「お前の後ろにいる兄でいい。
もちろん俺たちの見えないところでやってくれて構わない。」
「分かったわ。」
さぁ、俺の仕掛けを読み切れるか?
side ミナ
今のところ怪しい動きはない。
コップの水もあの後コップそのものを変えて、水も変えた。
これで仕掛けがあるとすればあとはあの粉だけ。
「準備できたわ。」
side out
「準備できたわ。」
コップにはなにも仕掛けはしていないがあいつの立場か俺なら同じことをするだろう。
「分かった。
どっちから先に行く?
お前から先に行ってもかまわないが両方とも痺れ薬だなんて難癖つけられたら面倒だから俺からでいいか?」
「・・・・わかったわ。」
「それじゃあ俺は右の方にする。」
さぁ、勝負だ。
そして俺は一気にコップの水を飲み干した。
side フリッグ
飲みきった。
結果は
「何ともないないただの甘い水だった。
これで俺の勝ちだな。」
いえ、この勝負私の勝ちよ。
「そうかしら?
確かにあなたは甘い水を引いたみたいだけど、本当に片方は痺れ薬だったの?
あなたは建前上両方痺れ薬という不正をなくすためと言って先に水を飲んだ。
それが痺れ薬でなければ必然的に私の方が痺れ薬入りの水になり私が負ける。
でも、両方甘い粉だとしたら話は変わってくるわよね。
最初に選んで私の負けを認めさせるつもりだったんでしょうけどこの勝負私の勝ちよ!!」
後は甘い水を飲めば私の勝ち!!
「ん!!!」
そんな・・・・
体が痺れる・・・・・・
「その様子だと痺れ薬を引いたのはお前のようだな。
この勝負俺の勝ちだ。」
まさか本当に片方が痺れ薬の5分5分の勝負だったっていうの?
「心配せずともそう聞き目の強いものじゃないらしいから1時間もすれば痺れは取れる。」
また私が負けたの?
「約束通り、二度と俺の前に現れないでもらうぞ。」
本当に運だけの勝負?
でも、これを飲んだらすぐに体が痺れてすぐに分かる。
そしてこの場にいる誰もが魔法を使った様子もなかった。
「さぁ、俺はこれから仕事に行くんだ。
用がすんだらさっさと帰ってくれ。」
私の負け・・・・・・
side out
ようやく帰ったか。
「流石レンです。
本当に2分の1を引き当てるなんて。」
「そんなわけあるか。
あの勝負は100%俺が勝つ仕掛けがあったんだよ。」
俺の平穏がかかっているってのにそんな博打を打つわけないだろう。
「でもレンは実際に痺れてなかったわけですし。」
「お前は俺に何をしたか忘れたのか?」
「なにって、不老不死に・・・・・あっ!!」
やっと気付きやがったか。
昨日試してみたんだがこの体毒を飲んでもすぐに分解してしまうらしい。
常に健康状態に保てるってわけだ。
種明かしをすればあれは両方とも痺れ薬だ。
俺が先に飲むと言ったのは不正がないと示す建前もあるがあいつから先に飲まれて痺れても両方痺れ薬と疑われ俺のコップを取られたらばれてしまうからだ。
だから、先にすべて飲み干した。
そうすれば疑っても証拠がない。
もっともあの様子じゃそこまで疑ってはいなかったみたいだが。
「本当にレンってすごいですね。」
「そうはいっても一応穴はあったんだがな。」
あいつの兄に薬を混ぜさせた時、少なからず薬が隠れてしまう。
その時に両方とも少しずつ取って後で調べられればすぐにばれてしまう。
まぁ、そうなったとしても実際に俺が不老不死だって知らなければたどり着けないだろうがな。
「仕事貰いに行くぞ。
まだまだ足りないものが山ほどある。
今日は少なくとも三件はこなすぞ。」
「はい。」
フリッグがヤンデレっぽくなってしまった