1 突然
暗い…何も見えない世界…私はそこにいた。
探ると、手に硬い金属が触れる。
それを握り、立ち上がった。
ずっと座っていたのか、足が痛かった。
そのまま、行く当てもなく歩き続けていると、一筋の光が見えた。
足の痛さも忘れ、走り続ける。
その光に近づくごとに、大きな音が聞こえ始めていた。
構わず光に向かって走り続けていると、急に地面が無くなり、私は真下に落ちていった。
少しでも速度が遅くなるように、体を広げて、空気抵抗を大きくする。
眩しいほどの光が、指しているのが、目を瞑っていてもわかった。
そして…気づけば…
荒廃したビル街に、赤く光るライト。
武器を持った少女たちに、逃げ惑う人々がいた。
「キャァァァァァァァァァァァ!!!!」
「助けてくれ!頼む!!」
「邪魔だ!!退け!!」
叫びや、怒鳴り声が聞こえてきた。
私がまだ状況が整理できていないまま、辺りを見回した。
すると、同じ年代に見える少女が、声をかけてきた。
「おい、君、ここは危ないから、今すぐ逃げな……って!!」
顔を見上げると、橙色の髪に、青の瞳の少女がいた。
彼女はとても驚いているようで、口をパクパクさせていた。
「あっ、あ…あお、葵?葵なの?」
彼女は私の名前を知っているようだった。
でも、私の記憶には彼女のような容姿をした人はいない。
いや、まず私には殆どの記憶がなかった。
意識していなかったからか、気づいていなかったが、私には何の記憶もなかった。
覚えているのは、自分の名前だけだった。
なぜだろう…と考える余裕もなく、彼女は抱きついてくる。
「葵、葵!生きてたの、、どこに、どこにいってたの!まっ、待ってたのに…!!」
「あの…貴方は…どなたですか…?」
彼女は驚きの表情を浮かべ、え………?と呟いた。
張り詰めた空気は、轟音によって破られた。
土埃が舞う中、恐ろしい見た目の、化け物がいた。
それは、辺りを破壊し続けていて、今も踏み潰されたと思われるビルが、ペシャンコになっていた。
「こんなに早く化け物が来るなんて!」
彼女は細身の剣を握ったまま、走り出した。
化け物を何回か切りつけている。
だが、化け物には効いているようには思えない。
彼女の腕が、化け物の触手に捩じ切られそうになっていた。
(やめて!)
私がそう思った瞬間、体が走り始めていた。
あの暗い空間で拾ったものは、剣だった。
その剣を握りしめて、跳んだ。
自分でもよく分からないほど、体が興奮していた。
まるで、久しぶりの狩りをするようだった。
そのまま、私は化け物の真上に立ち、首を、触手を、刎ねた。
触手に捩じ切られそうになっていた彼女は、そのまま座り込んでいる。
静かな空気が流れる中…そのまま崩れていく化け物を見ながら…私は立ち尽くしていた。
今のは自分ではなかった。
自分の意識ではなかった。
体に染み込んでいく、あの化け物の血。
自分が、知らないモノになるようで、怖かった。
そのまま、膝の力が抜け、私は意識を手放した。
趣味なので、そこまで更新はしません。
やりたい時にやる、という感じです。




