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魔術学院の最下位だった俺に、世界が気づくまで  作者: じゃむ


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第30話 契約(2)

本作は「魔術が当たり前の世界」で、ただ一人そこから外れた少年の物語です。

静かに歪み始める学院の日常と、気づいてはいけなかった違和感をお楽しみください。


「常駐してほしい」


その言葉は、

驚くほどあっさりと出た。


「ここに留まり、

 一定時間、一定範囲で

 関与を続けてほしい」


「報酬も用意する」

「安全も保証する」

「管理は最小限にする」


条件は、丁寧に積み上げられる。


だが、ゼルには分かる。


これは契約ではない。

拘束の設計図だ。


「俺が断ったら?」


問いは、静かだった。


男は、少しだけ間を置いて答える。


「それは……

 街の選択だ」


選択。

つまり、

結果は保証しないという意味。


ノクスが、初めて口を挟む。


「確認します。

 この提案は――

 基準(ゼロコード)の自由意思を

 制限するものですか?」


男は微笑んだ。


「いいえ。

 “お願い”です」


お願いという言葉ほど、

責任を曖昧にするものはない。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

善意や好奇心が、必ずしも優しさにならない世界を描いています。

続きもゆっくりと深まっていきますので、お付き合いいただければ幸いです。

第30話 契約(3)へ続く

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