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魔術学院の最下位だった俺に、世界が気づくまで  作者: じゃむ


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第29話 取引(2)

本作は「魔術が当たり前の世界」で、ただ一人そこから外れた少年の物語です。

静かに歪み始める学院の日常と、気づいてはいけなかった違和感をお楽しみください。


「常駐してほしい」


言葉は、驚くほどあっさりと出た。


「ここに留まり、一定時間、一定範囲で

 関与を続けてほしい」


続けて条件が積み上げられる。


安全の保証。

生活の提供。

監督は最小限。

自由行動も、できる限り尊重する。


どれも、善意に見える。

だがゼルには分かる。


これは契約ではない。

拘束の設計図だ。


「俺が断ったら?」


問いは、静かだった。


男は少し間を置き、言葉を選ぶ。

「それは……街の選択になる」


つまり、

結果は保証しないということ。


ノクスが初めて口を挟む。

「確認します。

 この提案は、基準(ゼロコード)

 自由意思を制限しますか?」


男は微笑んだ。

「いいえ。“お願い”です」


お願い。

責任を曖昧にし、拒否を悪に変える言葉。


鎖は、もう形を持っていた。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

善意や好奇心が、必ずしも優しさにならない世界を描いています。

続きもゆっくりと深まっていきますので、お付き合いいただければ幸いです。

第29話 取引(3)へ続く

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