第28話 敵意(2)
本作は「魔術が当たり前の世界」で、ただ一人そこから外れた少年の物語です。
静かに歪み始める学院の日常と、気づいてはいけなかった違和感をお楽しみください。
広場に、簡易的な陣が描かれていた。
見覚えのある紋様。
魔術を“抑制する”ための結界だ。
完全ではない。
だが、存在を拒むには十分。
「来るな!」
先頭に立つ男が叫ぶ。
手には、護符と石。
「ここは俺たちの街だ!」
「基準は、
選ぶ存在だろ!」
言葉は、震えている。
だが、背後に人がいることで、
その震えは力に変わる。
「選ばれなかった俺たちは、
どうすればいい!」
ゼルは、足を止めた。
答えは、ある。
だがそれを言えば、
さらに敵意を増幅させる。
「排除すればいいんだ!」
「追い出せ!」
「戻せ!」
戻す。
どこへ?
いつへ?
誰も考えていない。
必要なのは、
今の不安を消す対象だけだ。
ノクスが、淡々と確認する。
「基準。
退避を提案します」
「……逃げれば?」
「敵意は、
“追い払った”という成功体験を得ます」
それは、次を呼ぶ。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
善意や好奇心が、必ずしも優しさにならない世界を描いています。
続きもゆっくりと深まっていきますので、お付き合いいただければ幸いです。
第28話 敵意(3)へ続く




