第27話 拒絶(1)
本作は「魔術が当たり前の世界」で、ただ一人そこから外れた少年の物語です。
静かに歪み始める学院の日常と、気づいてはいけなかった違和感をお楽しみください。
境界線は、静かに人を分けた。
救われた者たちは、
安堵と感謝を胸に、距離を保つ。
救われなかった者たちは、
その距離を“切り捨て”と呼び始める。
最初は、囁きだった。
「近くにいたのに……」
「昨日は助かったのに……」
「選ばれなかっただけだろ?」
理由を探す言葉は、
やがて責任を探す言葉に変わる。
――なぜ、あいつは動かなかった。
基準という言葉は、
難しすぎた。
選択を可能にする存在。
境界を引く必要性。
そんな説明は、
失った者の耳には届かない。
届くのは、
結果だけだ。
広場の外れで、
小さな集団が集まり始める。
誰かが言った。
「だったら、
いない方がいいんじゃないか?」
その言葉は、
あまりにも自然に受け入れられた。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
善意や好奇心が、必ずしも優しさにならない世界を描いています。
続きもゆっくりと深まっていきますので、お付き合いいただければ幸いです。
第27話 拒絶(2)へ続く




