第24話 関与(2)
本作は「魔術が当たり前の世界」で、ただ一人そこから外れた少年の物語です。
静かに歪み始める学院の日常と、気づいてはいけなかった違和感をお楽しみください。
倒れている男がいた。
怪我ではない。
魔力枯渇でもない。
ただ、
本来なら“治せた”はずの症状。
周囲の者たちが、
無力な目で見守っている。
「誰か、魔術師を……!」
その声に、
誰も応えられない。
ゼルは、一歩前に出かけて、止まった。
使えば、助かる。
だがそれは――
基準が介入したという記録になる。
ノクスは、何も言わない。
止めもしない。
「……俺が、
ここで動かなければ」
男は、
ゆっくりと息を引き取った。
その瞬間、
ゼルの中で何かが決定的に折れた。
選ばないことは、
中立ではない。
見捨てるという選択だ。
「……分かったよ」
誰に向けた言葉か、自分でも分からない。
「関与する」
それは、
力を使うという意味ではない。
世界に、
責任を持つという意味だ。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
善意や好奇心が、必ずしも優しさにならない世界を描いています。
続きもゆっくりと深まっていきますので、お付き合いいただければ幸いです。
第24話 関与(3)へ続く




