第24話 関与(1)
本作は「魔術が当たり前の世界」で、ただ一人そこから外れた少年の物語です。
静かに歪み始める学院の日常と、気づいてはいけなかった違和感をお楽しみください。
回廊の扉を抜けた瞬間、
ゼルは理解した。
ここは、
判断を迫るために用意された世界だ。
空は曇っている。
だが、雲は動いていない。
風も吹いているはずなのに、
音だけが遅れて届く。
「……魔力が、薄いな」
正確には、薄いのではない。
成立していない。
詠唱は可能だ。
術式も展開できる。
だが、結果が生じない。
魔術が、
世界から“拒否”されている。
街の中心で、人々が集まっていた。
治癒魔術が使えない。
火を起こせない。
防護結界が張れない。
誰も暴れていない。
だが、恐怖は確実に広がっている。
「これは……」
背後から、ノクスの声がした。
「基準が
“関与しない”状態を維持した場合の、
初期段階の世界です」
ゼルは、拳を握った。
――もう、始まっている。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
善意や好奇心が、必ずしも優しさにならない世界を描いています。
続きもゆっくりと深まっていきますので、お付き合いいただければ幸いです。
第24話 関与(2)へ続く




