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魔術学院の最下位だった俺に、世界が気づくまで  作者: じゃむ


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第22話 移送(2)

本作は「魔術が当たり前の世界」で、ただ一人そこから外れた少年の物語です。

静かに歪み始める学院の日常と、気づいてはいけなかった違和感をお楽しみください。


門の影から、視線を感じた。


エリシアだ。

制服のまま、腕を組み、表情を硬くして立っている。


「……行くのね」


「行く」


それ以上の言葉は要らない。

彼女は分かっている。

ここで引き止めれば、彼の立場は“危険”に傾く。


「向こうは、装置よ」


低い声で、釘を刺す。


「人を守るための装置じゃない。

 世界を守るための装置」


「知ってる」


知っているから、行く。


エリシアは一瞬、何かを言いかけて、やめた。

代わりに、小さな符を差し出す。


「位置同期。

 “呼べば届く”保証はないけど……

 切れはしぐらいにはなる」


ゼルは受け取った。

握ると、符はすぐに静まる。


少し離れた場所で、リリアが立っていた。

包帯の下の呼吸は安定している。

だが、目は揺れている。


「先輩……」


声は届いたが、言葉は続かなかった。

彼女は、選ばれた。

そして、生き残った。


それが、今の距離だ。


ゼルは、ただ一度だけ頷いた。

それで十分だった。


門の向こうで、学院の灯りが一つ、消えた。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

善意や好奇心が、必ずしも優しさにならない世界を描いています。

続きもゆっくりと深まっていきますので、お付き合いいただければ幸いです。

第22話 移送(3)へ続く


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