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魔術学院の最下位だった俺に、世界が気づくまで  作者: じゃむ


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第19話 壊れる前提(3)

本作は「魔術が当たり前の世界」で、ただ一人そこから外れた少年の物語です。

静かに歪み始める学院の日常と、気づいてはいけなかった違和感をお楽しみください。


中心で、

リリア・フェルノアは立っていた。


視界が、

少しずつ狭くなっている。


痛みはない。

恐怖も、薄い。


ただ、

自分が“支えている”という感覚だけが、

はっきりと分かる。


誰かの魔力。

誰かの失敗。

誰かの余剰。


それらが、

自分を通って流れていく。


――先輩が、

 ここにいたら。


その考えが、

一瞬だけ浮かんで、消える。


来ない。

来ないと、分かっている。


それでも、

責める気持ちはなかった。


先輩は、悪くない。


悪いのは、

代わりを作ろうとした世界だ。


その理解が、

彼女を静かにする。


演習場の外。


隔離区域。


ゼルは、

すべてを感じ取っていた。


壊れる前提で、

判断が進んでいる。


誰もが、

彼女が壊れる可能性を

“計算に入れている”。


それは、

最悪の確定だった。


隔離結界に、

ひびが入る。


彼が触れていないのに、

世界の側が、彼を呼んでいる。


――動けば、終わる。

――動かなければ、彼女が終わる。


選択は、

もう理屈ではない。


人として、

どこまで耐えるか。


ゼルは、

静かに一歩、前へ出た。


まだ、力は使っていない。


だが、

次の一歩は、

 世界が“気づく”一歩だ。


事故は、

もう止められない。


止められるのは、

壊れる前提そのものを、

否定できる存在だけだった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

善意や好奇心が、必ずしも優しさにならない世界を描いています。

続きもゆっくりと深まっていきますので、お付き合いいただければ幸いです。

第20話 世界が気づく(1)へ続く

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