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魔術学院の最下位だった俺に、世界が気づくまで  作者: じゃむ


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第19話 壊れる前提(1)

本作は「魔術が当たり前の世界」で、ただ一人そこから外れた少年の物語です。

静かに歪み始める学院の日常と、気づいてはいけなかった違和感をお楽しみください。


演習場は、異様な静けさに包まれていた。


騒音も悲鳴もない。

あるのは、終わらない魔術の低い共鳴音だけだ。

均一に整えられた魔力が、同じ強さで、同じ速度で、そこに在り続けている。


教師たちは、誰もが理解していた。


これは、失敗ではない。

理論は正しい。

数値も、挙動も、想定から外れていない。


――だからこそ、止められない。


「……中心の負荷は?」


観測担当が、震える声で報告する。


「許容範囲内、ですが……

 累積値が、下がりません」


誰かが、目を伏せた。


累積。

それは、

誰かが引き受け続けているという意味だ。


「分散は?」


「不可能です。

 同調が完成しすぎています」


完成しすぎている。


その言葉が、

この事故の本質だった。


誰もが分かっている。

このまま続けば、

中心に立つ存在が壊れる。


だが、

“今すぐ止めれば助かる”とも言い切れない。


だから、

判断は自然と一つに集約されていく。


――どこまで、持たせるか。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

善意や好奇心が、必ずしも優しさにならない世界を描いています。

続きもゆっくりと深まっていきますので、お付き合いいただければ幸いです。

第19話 壊れる前提(2)へ続く

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