第15話 代替策(2)
本作は「魔術が当たり前の世界」で、ただ一人そこから外れた少年の物語です。
静かに歪み始める学院の日常と、気づいてはいけなかった違和感をお楽しみください。
代替策は、
慎重に、そして丁寧に整えられた。
複数の生徒を同時に同調させ、
魔力の揺らぎを平均化する補助術式。
突出を作らず、
欠損を埋め、
全体で安定させる。
理論上は、完璧だった。
対象となる条件も、
あくまで“合理的”だ。
・魔力量が極端でない
・詠唱精度が安定している
・精神的抵抗が低い
・集団行動に支障がない
リストアップされた名前の中に、
新入生が多く含まれていたのは、
偶然ではない。
そして――
その中に、
リリア・フェルノアの名があった。
「彼女は……」
一瞬、
誰かが言いかけて、止めた。
問題はない。
条件に合致している。
善意で協力し、
責任感が強く、
拒否しない。
――だから、最適だ。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
善意や好奇心が、必ずしも優しさにならない世界を描いています。
続きもゆっくりと深まっていきますので、お付き合いいただければ幸いです。
第15話 代替策(3)へ続く




