第14話 揺らぐ秩序(6)
本作は「魔術が当たり前の世界」で、ただ一人そこから外れた少年の物語です。
静かに歪み始める学院の日常と、気づいてはいけなかった違和感をお楽しみください。
揺らぐということ
夜。
学院の塔に灯る魔力灯が、
一瞬だけ、揺れた。
誰も気づかないほど、僅かに。
だが、
ゼルは感じ取っていた。
世界が、
自分を「埋め戻そう」としている。
それは、
事故の前兆だ。
失敗ではない。
暴走でもない。
成功しすぎた結果として起きる事故。
彼は、目を閉じた。
秩序が揺らぐのは、
悪いことじゃない。
揺らがなければ、
壊れていることに気づけない。
だが――
揺らぎを嫌い、
無理に固定しようとした瞬間。
世界は、
必ず誰かを壊す。
次は、
代替だ。
彼の代わりを、
作ろうとする。
それが、
本当の事故の始まりだと、
ゼルは理解していた。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
善意や好奇心が、必ずしも優しさにならない世界を描いています。
続きもゆっくりと深まっていきますので、お付き合いいただければ幸いです。
第15話 代替策(1)へ続く




