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第14話 揺らぐ秩序(5)
本作は「魔術が当たり前の世界」で、ただ一人そこから外れた少年の物語です。
静かに歪み始める学院の日常と、気づいてはいけなかった違和感をお楽しみください。
崩壊の前兆
夕刻、演習場。
補助結界の下で、
生徒たちが詠唱を始める。
成功する。
だが、成功しすぎる。
魔術は、
止まらない。
終わったはずの陣が、
余熱のように残り続ける。
「……解除が、遅い」
教師が眉をひそめる。
問題は小さい。
だが、積み重なっている。
誰かが言い放った。
「彼がいた頃は、
こんなことはなかった」
沈黙。
言ってはいけない言葉だった。
だが、
もう全員が分かっている。
秩序は、
揺らいでいる。
原因は、
隔離されている。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
善意や好奇心が、必ずしも優しさにならない世界を描いています。
続きもゆっくりと深まっていきますので、お付き合いいただければ幸いです。
第14話 揺らぐ秩序(6)へ続く




