第14話 揺らぐ秩序(3)
本作は「魔術が当たり前の世界」で、ただ一人そこから外れた少年の物語です。
静かに歪み始める学院の日常と、気づいてはいけなかった違和感をお楽しみください。
正しさを押し通す者
その中心で、
アーヴェル・ヴァルディシアは冷静だった。
「秩序は、維持できている」
彼は、数値を示しながら断言する。
「誤差は想定範囲内。
不安定化は、運用調整で吸収可能だ」
教師たちは、頷く。
彼の言葉は、正論だ。
しかも、実績がある正論だ。
だが、エリシアだけは、沈黙していた。
「……それは、秩序じゃない」
誰に向けるでもなく、彼女は呟く。
「縛って、押さえて、
壊れないようにしているだけ」
アーヴェルは、妹を見ない。
「壊れなければ、それでいい」
その一言で、
議論は終わった。
正しさが勝ったのではない。
決断の早さが勝ったのだ。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
善意や好奇心が、必ずしも優しさにならない世界を描いています。
続きもゆっくりと深まっていきますので、お付き合いいただければ幸いです。
第14話 揺らぐ秩序(4)へ続く




