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魔術学院の最下位だった俺に、世界が気づくまで  作者: じゃむ


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第12話 隔離措置(3)

本作は「魔術が当たり前の世界」で、ただ一人そこから外れた少年の物語です。

静かに歪み始める学院の日常と、気づいてはいけなかった違和感をお楽しみください。


夜。


隔離区域は、

昼よりも静かだった。


結界の向こうで、

学院はいつも通り動いているはずなのに、

音が届かない。


俺は、

初めて“選択”を考えた。


このまま、

何もせずにいるか。


それとも――

自分で線を引くか。


使えば、

はっきりする。


世界は静まり、

事故は起きず、

誰も傷つかない。


だが同時に、

すべてが確定する。


俺が原因だと。


扉の外で、

足音が止まる。


小さな声。


「……ゼル」


エリシアだ。


「今は、会えない」


それでも、

彼女は立ち去らなかった。


「隔離は、保護じゃない」


低い声で、

はっきりと言う。


「これは、

 “時間稼ぎ”です」


時間稼ぎ。


何のための?


答えは、

言わなくても分かる。


――判断が下されるまで。


「だから……」


彼女は、言葉を選んで続けた。


「あなたが選ぶ前に、

 世界が選ばないようにする」


俺は、扉に手を置いた。


開けることはできない。

だが、

その向こうにいる気配は、

確かだった。


「……ありがとう」


それだけを、

伝えた。


隔離措置は、

守るために始まった。


だが、

守られている限り、

俺は“物”のままだ。


このままでは、

いずれ誰かが決める。


――なら。


俺は、

初めてはっきりと理解した。


次は、

自分で動かなければならない。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

善意や好奇心が、必ずしも優しさにならない世界を描いています。

続きもゆっくりと深まっていきますので、お付き合いいただければ幸いです。

第13話 動かない選択(1)へ続く

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