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魔術学院の最下位だった俺に、世界が気づくまで  作者: じゃむ


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第1話 最下位の席(3)

本作は「魔術が当たり前の世界」で、ただ一人そこから外れた少年の物語です。

静かに歪み始める学院の日常と、気づいてはいけなかった違和感をお楽しみください。


放課後。

生徒たちが去った教室は、ひどく静かだった。


俺は一人、最下位の席に座ったまま動かなかった。


この場所からは、よく見える。

前列の席。

中列の席。


魔術に夢中な背中。

未来を疑わない横顔。


――眩しい世界だ。


俺は、魔術が使えない。

だからこの世界では、価値がない。


少なくとも、そう思われている。


だが本当は、違う。


魔術が使えないのではない。

使う必要がないだけだ。


世界に触れれば、

魔術も、事故も、争いも――

最初から、なかったことにできる。


それが、どれほど異常なことか。

それが、どれほど危険なことか。


俺は知っている。


だから、使わない。


最下位でいい。

無能でいい。

誰の期待にも応えなくていい。


気づかれなければ、それでいい。


……そう思っていた。


だが最近、

学院の空気が変わり始めている。


魔術が不安定になる。

理由の分からない事故が起きる。

そして、そのたびに向けられる視線。


まるで、

原因を探すように。


俺は小さく息を吐いた。


――まずいな。


最下位の席は、

もう安全ではないのかもしれない。


この学院が、

そして世界が、

俺に気づき始めていることを。


この時の俺は、

まだ本当の意味では理解していなかった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

善意や好奇心が、必ずしも優しさにならない世界を描いています。

続きもゆっくりと深まっていきますので、お付き合いいただければ幸いです。

第2話 劣等生という安全圏(1)へ続く

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