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魔術学院の最下位だった俺に、世界が気づくまで  作者: じゃむ


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第9話 兄弟の温度差(1)

本作は「魔術が当たり前の世界」で、ただ一人そこから外れた少年の物語です。

静かに歪み始める学院の日常と、気づいてはいけなかった違和感をお楽しみください。

兄と話すのは、久しぶりだった。


エリシアは、学院のバルコニーに立つアーヴェルの背中を見つめていた。

夜風に揺れるマント。

いつもなら誇らしく見えるその姿が、今はどこか遠い。


「……兄様」


呼びかけると、

彼は振り返らずに答えた。


「用件は?」


その声に、感情はない。

ただ、冷たい理性だけがある。


「ゼル・オルディアの件です」


一瞬、空気が張り詰めた。


「……まだ、その話か」


アーヴェルはゆっくりと振り返る。

その目にあったのは、苛立ちでも怒りでもない。


確信だった。


「学院は、すでに判断を下し始めている。

 異常は管理されるべきだ」


「異常、ですか」


エリシアは小さく息を吸う。


「兄様は、彼を“人”として見ていますか?」


その問いに、

アーヴェルは即答しなかった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

善意や好奇心が、必ずしも優しさにならない世界を描いています。

続きもゆっくりと深まっていきますので、お付き合いいただければ幸いです。

第9話 兄弟の温度差(2)へ続く

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