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魔術学院の最下位だった俺に、世界が気づくまで  作者: じゃむ


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第7話 個別観察対象(3)

本作は「魔術が当たり前の世界」で、ただ一人そこから外れた少年の物語です。

静かに歪み始める学院の日常と、気づいてはいけなかった違和感をお楽しみください。


「……話しかけない方が、いいですよね」


彼女は、そう言ってから困ったように笑った。


誰かに、言われたのだろう。

あるいは、空気で察したのかもしれない。


「そうだな」


俺は、正直に答えた。


否定すれば、

彼女を危険に近づける。


肯定すれば、

距離は広がる。


だが、選択肢は一つしかない。


「私、何か……してしまいましたか?」


その問いは、

胸の奥に、静かに刺さった。


「違う」


即答した。


「君は、何も悪くない」


それだけは、

はっきり言えた。


リリアは、少しだけ安心したように息を吐く。

だが、その目は揺れている。


「……でも、先輩が遠くなった気がして」


遠くなったのは、

俺じゃない。


世界だ。


だが、それを説明する言葉はない。


「これからは、

 俺の近くにいない方がいい」


できるだけ、柔らかく言った。


彼女は一瞬、唇を噛んでから、頷いた。


「……分かりました」


そう言って、頭を下げる。


その仕草が、

妙に大人びて見えた。


彼女が去ったあと、

俺はしばらく、その場から動けなかった。


守るために距離を取る。

危険を遠ざけるために、切り離す。


それは、正しい判断だ。


だが同時に、

理解してしまった。


個別観察対象になったということは、

もう俺だけの問題じゃない。


近づく者すら、

管理の対象になる。


最下位の席は、

とうに意味を失っている。


そして今、

善意すらも、

俺から引き剥がされ始めていた。


――次は、

隔離では済まない。


そんな予感だけが、

はっきりと胸に残っていた。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

善意や好奇心が、必ずしも優しさにならない世界を描いています。

続きもゆっくりと深まっていきますので、お付き合いいただければ幸いです。

第8話 禁書庫の反応(1)

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