表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術学院の最下位だった俺に、世界が気づくまで  作者: じゃむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/109

第4話 染まっていない目(3)

本作は「魔術が当たり前の世界」で、ただ一人そこから外れた少年の物語です。

静かに歪み始める学院の日常と、気づいてはいけなかった違和感をお楽しみください。


演習後。

彼女は、迷いながらも俺のところへ来た。


「……先輩」


声が、少し震えている。


「さっきの、偶然ですよね?」


答えを求める目。

否定してほしい目。


俺は、ほんの一瞬だけ迷ってから言った。


「偶然だ」


彼女は、ほっとしたように笑った。


だが、その笑顔はすぐに曇る。


「でも……」


言葉を続けるか、迷っている。


「でも、先輩の近くにいると、

 魔術が……怖くないんです」


その言葉に、胸の奥が冷えた。


それは――

安心してはいけない感覚だ。


「それは、勘違いだ」


少し強めに言う。


「俺の近くにいる理由なんて、ない」


彼女は驚いた顔をした。


拒絶された、というより、

理由が分からない、という表情。


「……すみません」


そう言って、頭を下げる。


その姿を見て、

俺は理解してしまった。


彼女は、善意で動いている。

恐怖も、侮蔑もない。


だからこそ――

一番、見えてしまう。


染まっていない目は、

世界の歪みを、そのまま映す。


彼女が去ったあと、

俺は小さく呟いた。


「……近づくな」


それが彼女のためであり、

俺自身のためでもあると、

分かっていたから。


だが同時に、

もう遅いとも感じていた。


世界が気づく前に、

人が気づく。


それは、

最下位の席よりも、

劣等生という安全圏よりも――


ずっと、危険な兆候だった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

善意や好奇心が、必ずしも優しさにならない世界を描いています。

続きもゆっくりと深まっていきますので、お付き合いいただければ幸いです。第5話 「観測される違和感」(1)へ続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ