第33話 罰則(2)
本作は「魔術が当たり前の世界」で、ただ一人そこから外れた少年の物語です。
静かに歪み始める学院の日常と、気づいてはいけなかった違和感をお楽しみください。
罰の目的は、報復ではない。
見せしめでもない。
「再発防止です」
監督官の説明は丁寧だった。
声には善意すら混じっている。
「基準の違反行動は、
周囲に誤解を与えます。
線を越えれば助かる、という期待は
混乱を生む」
混乱。
その言葉は便利だった。
救われなかった者の怒りも、
救われた者の依存も、
すべて混乱と呼べる。
「だから、罰則を設けます」
罰則とは、禁止ではない。
助けることを禁じない。
ただし――代償を明確にする。
次の違反では、指定区域はさらに縮小される。
監督は増え、任務外行動の記録は即時反映される。
「選択肢は残しています」
その言葉が、最も残酷だった。
選べる。
だが、選べば必ず何かを失う。
それが、罰則の正体だった。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
善意や好奇心が、必ずしも優しさにならない世界を描いています。
続きもゆっくりと深まっていきますので、お付き合いいただければ幸いです。
第33話 罰則(3)へ続く




