ヨナカ 1
こんにちは、白間夢縁と申します!
小説家になろう初心者ではありますが、これからどうぞよろしくお願いいたします!
おはよう
そんな毎日のあいさつが、宝物だよね。
「おはようっ!」
ぼくは教室のドアを開けるなり、できるだけ大きな声で言った。すぐに友だちがふり返って、えがおで返してくれる。
「おはよう、“ヨナカ”!」
『ヨナカ』というのは、僕のニックネーム。このクラスはみんな、それぞれのニックネームでお互いを読んでいる。なんでかというと、……なんでだろう。そのほうが面白いからかな?
「…ヨナカ」
ぼくが自分の机に向かおうとすると、だれかがぼくの肩にふれた。
「“ユウグレ”。おはよう!」
この子はユウグレ。真っ黒い長いかみの毛と、ぼくの肩くらいしかない小さな体の女の子。前髪もとっても長いから、目が少し隠れてる。だけど、ほんとうはその笑顔がとってもかわいいって、ぼくは知ってる。
ぼくはユウグレの手をそっとにぎって、机に向かった。ユウグレの席は一番後ろ。ぼくはそのとなり。
黒いランドセルをロッカーに入れて、イスをそっと引く。木でできたで古くなったイスは、ぎぃいと音を立てた。ユウグレも同じように座る。…と、ぼくはユウグレのブラウスの袖に赤黒いしみができているのに気付いた。ひょっとして。
「ユウグレ、もしかしてまたケガ?」
ユウグレはバツが悪そうにうつむく。
「ん…」
「見せて。ばんそうこう張ってあげる。」
ぼくはユウグレの袖をそっとまくって、左腕にばんそうこうを張ってあげた。ユウグレはときどきケガをして学校に来る。だからぼくは手当てできるようにいつもばんそうこうを持ってきてるんだ。ユウグレはどこでこんなケガをしてくるんだろう?
「よおヨナカ。ユウグレ。…あ?今日もケガしてるのか」
前の席の男の子が気さくな雰囲気で話しかけてきた。この子はショーゴ。明るくて元気な、僕の親友。クラスメートの男子の中じゃ、一番仲がいい。といっても、クラスの人数はぼくをふくめて6人しかいないけれど。
それを聞きつけて、クラスメートたちが集まってくる。
「「ユウグレちゃん、だいじょうぶ?」」
そう双子の女の子たちが聞けば、
「いっつもケガしてるよな、お前。もっと気をつけろよ」
とげとげしいけどどこか優しい響きで男の子が言う。
クラスメートは6人。
親友のシンヤ。
双子の姉妹アサとヨル。
口が悪いけど優しい男の子アケガタ。
ぼくの幼なじみユウグレ。
そしてぼくヨナカ。
もうひとりは……?…あれ?クラスはろくにんのはずなのに、なんでもうひとりいるとおもったんだろう?
ごめんね、まちがえちゃった。
ぼくらのクラスは、みんな仲よし。最高のクラス、3-1(1クラスしかないけどね)。
「おはよう!今日もみんなそろってるな~!」
「はーい!」
第一小学校3年1組、担任は麻田奏太先生。優しくてぼくたちのことを一番に考えてくれる、とってもいい先生。だから、クラスのみんなに好かれている。ちなみに27歳らしい。
「出欠確認するぞー、…アケガタ!」
「はい」
「アサ」
「はいっ」
「シンヤ」
「はい!」
「ユウグレ」
「…」
「よし、ちゃんといるな…ヨナカ!」
「はーいっ」
「ヨル」
「…はい」
麻田先生はニカッっと笑うと、満足そうに教室内を見回した。
「今日も全員、出席!いやあ、元気でいいねぇ!」
「せんせーが一番元気だけどな」
「たしかに~」
あははははっ。教室ににぎやかな笑い声が響いた。
時はしばらくたって、3時間目。算数の時間。
「じゃあ、最後に練習問題だ!クラスで教えあっていいから、頑張ってみてくれ!」
先生のその言葉に、シンヤが顔をしかめた。
「えぇ~っ!?全然わかんね…なぁヨナカ、解き方教えてくれ!勉強得意だろ?」
「いいよ!……は、…して解くの」
「……。うわ、できた…さすがヨナカ!」
そんな2人の様子に、クラスのほかの面々もヨナカの机の周りに集まってくる。
「ヨナカって、勉強だったらホントに何でもできるよね。羨まし~」と、アサ。
「…どんなに勉強しても、ヨナカくんには敵わないわね」とヨル。
アサは勉強よりも運動が得意なタイプで、勉強、特に算数や理科が苦手らしい。
反対にヨルは姉のアサ(双子で、アサが姉でヨルが妹)と正反対、勉強の方が得意なタイプ。
「…なんかコツとかあんのか?」
アケガタがみんなの少し後ろからひょこっと顔を出して聞いた。アケガタも勉強はできる方だけど、この問題は少し難しかったみたいだ。
アケガタは勉強も運動もできる万能タイプっぽい。だけど水泳の授業とかは絶対見学してる。理由は知らないけれど。
ぼくの隣の席にいるユウグレが、こちらをじっと見ていた。ぼくがそっと笑いかけると、ユウグレも少しだけ、笑った。
…その笑顔が一瞬、少し暗くなったように見えたのは、僕の気のせいだったのだろうか。
…放課後。
帰りのホームルームを終えたぼくたちは、駆け足で靴箱へと向かった。
「放課後みんなであそぼーぜ!」
シンヤがみんなの先頭に立って叫ぶ。
ぼくはユウグレの手を引いて、靴箱にある自分の靴を手に取った。
みんなもいそいそと靴を履いている。
その時だった。
「…なんだ、これ…」
アケガタの声だった。
アケガタは靴箱にある自分の靴を取り落とした。
靴と、靴箱の中に描かれている出席番号と…名前。
“おがた ちあき”
「…よ、ヨナカ…おれ、」
アケガタはふるえ声で一番近くにいたぼくを見る。その目は、ひどくおびえていて。
「おれの…な、まえ」
「! アケガタ!?」
目の前に広がったのは。
赤黒い、ねばねばした液体のような何か。
血かと思った。だけど、違う。
“それ”は、自分の心を持っているかのようにアケガタを襲った。
何本もの触手の用にうごめき、牙を持った怪物のような顔を作り出し。大きな口のようなものを開き。
「!! ヨナカ!!みんな!!助けて!!助けてぇッ!!!!」
「アケガタ!!」
シンヤが叫び、伸ばされたアケガタの手を取る。
だが、赤黒い例の触手が邪魔をし、二人を引きはがした。
アケガタの体が、赤黒い液体へと飲まれていく。
「アケガタ!!くそっ、離せ!」
僕は必死に赤黒い”それ”を振り払い、アケガタを助けようとする。
だけど、無駄だった。
「…!」
アケガタの体は、あっという間に赤黒い”それ”に飲まれ、消えた。
「うそ…でしょ?」
アサが呆然と言っている。その隣で、ヨルが手で口を覆って怯えている。
「アケガタ…アケガタ!!」
僕が何度呼んだって、返事は返ってこない。返ってくる訳がないんだ。
赤黒く染まった靴箱のそばの床に、僕は膝をついた。
「ともかく、だれか大人に伝えなきゃ」
「せんせー呼んで来ようぜ!」
ぼくたちはあの出来事を大人に伝えるべく、それぞれ先生たちを探しに行った。
ぼくはあの時から少しも動かずただ立っているユウグレに声をかけた。
きっと、こわくてなにもできなかったんだろう。だったら、ぼくがいっしょにいてあげなきゃ。
「ユウグレ、先生を探しに
ぼくは、それ以上言葉を発することができなかった。
ユウグレの手に握られていたもの。
血の付いたスコップ。
頭に鋭い痛みを感じた。
いかがでしたでしょうか?
良かったら、また次の話も見に来ていただけると幸いです!
それでは。




