霊界物語ナサケモンⅠ
最新エピソード掲載日:2025/11/06
霊界物語ナサケモンⅠのあらすじ
霊界の中層「慈光の門」に生まれた少年 ムッちゃんは、胸に小さな炎を宿していた。その炎は、怒りにも、優しさにも変わり得る「こころの火」。彼の修行は、この火をどのように育てるかにかかっていた。
ある日、ムッちゃんは霊界から人間界へ旅立つ。行き先は 「怒りの谷」。そこは、人々が日々の小さな傷つきや誤解を抱え、心の炎がすぐに燃え上がってしまう世界であり、互いに責め合い、ぶつかり合う者が多く住む場所だった。
地上に降り立ったムッちゃんは、最初はその空気に戸惑う。優しく接しても伝わらず、誤解され、挑発され、時に心を踏みにじられる。彼自身の胸の中の炎も揺れ、何度も怒りが燃え上がりそうになる。
そんなある日、谷の子どもたちとの小さな言い争いの中で、ムッちゃんはついに怒りを爆発させてしまう。胸の炎は形を失い、町を焼くほどの大きな火となり、周りの人々を怯えさせてしまう。
ムッちゃんはその光景に打ちひしがれる。
「ぼくは、人をあたためる火を持つはずだったのに……
どうして、こんなふうに燃えてしまったんだろう。」
涙の中で気づく。
火は、消すべきものではなく、育てる心で形を変えるのだと。
ムッちゃんは、怒りに呑まれた町の人々に向き合い、傷ついた心に耳を傾け、火を小さな灯へ戻していく。誰かの痛みを理解しようとする瞬間、炎は再び穏やかに光った。
やがてムッちゃんは知る。
怒りは、消すべき悪ではなく、
**「悲しみが形を変えた声」**であること。
そしてその悲しみに寄り添う心こそ、
炎を 破壊の火 から 慈しみの灯 へと変える力であることを。
物語は、ムッちゃんがその気づきを胸に、
「次は、もっとやさしく燃やせるはず」と
静かに歩みを進めるところで幕を閉じる。
1-1 落下する炎
2025/11/06 10:13