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第2章 - 初日

そして、これが第2章です。気に入っていただけるといいですね :)

翌日、ミズキが教室に入ると、ジュンイチはすでに他の生徒たちと話していた。


水城 結衣「友達を作るチャンスは絶対に逃さないタイプね。」


ミズキは自分の席に着く。


水城 結衣「私ももう少し頑張るべきかも…。」


そう思いながら椅子に腰を下ろした、その時──


???「やあ、こんにちは。」


突然後ろから声が聞こえた。ミズキが振り返ると、そこにはジュンイチがいた。思わず軽く肩を震わせる。


純一にっこり「大丈夫?驚かせちゃった?」


水城 結衣「…うん、ちょっとね。」


空 純一「はは、ごめんごめん。次から気をつけるよ。」


水城 結衣「もう友達できたの?」


空 純一「うーん、まだ試み中って感じかな。思ったよりも、すでにグループができてる人たちと仲良くなるのって難しいんだよね。」


水城 結衣「でも、少なくとも努力はしてるね。」


空 純一「まだ一人でいる人もいるし、チャンスはあるさ!目標は四人くらいのグループを作ること!」


水城 結衣「その『一人でいる人』って、もしかして…。」


空 純一「うん、カイトのことも含めてね。」


水城 結衣「どうしてそんなに彼と友達になりたいの?」


空 純一「だって、すごく頭がいいし、きっと良い奴だと思うんだ。あんな風にずっと一人でいるのはもったいないよ。」


水城 結衣「そうかもしれないけど…本人がどう思ってるか次第じゃない?」


その時、教室の扉が開いた。カイトが無言で中に入り、静かに自分の席へ向かう。


空 純一「お、噂をすれば影ってやつだな!よっ、カイト!」


熊 海翔「……おはよう。」


ぶっきらぼうにそう返し、カイトはミズキの隣の席に座ると、淡々と教科書を取り出す。


ジュンイチはニヤリと笑い、カイトに近づく。


空 純一「そんなに冷たくしなくてもいいだろ?俺たちもう友達じゃん!」


熊 海翔「…いつそんなことになった?」


空 純一「うわっ…地味に傷つく…。」


その時──


大代 先生「はい、みんな席について。授業を始めるぞ。」


先生が教室に入り、前に立つ。


空 純一「じゃ、また後でね。」


ジュンイチは自分の席に戻った。


ミズキは彼の姿を見送りながら、心の中で思う。


水城 結衣(心の声)「赤染学園の生徒って、なんだか個性的な人が多いなあ。」


その時、カイトがちらっとジュンイチを見た後、ふと視線を感じてミズキの方を向く。


ミズキは一瞬目が合い、慌ててそっぽを向いた。


先生が数枚の紙を手に取り、前に出る。


大代 先生「さて、授業を始める前に、昨日の小テストの結果を返す。」


そう言いながら、先生はカイトの席に近づいた。


大代 先生「今年も例年通り、全体の平均点は大体同じだったな。毎回、ちょっとしたミスで点数を落としている生徒が多い。」


そう言いながら、一枚の答案用紙をカイトに渡す。


そこには「100/100」と書かれていた。


大代 先生「カイトは満点だったぞ。よく頑張ったな。」


熊 海翔「ありがとうございます。」


水城 結衣(心の声)「すごい…!あんなに早く終わったのに、全問正解なんて…!」


ミズキは驚いてカイトの方を見るが、彼は相変わらず冷静な表情だった。


隣を見ると、ジュンイチが満面の笑みで親指を立てていた。


大代 先生「もし分からないことがあれば、彼に聞いてみるといいぞ。さて、では採点結果を配り終わるとしよう。」


先生が次々と答案を配り始める。


ミズキも自分の答案を受け取ると、そこには「65/100」の文字が。


水城 結衣(心の声)「65点…喜ぶべきか、落ち込むべきか…。」


翌日、ミズキが教室に入ると、ジュンイチが他の生徒と話しているのが目に入った。


ミズキ・ユイ:「友達作りの機会を絶対に逃さないのね。」


そう思いながら、自分の席に座る。


ミズキ・ユイ:「私も真似したほうがいいのかな…」


そう考えていると、不意に後ろから声をかけられた。


ジュンイチ・ソラ(微笑みながら):「よっ、やぁ。」


振り向いた瞬間、すぐ後ろにいたジュンイチの顔が目に入り、ミズキは少し驚いた。


ジュンイチ・ソラ:「元気?」


ミズキ・ユイ:「ええ、ありがとう。でも、びっくりしたわ。」


ジュンイチ・ソラ:「はは、ごめんごめん。次からは気をつけるよ。」


ミズキ・ユイ:「また新しい友達を作ったの?」


ジュンイチ・ソラ:「そのつもりだったけど、思ったより難しいな。すでにグループができてると、入るのが大変でさ。」


ミズキ・ユイ:「でも、努力しただけでも偉いと思う。」


ジュンイチ・ソラ:「まだ一人でいる人もいるし、チャンスはあると思うんだ。最終的には、四人くらいのグループを作れたらいいな。」


ミズキ・ユイ:「その『一人でいる人』って…」


ジュンイチ・ソラ:「うん、カイトのことも含めてね。でも、彼だけじゃないよ。」


ミズキ・ユイ:「どうしてそんなにカイトと仲良くなりたいの?」


ジュンイチ・ソラ:「彼、頭がいいだろ?それに、なんとなく良いやつな気がするんだよね。ずっと一人にしておくのは、もったいない気がして。」


ミズキ・ユイ:「それはそうかもしれないけど、本人の気持ちもあるし…」


ちょうどその時、教室の扉が静かに開き、カイトが入ってきた。


ジュンイチ・ソラ:「おっ、噂をすれば…よう、カイト!」


カイト・クマ:「…おはよう。」


カイトは冷たく一言だけ返し、自分の席に座って黙々と教科書を取り出す。ジュンイチはすかさず彼の隣へ近づいた。


ジュンイチ・ソラ:「そんなにクールにならなくてもいいじゃん。もう俺たち友達でしょ?」


カイト・クマ:「…そうか?」


ジュンイチ・ソラ:「うっ…その反応は地味にダメージでかいな…。俺、勝手に思い込んでたのか…?」


そこへ、先生が教室に入ってくる。


オオチロ先生:「おはようございます。皆さん、席についてください。授業を始めます。」


ジュンイチ・ソラ(微笑みながら):「じゃ、また後でな。」


彼はそう言って、自分の席に戻った。


ミズキ・ユイ(心の中):「アカゾメの生徒って、なんか個性的な人が多いな…。」


カイトが席に戻るジュンイチの背中を見送りながら、ふと気配を感じて振り向くと、ミズキと目が合った。


ミズキ・ユイ:「…!」(すぐにそらす)


カイトは特に気にする様子もなく、また窓の外を眺める。


先生が黒板に「ペアでの復習」と書く。


オオチロ先生:「さて、昨日の小テストの答案を返します。間違えたところを隣の人と一緒に確認しながら、復習してください。」


ミズキ・ユイ:「えっ…ペアで?」


クラスの生徒たちは次々に机を寄せ合い、ペアを作り始める。


ミズキ・ユイ(心の中):「…ってことは、私はカイトと?」


カイトの方を見ると、相変わらず静かに窓の外を見つめている。


ミズキ・ユイ(心の中):「カイトは満点だったし、私が隣に行っても意味ないよね…?」


視線をジュンイチの方へ移すと、彼はすでに隣のアヤノと机をくっつけて楽しそうに話していた。


ジュンイチ・ソラ:「88点?すごいな!俺なんか60点だったよ。」


アヤノ・タクモ(微笑みながら):「でも、60点なら悪くないと思うよ。予告なしのテストだったし。」


ジュンイチ・ソラ:「そう言ってもらえると救われるな~。」


ミズキ・ユイ(心の中):「ジュンイチは本当に誰とでも仲良くなれるんだな… でも、それはいいことだよね。」


結局、ミズキは意を決して机をカイトの方へ少し動かす。


ミズキ・ユイ:「えっと…お邪魔します。」


彼女は完全に机をくっつけるのは恥ずかしくて、少し距離を残したまま座る。


ミズキ・ユイ:「私、あんまり役に立てないかも…ごめんね。」


カイト・クマ:「別に。」


淡々と答えると、カイトは自分の答案をミズキに差し出した。


カイト・クマ:「これ、見てもいいよ。」


ミズキ・ユイ:「えっ、ありがとう!」


答案を見ながら、自分のミスを確認するミズキ。しかし、ある計算式のミスに気づけずにいると…


カイト・クマ:「そこ、計算ミスしてる。」


指で答案のある箇所を示しながら説明する。


カイト・クマ:「Δ=b²−4ac ここでbとcを取り違えてる。」


ミズキ・ユイ:「あ、本当だ!ありがとう!」


次々と間違いを訂正しながら、ミズキは再び行き詰まる。今度は化学の反応式だった。


カイト・クマ:「C6H6O + O2 → CO2 + H2O ここには7、6、3を入れる。」


カイトは淡々と説明する。


ミズキ・ユイ:「なるほど…めちゃくちゃ分かりやすい!」


カイト・クマ:「あと、ここの遅延時間τは…」


そんな風にして、ミズキはカイトに助けられながら復習を進めた。


やがて授業が終わり、休み時間に入る。


ミズキ・ユイ:「ふぅ…。」


彼女は軽くため息をついた。


水城優衣:「思ったより簡単だったな。全部理解できてよかった。」


教師:「カイト、ちょっと来てもらえるか?」


水城優衣:「お礼を言わなきゃ。うん、ちゃんと言おう!」


水城はカイトの席の方を向いた。


水城優衣:「ありがとう、かっ…」


だが、顔を向けた瞬間、彼の姿はすでになかった。カイトは教師と一緒に教室を出ていた。教師が彼を呼んだことすら気づかなかった。


水城優衣:「…こ…あれ? 逃しちゃった。もういない。」


純一空:「優衣?」


純一が彼女の前に立つ。


水城優衣:「あ、純一。」


純一空:「いやー、すごいね。カイトと話せたんでしょ? どうだった?」


水城優衣:「ただ答案を見直していただけよ。というか、私の答案をカイトが直してくれただけで… でも、お礼を言う前に行っちゃったの。」


純一空:「俺、見てたよ。あんなにカイトが誰かと話してるの、初めて見た。」


水城優衣:「そんなに話してたっけ…? ただ、私が全然分かってなかったから、仕方なく付き合ってくれただけじゃない?」


純一空(笑いながら):「そんなことないって、アハハ!」


純一は水城に近づき、こっそり耳打ちする。


純一空(小声):「実はさ、新しいメンバーをグループに誘おうと思ってるんだ。」


水城優衣:「…え? そもそも私たち、グループなんて作ってた?」


純一空(笑顔):「当然でしょ。ほら、さっき“4人くらいで集まれたらいいな”って言ってたじゃん?」


水城優衣:「いや、それ言ったのあんたでしょ。」


純一空:「あ、そうだったっけ? まあ、いいや。それでさ、カイトを仲間にしたら、ちょうど4人になるんだよ!」


水城優衣:「…頑張って。でも、あんまり期待しない方がいいと思うよ。」


純一空:「任せて。絶対うまくやるから! それに、頭のいい人が2人もいたら、勉強も楽になるでしょ?」



昼休み。教室で純一と水城は一緒に昼食を食べていた。


純一空:「またいないの?」


水城優衣:「うん。」


純一空:「授業中に言えばよかったのに。」


水城優衣:「あの雰囲気で言えるわけないでしょ。すごく真剣だったし。」


純一空:「そんなにお礼が言いたい?」


水城優衣:「当然でしょ。そうすれば、少しは心を開いてくれるかもしれないし。」


純一空:「ふーん… つまり、友達になりたいってこと?」


水城優衣:「ただの礼儀よ。」


純一空:「まあ、もうすぐ戻ってくるでしょ。昼ご飯の時間だし。」


水城優衣:「そうだね。」


その頃、カイトは職員室から出てきた。


カイト熊:「ありがとうございます。」


扉を閉め、教室へ戻る。


純一空:「お、やっと戻ってきたな。」


カイトは席に座り、静かに弁当を開く。


純一空:「なあ、カイト。お前、絶対役に立つと思うんだけど。」


カイト熊:「悪いけど、俺は教えるの得意じゃないよ。他の人を探した方がいい。」


純一空:「謙遜するなって! お前の成績、見ればわかるだろ?」


カイト熊:「ただ勉強してるだけ。」


純一はしつこくカイトを誘い続けたが、カイトの態度は変わらなかった。


純一空:「うーん… やっぱり難しいか。でも諦めないぞ! そうだ、カイト。優衣がお前に話したいことがあるって。」


水城優衣:「えっ? あ、うん…」


だがその瞬間、カイトのスマホが鳴る。彼は画面を確認すると、静かに席を立った。


カイト熊:「悪い、大事な用なんだ。」


そう言って、彼は教室を出る。


純一空:「…タイミング悪すぎじゃない?」


水城優衣:「本当についてない。まるで運命が邪魔してるみたい。」


純一空:「よし、放課後だ! その時こそ、お前はカイトにお礼を言って、俺はグループに誘う!」


水城優衣:「楽観的すぎると思うけど…」



カイトは校舎の屋上に出て、電話に出た。数秒間会話を交わした後、無言で通話を切る。そして短いメッセージを送る。


カイトメッセージ:「今日も帰りが遅くなる。」


ベンチに座り、深く息をついた。しばらく静かに時間を過ごし、授業が始まる頃になって教室へ戻った。


授業中、水城は何度かカイトに視線を送るが、彼はずっとノートに集中していた。


水城優衣(心の声):「やっぱり、放課後まで待つしかないか…」


やがて放課後。生徒たちが教室を出る中、カイトも鞄をまとめていた。


純一空:「これから、面倒なことになりそうじゃない?」


カイト熊:「…まあな。」


カイトは荷物を片付けながら、相変わらず冷たい態度で順一に返事をする。彼の視線は一度も順一に向けられることはなかった。

順一が軽くカイトに触れようとした瞬間、カイトはさっと身を引く。ただ冷たいだけでなく、どうやら他人との接触も嫌っているようだった。


空 順一:「そういえば、水希が君に話したいことがあるってさ。」


カイトの視線が水希へと向く。

水希は少し気まずそうな顔をしながら、意を決して口を開いた。


結城 水希:「あ、えっと…そうだね、えへへ。実は、今朝のこと、助けてくれてありがとうって…言いたくて。」


熊 カイト:「…それで、さっきから俺のこと見てたのか?」


水希の顔が一気に赤くなった。


結城 水希(頬を赤らめながら):「えっ…!? そ、それに気づいてたの!? えっと、うん…それが理由なんだけど、ごめんね…!」


熊 カイト:「それに、お前、もう一度お礼を言ってたぞ。」


結城 水希:「えっ? そうなの?」


熊 カイト:「それに、俺はただ先生に言われたことをしただけだ。礼を言われるほどのことじゃない。」


空 順一:「つまり、水希の悩みは無駄だったってことか。」


熊 カイト:「…失礼する。俺はもう行く。」


空 順一:「待てよ、せっかくだしどこか遊びに行かないか? 帰るにはまだ早いし。」


熊 カイト:「誘ってくれてありがとう。でも、予定があるんでな。」


空 順一:「そっか、まあしょうがないな。また今度な。」


カイトは教室を出て行った。

順一は大きくため息をついた。


空 順一(ため息):「やっぱりダメだったな…。どうせ適当に嘘ついたんだろ。」


結城 水希:「ただ一人になりたいだけかもしれないよ。」


空 順一:「それならそう言うだろ。」


結城 水希:「…でも、直接聞いたわけじゃないよね?」


空 順一:「聞かなくても分かるだろ。あいつ、ただの人見知りなのか?」


結城 水希:「さあ…。」


空 順一:「まあいい! 俺は諦めないぞ! 一週間かけてでも仲良くなってみせる!」


結城 水希:「すごい執念…。それもうほぼストーカーじゃない?」


空 順一:「水希も手伝え!」


結城 水希:「えっ!?」


空 順一:「クラスで一人ぼっちのやつがいるのはよくないだろ? 俺たちはクラスメイトなんだから、みんな仲良くしないと! それに、他にカイトと話そうとする奴なんていないだろ?」


水希は昨日の生徒たちの噂話を思い出した。


結城 水希:「…それは、まあ確かに。」


空 順一(ニッと笑う):「だろ? 任せとけ!」


そうして一週間が過ぎた。

順一と水希――いや、ほとんど順一が、カイトと仲良くなるために必死に試みた。

昼休み、体育の時間、授業中、放課後、登校時、クラスの入り口、校庭の自販機の前、さらには先生の目の前でさえ…! しかし、彼らの努力はことごとく空振りに終わった。


結城 水希:「ねえ、もう一週間経ったよ? そろそろ諦めたら?」


空 順一:「問題ない!」


結城 水希:「いや、話聞いてる?」


空 順一:「最終決戦は、次のクラス交流会だ!」


結城 水希:「…ほんとに諦める気ないんだね。」







読んでくれてありがとう :)


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