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1-48 『タレミシア革命』③


 新星歴二九八七年五月十一日


 この日、アメリアは魔眼の才があると発覚したことで魔眼に関する魔導書でアミールと読むことになった。

 だが、アミーは読み聞かせるために普段なら城内にある書庫へ向かうのだが、今は別室の何もない真っ白い空間で中央に椅子と机と本が置かれていた。


 魔眼を一度でも発現した者は基本複数魔眼を持っていることが多い。

 そして、魔眼は通常の天性魔術とは違い、遺伝によって決まらない。

 ジークは魔眼など持っていないのがその証拠だ。


「では、まずこの《未来眼》から試してみましょうか」

「……うん」


 順にアミールはアメリアに教えていく。

 ちなみに今、ここにいるのはアメリアとアミールと二人だけ。

 この状況をジークが許すわけがない。


 かと言って国王陛下にこの読み聞かせることなんてできない。

 それはこの魔眼を調べる行為自体、危険が伴うからだ。

 もしこれでジークが亡くなったらこのタレミア王国は『反国派』に攻められ国が滅びてしまう。


 よって、この役をアミール・タルタロスが受け持ったのだ。


「じゃあ、今から俺は何するか当ててください」

「……頭を撫でる?」


 すんなりとアメリアは答えた。

 それを聞いたアミールはアメリアの頭を撫でた。


「正解です、よくわかりましたね」

「……あと、アミーが炎を出して、その炎が消えて、アミーが急に抱き着いてきて、すぐ離れて、で急にアミーの体が動かなくなったの。それでそれでそれで――――」

「もういいです! 十分わかりましたから!」


 そこまで見たのか。

 《未来眼》は魔力を込めれば込めるほど見ている未来が見える。

 ということはアメリアはすらすらとそこまで未来を見るほどに魔力量はある。というのはすでに知っている。

 《未来眼》は未来が見えるだけでその未来に確証は無い。頭を撫でたのも言われて撫でた可能性もある。故に《未来眼》のことは一旦置いといて次の魔眼をやらせてみようとアミールは思った。


(というか姫様の言った通りなら俺相当やばい人じゃね?)


 それは置いといて次に進もう。

 アミールは炎の小さな火の粉を出す。

 一般的に知られていないが最低位魔術《炎の千槍(サウザントブレイズ)》は魔術のコントロールさえ精密なら一つの火球にすることだってできる。


「では、姫様。この炎を《消滅眼》で消してみてください」

「……わかった」


 すると火球は一瞬で何もなかったように消えた。

 どうやらアメリアは《消滅眼》を使えるようだ。


「姫様、凄いですよ。もう三つの魔眼を使えるじゃないですか」

「……ありがと」


 《未来眼》はさておき現時点で《炎上眼》《消滅眼》は使えることが判明した。

 魔眼持ちの魔術師はその大半が一、二個ぐらいしか魔眼を持たない。

 そして、アメリアは魔眼をすでに三つ持っていることがわかった。これ以上しなくても良い状況ではあるがそうもいかない。

 この世界には二十個の魔眼を持っている魔術師もいるぐらいだ。

 まだまだ捜索する必要がある。


 この後もアメリアとアミールの魔眼検証は続いた。


 《魅了眼》。

 それは視界に収まった全ての動物を自分に惹きつけることができる魔眼。


「姫様ぁ……!! 愛してますぅ……!」


 アメリアはもちろんその魔眼を持っていた。

 急にアミールはアメリアに抱き着いた。


「好き好き! 大好きです!!」

「アミー、キモい」


 「キモい」と言われ瞬間に理性を取り戻すアミール。

 咄嗟にアミールはアメリアから離れた。


「す、すみません!!」


 精神系魔術の耐性を持っているアミールでも求愛せずにはいられないほどにアメリアの《魅了眼》は強力だった。

 魔術のせいとは言えアミールは急にアメリアから目を逸らした。

 さすがにあんな姿を見せてしまったら合わせる顔が無い。と言ってもそうは言ってられない。


 ごほん。

 続けよう。


「先ほどはすみませんでした。姫様、続けましょうか」

「……うん」


 次はこれだな。


「姫様、次は《制動眼》をやってみてください。それでこの魔眼なんですけど――――!!」


 言ってる矢先にアミールの体は硬直した。

 話せない。


 まさか《制動眼》も使えるとは。

 これでアメリアは《炎上眼》《消滅眼》《魅了眼》《制動眼》が使え――――いや、これは最初アメリアが《未来眼》を通して言っていたことと合致している。


 この時点でアメリアは五つの魔眼を持っていることになった。


「なんでアミー、動かないの?」


 それは姫様の《制動眼》がかかっているから、と言いたいけどアミールの口は動かない。


 やがてアミールは体が動けるようになった。


「姫様、急に魔術を出さないでください。その魔術は話せないんですから」

「……ごめんなさい」


 素直に謝るアメリア、それを見てアミールは頭に手を置く。


「良いんですよ。俺はあなたがどれだけできるか試したいだけなんですから。じゃあ、次行きましょうか」

「……うん!!」


 こうしてアメリアの魔眼検証が続いた。


 楽しそうにアメリアとアミーの魔眼検証していた矢先に一人、覗いて腹を立てていた。


「早く戻ってください、陛下!」

「陛下のせいで今、会議開始時刻が大幅に遅れてるんですよ!」

「うるせえ!! そんなことはどうでもいい!!」


 ジーク・ランドロード・タレミア。

 まったく……この男はどうしようもない男である。


 そして、アミールがジークに胸倉を掴まれながらもアメリアの魔眼の保有数を報告した。


 それは「今現存する全ての魔眼を使える」ということだった。


 そのことを聞いてジークは盛大に喜んだ。

 だが、それが同時に引き金となった。


 そこにいたグレイバル・サタンはにやりと笑う。


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