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1ー47 『タレミシア革命』②


 ※※※※※


 タレミア王国には二つ勢力が入り浸っている。

 国王とそれに従う地位の高い貴族で構成された『王国派』。

 辺境貴族と他、地位の低い貴族で構成され権力強奪を狙う『反国派』。


 彼らは互いに牽制し合い、その均衡があって今のタレミア王国は内戦すら起きていなかった。


 だか、その均衡は崩れた。

 その原因はそう、全ての元凶はアメリア・ランドロード・タレミアが誕生したからである。


 ※※※※※


「こ、これは……」

「こんなの、見た事ありません……」


 アメリアの魔力数値は異常だった。

 三歳はまだ魔力量の発展途上。そこまで発達していない。

 それなのに彼女の数値は既に国王はおろか、王よりも魔力量のあるアミールよりも高かったのだ。


「これ、水晶が壊れてるとか、だよな」

「間違いありません。そうだと思います」


 国王が水晶に手を当てる。


「数値は前見たのと変わらないな。アミール、お前もやってみろ」

「わかりました。………俺も変わりません」

「……もう一度、娘の手を当ててみようか」

「わかりました。……やはり数値は一緒ですね」

「…………」

「…………」

「なあ、これって」

「はい、間違いなく姫様は――――」


 ジークとアミールは口を揃えて叫んだ。


「「天才児だぁぁぁぁぁ!」」

「……?」


 アメリアは首を傾げてジークとアミールを見る。

 ジークはアメリアを抱きしめた。


「アメリア、本当にすごいぞ……!! さすが我が娘だ……!!」

「ええ。本当にお凄いです。姫様は」

「……??」


 無駄に褒めるジークとアミール、それに訳も分からず抱きつかれるアメリア。


 そんな魔術の才能の原石はこの時、眼に魔術陣が出現していた。

 抱きつかれぼうっとジークの後ろの、壁の向こう側にいた話す男性と異形の形をした何者かを。


 そして、その者らはすぐにそのアメリアの眼に気づいてすぐに異形の形をした何者かの姿が消えた。

 三歳のアメリアはこの時から天性魔術に目覚めていたのだ。


 ※※※※※


 新星歴二九八七年五月十日


 四歳にならずアメリアの魔術の才能は開花し始めた。


 アメリアが城の廊下に多く飾られている植木鉢の花を見ていた時、突然燃えた。

 

「姫様……! お下がりください……! 危ないです……!!」


 メイドがアメリアの背後から燃えている花との距離を離した。


「お怪我はありませんか……? ……なんで突然燃えたのかしら」

「…………」


 メイドがアメリアの汚れを取っているとき、アメリアは茫然と燃えている花を見つめていた。

 少し離れた左隣の植木鉢の花の方にアメリアは見た。


 燃えた。


 これは……。

 メイドはある可能性に気づいた。

 彼女と目を合わせず距離を置かせたことが正解であった。


「おいおい」

「何があったんだ……!」


 煙が上がっていることに気づき、近くにいた二人の魔術師が駆けつける。


「近づかないでください……!!」


 メイドがアメリアに背後から抱いて大声を上げる。


「……?」

「いやいや、近づくなと言われても無理があるだろ。姫様が危ないじゃないか。ささ、姫様こちらへ」


 魔術師がそう言うと、アメリアが振り返る。


 燃えた。


「が、ああああああああああ!!」


 魔術師の顔が一瞬で燃えたのだ。


「まさか……!!」


 一方の魔術師がアメリアに《消滅眼》を当てる。

 すると燃えていた魔術師の顔が一瞬で消えた。

 燃えた花はすっかり見る影も無くそこにあるのは植木鉢のみとなった。


「おい、大丈夫か」

「ああ」

「良かったな。俺が《消滅眼》を持っていなかったらやばかったぞ」

「全くだ。しっかし、これは凄い魔術をお持ちになられたな」

「《炎上眼》か」


 《炎上眼》。

 その魔眼は極めて保持者が少なく、文献も少ない。

 それを知る者は一部の魔眼に精通する魔術師か魔導書を読み漁る魔術オタクかぐらいで、約三千年続く歴代の五大魔術師(クインテット)でもその保持者はたった数人程度。


「アメリア!! 大丈夫か……!!」


 ここでジークが登場。走ってすぐにアメリアに抱き着いた。


「パパ、苦しい」

「そうだよ。パパだって苦しかったんだよ。もし……もし、アメリアが居なくなったらと思ったら、もう……」


 すげえ食い違い。

 物理的に苦しいアメリアと感情的に苦しいジーク。

 ジークはすぐに問い詰める。


「で、誰が炎系魔術を使ったんだ……!! 出てこい……!! ぶっ殺してや……」


 すぐにジークは気づく。

 ジーク・ランドロード・タレミアもまたタレミア王国の国王でありながらも継承前にはタレミア王国魔術師団の副団長をも務めていたほどの魔術師。

 副団長といっても継承の関係で本当は団長に慣れた逸材。


 そのジークは一人の魔術師の顔が火傷を負っており、もう一人の魔術師の眼に魔術陣が刻まれているとわかってアメリアの方を見る。

 アメリアの眼には明らかに魔術陣を形成されていた。


「そういうことか。なるほど……」


 ジークは立ち上がり、二人の魔術師の方に向かう。

 そして、頭を下げる。


「うちの娘がすまなかった!! どうか、これで娘のことを許してほしい!」

「ちょっ、やめてください!」

「我々は何も怒ってはおりません! むしろ感心していたぐらいです!」

「……そうか。ならよかった」


 ジークはアメリアの元に戻る。


「アメリア、彼らに謝りなさい」

「どうして? 私、何もしてないよ?」

「何もしてなくてもだ。アメリアは自覚が無いかもしれないけど、それでも彼らを傷つけたのはアメリアなんだよ。だから、謝りなさい」

「……わかった」


 てくてくとアメリアは二人の魔術師のもとに行く。

 そして、立ち止まった。


「ごめんなさい」


 俯きながら謝ったアメリアに対し、魔術師たちは思った。

 可愛い。


「いえいえ、我々は何も怒ってないですよ」

「謝る必要なんて我々下々にしなくてもいいんですよ。この負った火傷も怪我の功名みたいなものなんですから」

「……ありがとう」


 二人の魔術師は同時に心を撃ち抜かれた。

 可愛すぎる。


 頬を上がりまくって二人の魔術師は「それでは、失礼します」と言ってこの場を去ろうとした。が、許さない者が彼らの肩を叩いた。


「誰が帰ってもいいと……?」


 あっれええええ……?


 ジークは確かに非を認めたのになぜか怒ってらっしゃるでは無いか。


 その後、彼ら二人の魔術師はジークに引っ張られいつしかアメリアに近づくことは無かった。

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