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1ー41 一年生予選『決勝』①……


 新星歴二九九八年六月六日


 昨日、リーナが三位決定戦で三位となって残る『星極の術魔祭』一年生予選の試合は僅か一つとなった。


 決勝。

 ノア・ライトマン対ルーク・フランドル。


「予想はしていたけど、まさかあんな試合を見せられてとは思わなかったよ、ノア君」

「不満か? オレこそお前と試合できるとは思ってなかったよ」

「僕だってこう見えて入試三位だよ? 君たち好敵手が居なかったからここまで来れたんじゃないか」


 試合前、オレはルークと話をつける。

 って、お前三位なのかよ。


 それもそうか……。こいつの血筋は確か――――


「なあ、ルーク。あの日の約束、忘れてないよな?」

「ああ。僕が本気を出す話でしょ? 初めからそのつもりだよ。じゃないと君に勝てない」


 本気を出してもらわないとオレは『魔術師殺し』として殺してしまうかもしれないからな。


「ただ、勝つのはオレだ。この一年生予選はオレが優勝をもらう」

「それはどうかな。まだ、僕はこの大会で本気を出してないんだ。せいぜい油断しないように」


 そうか。お前もリーナと同じように本気を出してくれってことだな。 

 いいだろう。リーナと同じ条件でやってやる。


 二人は壇上に登り、『星極の術魔祭』一年生予選決勝が今、ここに始まる。


  ※※※※※


 新星歴二九九八年四月二十四日



 最高位魔術《装いの死》は特定の対象に変装し、長期間維持する魔術。そして、その魔術の最大の効果はその特定の対象のまま自分が命を絶った時、その特定の対象も死ぬことにある。


「ダンベル!!」


 オレはザノア帝国の帝城アルカナディアに戻り、大声でザノア帝国魔術師団団長ダンベル・シュナイダーを呼びつける。


「急にどうした、ノア君。学校に行ってるんじゃなかったのか?」


 そう驚いても無理はない。オレはあることを聞きに帝城に戻ったのだから。


「オレは! 本当に『魔術師殺し』を討伐したんだろうな!!」


 ポカン。

 ダンベルは何を言ってるんだという目で見つめながらも冷静に答える。


「そうだ。君が『魔術師殺し』を討伐した。そんなことより、俺の部屋に来なさい。ここじゃ目立つ」


 城の廊下、突然の怒声にこちらの注目が集まっていた。


「……わかった」

「よろしい。君がそう思ったのか話してくれ」






 ダンベルさんは自室で声を荒げて笑い出した。


「……なに笑ってんだ」

「ああ、すまないすまない。何を言うかと思えば、まさか君が彼を知っていなかったとはね」


 どういうことだ……?


「ルーク・フランドル。彼は有名人だよ。なにせあの、彼の父親が彼のことを『私を超える魔術師になる』と言っているぐらいだからね」

「彼の父親ってそいつは誰なんだよ」

「……本当に言ってる?」

「ああ」


 ……?

 なんだその反応。


「まさか君がそこまで世間知らずだったとはね」

「……悪かったな」


 ダンベルは話す。


「彼の父親はフランドル・タリア連邦、フランドル国全土を統治する当主スプリット・フランドル。――――」


 ※※※※※


『さあ、始まりました!! 『星極の術魔祭』予選も大詰めとなりました!! 一年生予選決勝です!! 前回、ノア・ライトマン選手はリーナ・ラカゼット選手と対峙し、最高位魔術の猛攻を受けるも自身の天性魔術《斬撃》を信じ抜き、見事この大舞台に立つことができました!! 対してルーク・フランドル選手は――――』


 ルークの正体、それは――――


五大魔術師(クインテット)第四位スプリット・フランドルのご子息に相応しい実力で巧みに基本魔術を使い、ここまで来ることができました!! しかもこの大会でいまだルーク選手は天性魔術を使っていません!! 凄すぎます!!』


 『魔術師殺し』がルークを殺すために憑依していたのなら奴がルークの擬態していたのも納得がいく。

 そして、最後の不安要素は――――


『さあ、果たしてどちらが優勝の旗を手にするのでしょうか。最高位魔術にも動じず己の魔術を貫いたノア・ライトマン選手か……!! はたまた、この舞台で奥の手を隠しながら戦い続け未だ本気を出していないルーク・フランドル選手か……!!

 ここに賽は投げられました!!

 優勝するのは果たしてどちらなのでしょうか!!

 信念と覚悟、それに情熱と友愛が混じり合い、

 ここに今、学年最強が決定致します!!

 実況は私、ジュリー・ローズが務めさせて頂きます。解説はセンリ・アーヴァイン先生です!! よろしくお願いします!!』

『よろしくお願いします』


 ようやくだ。ようやく、お前の疑いが晴れるんだ。

 さて、始めようか。


『皆さん、それでは最後に開始の合図を、言いましょう!! 行きますよぉぅ……せーのっ!』

「「「「「試合開始(ビギニングマッチ)……!!」」」」」


 結界魔術《虚無の平原》がオレ達を包み込んだ。

 結界魔術《虚無の平原》は砂漠が広がる夜空の、他は何もない平たい土地だ。追加効果が無いこの結界魔術は実力を惜しみなく発揮できるので『星極の術魔祭』一年生予選決勝では最高の舞台だ。


 オレは手刀でルークの出方を伺う。


「何もしてこないのかい?」

「ああ。オレがいきなり詰め寄ると本気出せないだろ?」

「……舐められてるね、僕。でもいいよ。その方が僕にとって都合が良いしね。……じゃあこの機会に甘えて使わせてもらう」


 さあ、来い。


「天性魔術をこう――――」


 この瞬間、結界魔術は破られた。


 

 この私立タレミア魔術学園の実技場において結界魔術を破る方法は二つ。

 ノアのやった“斬撃 結界破り”は例外として、一つは実技上に内蔵された結界魔術の付与魔術陣を破壊するか。


 もう一つは、外部からの何者かの襲来によって実技場そのものが破壊されるか。


 オレとルークは見た。

 実技場が破壊され空洞ができたこと。

 その突然の出来事に負傷する観客たち。


 そして、その空洞から現れた奇怪な魔物が姿を現した。

 その魔物はかつて十年前に『タレミシア革命』において多くの国民を殺害した未だ生態不明のゴーレム型の魔物だった。


 ※※※※※


「いやあああああああああああああああああああ!!」


 それを見たリーナは跪き、怯え、悲鳴を上げた。

 そしてリーナは何者かによって気絶させられる。


 そのままリーナは何者かによって連れ去られてしまった。


 これが、後に起こる内戦の引き金になることも知らずに。

×1ー41 一年生予選『決勝戦』①……

○1ー41 正体不明のゴーレム襲来



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