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1-39 ノア・ライトマン対リーナ・ラカゼット⑤


 ※※※※※


「ねえ、ノア。聞いて」

「……なんだよ」


 これはいつかの記憶。

 フレイはオレに突然聞いてきた。


「私、本当は君以外にも弟子を取ろうとしてたの」

「……?」


 なんで急にそんなこと話すんだよ。


「その子は君と同じくらいなんだけど、ある事件に会って一人になっちゃったんだよ」

「……?? それ今言うことか?」

「最後まで聞いて」


 フレイがオレの方に向き、瞳が合う。


「もちろん、今は一人じゃないよ。ある人がその子を引き取ってくれたから。でも、本当は早くその事件に気づいてたらあんなことにはならなかったんだよ……。だから、もしその子に会ったら絶対に仲良くして欲しい」


 いや、そんなこと言われても。


「……名前はなんて言うんだよ」

「そうだね。その子の名前は――――」


 ※※※※※


『な、なんて試合なんだああああ!! ここであらゆる魔術師でも特質した才を持った者にしか使えない最高位魔術が炸裂したああああ!! しかし、ノア選手はその最高位魔術を逆手に反撃!! それも見切ったリーナ選手が群を抜き、ノア選手に致命的な一撃を加えました!! すごい……すごいぞ!! これこそ『事実上の決勝戦』だああああ!!』


 リーナの腕が完全に回復した。


「お前、痛くねえのか?」

「痛いよ。でも、あんたに勝つにはここまでしないとだからね。だから、次で決めるよ」

「……そうか。だったら、オレも本気でいこう」


 中位魔術《礫地の剣(グラウンドソード)》が結界魔術《疾走する草原》の草花を一掃する程に出現させ、リーナは詠唱する。


「《生点》と《死点》が締結する。

 無数の意志を持つ集合体。その全てが死に匹敵する核。

 群生。

 連綿。

 鏖殺。

 滅絶。

 その一つの花が全てを消し去り、無に帰す。

 そしてその花は散らばり相殺する。

 決して逃げ場を与えたりしない。

 さあ、今ここに絶望と後悔を浴びせよう。

 最高位魔術《蒲公英(ダンテライオン)》」


 ここに来てまたもや最高位魔術を繰り出してきやがった。


 最高位魔術は魔術の中で特に魔力を使う。、

 通常、一回使っただけで一般の魔術師は『魔力欠乏症』の病にかかる。

 リーナはそれを二度、さらに二重魔術(ダブルスペンド)を使いながらなので、リーナは余程魔力量が高いと言える。


 そして、複数の最高位魔術を持つ魔術師はこの世にたった数人程しかいないぐらいの才を持った者にしかできない所業。


 フレイでさえ最高位魔術は一つしか使えなかった。

 それをリーナは二つ持っているのだから、やはりリーナはそれだけの素質を持っている。


「……!!」


 さらにリーナは魔眼を発動。

 《仏眼》。

 それは視界に移した魔術の威力を最大限まで上げる魔眼。これは相手の魔術にも通じるのが弱点だが、魔術を使えないオレを相手にするのなら寧ろデメリット無しで使える。


 どこまでお前は自分の限界を超えるんだ。

 三つの魔術を同時に発動する三重魔術(トリプルスペンド)なんて他の魔術師でも十年以上修行してもできるかできないかのレベルだぞ。


「これが私があんたに勝つために考えた最高の混合魔術。これであんたは“魔術返し”もできないし、私に近づくこともできない」


 いやいや、勝つためとはいえ、これは寧ろ殺しに来てるだろ。

 こんなの、どうやったって勝てるわけ無いだろ。


 ――――とでも言うと思ったか?


 オレは腰まで引いて手刀を構える。


「だったら、オレも全力を以てお前に立ち向かう。だから、受け取ってくれ。

 ――――“斬撃”」


 最大出力の光の剣術“【斬撃】三日月”で迎え撃つ。

 ただ、これだけじゃこの攻撃を捌けないだろう。結界魔術《疾走する草原》しか破れない。


 だから、オレも限界を超える。

 行くぞ、リーナ。

 これがオレの本当の全力だ。


 結界魔術《疾走する草原》は自身の効果を忘れて、日差しの当たる無の空間と化す。

 両者、共に自分の限界という限界を超えて己の実力をぶつけ合う。


『さあ、勝つのはどっちなのでしょうか!! 長年立っていた首位の座から下ろされ、次席となった魔眼の女王、リーナ・ラカゼット選手か……!! それとも、我が学園に突如現れた圧倒的強者、斬撃の化身、ノア・ライトマン選手か……!!』


「「はあぁぁあああああ……!!」」


 結界中に広がる莫大なエネルギーが観客の目を惑わし、その勝敗は誰もわからなくなった。


 ただ、わかるのは必ず引き分けない。ここで必ず勝者は現れる。


 『事実上の決勝戦』。

 これぞ至高の戦い。


 そして、終戦は結界魔術の崩壊と共に勝者が決定した。

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