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1ー35 ノア・ライトマン対リーナ・ラカゼット①


 新星歴二九九八年六月三日


『勝者!! フランドル=タリア連邦の希望の星、ルーク・フランドル!!』


 オレ、リーナ、ルークは順調に勝利を重ね、見事オレたちは『星極の術魔祭』本線出場の切符を手に入れた。


 先程、準決勝でルークが勝利し、決勝へ駒を進めた。

 続けて準決勝リーナ・ラカゼット対ノア・ライトマンの試合が開始されようとしていた。


「とうとうこの日が来たね」

「そうだな」


 この日のためにリーナは寮を出て一人で研鑽を積み重ねていたらしい。

 一週間ぐらいでどれだけ強くなったか楽しみだ。


「今日、私が勝つ。この日のためにどれだけ魔物を討伐してきたか」

「へぇ。ま、頑張れ」

「なに? その上からの態度? 今日、あんた負けるかもよ?」


 どっからそんな自信が湧いてくるんだ?

 と思いつつ、オレは聞いてみる。


「というかお前、なんでそんなにオレとの勝負に拘るんだよ」

「それはね……あんたに首席を取られたからだよ」

「本当か? それ以外にもあるだろ。じゃないとわざわざ寮を離れてまで勝とうとは思わなくないか?」


 リーナはオレの問いに丁寧に答える。


「……私は強くなりたいの。弱いのは何も守れない。何も救えないんだよ。だから強くなる。もう二度と誰からも奪われないために」


 凄く抽象的に話すなぁ。

 もっと問い詰めてもいいけどそれはタブーだろうな。リーナにはリーナの事情がある。オレはそこに野暮に踏み入れるべきでは無い。


 それにオレはリーナの気持ちはよくわかる。

 オレも強くなる理由はリーナと近いからな。ある意味、似たもの同士だな。


「お前、最近風呂入ったのか?」

「うん。魔物討伐と言っても近くの風呂付きの宿屋借りて修行してたから」

「そうか。なんか臭うぞ」


 リーナは気にして自分の匂いを嗅ぎ始める。

 オレはその行動に思わず笑ってしまった。


「うそうそ。冗談だって」


 リーナから一発諸に拳骨を食らう。


「いっってぇ。何すんだよ」

「あんたがデリカシーの無いこと言ったからでしょ! 女の子はそういうことに敏感なんだから」

「……すみません」


 そう言えばフレイにもよく言われたな。


「……でも緊張はほぐれた。ありがとう」

「緊張してたのか?」

「……なに? 当たり前じゃない。こういう大事な試合はどうしても緊張するの」

「オレは全然緊張してないけど」

「……その余裕っぷり、今日で崩してあげる!」


 オレとリーナはお互い会場に入る。


「さあ、始めようか!!」

「さて、始めましょうか!!」


 『星極の術魔祭』一年生予選二次予選準決勝二回戦。

 ノア・ライトマン対リーナ・ラカゼット。


『さあ、この時がやってきました準決勝二回戦!! ノア・ライトマン選手対リーナ・ラカゼット選手の試合です!!

 かつて二人は入学二日目で異例の『決闘』を行い、この『星極の術魔祭』ではお互い勝利を重ね、ここまでとうとうやって来ました!!

 ノア・ライトマン選手は最初、ハプニングもありやや危ない試合になっていましたが、その後すぐ立て直しここまで圧倒的な実力でここまで来ました!!

 対してリーナ・ラカゼット選手は最初からチームと団結しながら確実に勝利を積み重ねながら一次予選を突破し、二次予選ではその圧巻の魔力量と天性魔術『魔眼』で何もさせずここまでやって参りました!!


 さあ、果たしてこの試合で決勝の切符を手に入れるのはどちらになるのでしょうか!

 私立タレミア魔術学園で学年首席を独占し続け、ここまであらゆる試練を乗り越えてきた次席リーナ・ラカゼットか!!

 はたまた外部受験生でリーナ・ラカゼット選手を抑え首席となった異例の魔術師、ノア・ライトマンか!!


 ここに賽は投げられました!

 独占か!

 奪還か!

 天才か!

 鬼才か!

 これぞ正しく「事実上の決勝戦」!

 この仕組まれた一年生予選史上最高の痴話喧嘩が今、始まります!!』


 痴話喧嘩っておいおい。まだ別れてないから良いけどよ。……まあいいか。


『実況は私、ジュリー・ローズと、解説にセンリ・アーヴァイン先生に来てくださいました!

 センリ先生、よろしくお願いします』

『よろしくお願いします』

『それでは、早速始めましょうか!! 今回は観客の皆様にも一緒に言って貰いましょう! せーのっ……!』


試合開始(ビギニングマッチ)……!!」


 結界魔術《疾走する草原》が展開される。

 ここでオレは本当のリーナと試合ができる。


 さあ、第一ラウンドだ。

 オレとリーナは互いに動き出す。


 ※※※※※


 ザノア帝国帝城アルカナディアに一つ厳重に警戒されている部屋が用意されている。

 その部屋には決して皇帝を除く誰も立ち入ることはできず今も魔術師たちがその部屋の前で門番を担当している。


 ここで一人、少年がその部屋の扉の前に立っている。


「おい、ここはどういう部屋がわかっているのか」

「わかってる。皇帝にも入る許可を貰った」

「何を言っている。お前みたいな子供に皇帝陛下が許可するわけが無いだろ」

「……お前、オレを知らないのか。よく顔を見てみろ」


 魔術師がその少年の顔をジロジロと見てすぐに気づく。


「これは失礼しました!!」


 魔術師がそこをどく。

 少年はノックする。


「失礼するぞ」


 少年はすかさずその部屋に入る。

 そこに居たのは五十代ぐらいの夫婦がいた。


「……何の用だ」


 夫が少年に問う。


「あんたらに報告しに来た。あんたらの娘は学園で元気だってことをな」

「それは既に皇帝陛下から聞いている。それで、本当の要件はなんだ?」

「オレは魔術師だ。あんたらに娘を守ることをここで誓おうと思ってな」


 続けて夫は問う。


「お前は……一体……」


 少年は笑った。

 そして、少年は名乗る。


「オレはノア・ライトマン。魔術師ノア・ライトマンだ」

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