1-30 二次予選開始
新星歴二九九八年五月二十六日
この日、一次予選を突破したチームが決定した。
第一ブロック チームベータ。
第二ブロック チームイータ。
第三ブロック チームラムダ。
第四ブロック チームニュー。
第五ブロック チームユプシロン。
予選突破したこの二十五名が二次予選へと進むことができる。
『それでは二次予選の説明を行います!!
二次予選は一対一のトーナメント戦を行います。ルールはそのまま。殺人や後遺症が残る行為はもちろん、魔術の制限も無し。本当の実力で戦える試合となっております!!』
再びオレ達ルームメイト五人は『紅葉の山荘』のモニターで二次予選の説明を聞いた。
というかジュリーさん、この前あんなことがあったのに元気いっぱいだな。
オレはもちろん、リーナ、ルークも一次予選を突破した。
「さすがね」
「お前もな」
「本当に思ってる?」
「思ってるとも前の決闘じゃお前、本気出せなかったしな」
「あんたはいつも本気出してないでしょ」
ここでルークも混じる。
「僕も予選突破したんだけどな」
「え、そうだったの」
ああ、こいつもか。だったら一つ約束しておこう。
「ルーク」
「なに……?」
「二次予選……オレと当たった時、全力で戦って欲しい」
「そんなの当然じゃないか」
オレはまだこいつを『魔術師殺し』だと疑いが残っている。
でも、こいつの顔はある人物に酷似しているという。
なにやともあれ、こいつの天性魔術を見ればわかる。
「そういうことだから。お互い、全力を尽くそう」
オレはルークに手を差し伸べる。
ルークはそれに笑みを浮かべて握手を交わした。
※※※※※
新星歴二九九八年五月二十七日
一年生予選二次予選、第一試合。
リーナ・ラカゼット対フェルト・ラヴン。
オレの出番は本日最後の試合になったので、リーナの試合を見ることにした。
「あ、ノアくん」
オレが着いた頃、ちょうど観客席に席を取っていたアリアと出くわした。
「ここ座って」
「……おう」
なんかアリアの隣に座るの緊張するな。
「リーナちゃんの、応援……?」
「まあな。それに敵情視察も兼ねてな。あいつとは準決勝で戦うだろうし」
「……そっか」
会話が止まった。なんか気まずいな。
そう言えば、最近なんでまたいつものように機嫌が戻ったのか聞いとこ。
「……そう言えば、なんでまた口聞いてくれるようになったんだ……?」
「……私、ずっと聞いてたよ?」
「え、結構無視されてた気がするんだけど」
「……? ……!」
突然アリアは顔を隠す。
「別に……。無視してた……わけじゃない……」
「本当に? オレ、アリアに無視されてかなり傷ついてたんだけどな」
「……!!」
とうとうオレの方に向いてくれなくなった。
「……ごめんね」
そう言ってアリアは完全にうずくまる。
え、オレなんか悪いことしたかな?
ここでジュリー・ローズさんの実況が流れる。
「それより、見ようぜ。リーナの試合」
「……そう、だね」
アリアはまっすぐ会場に目を向く。
なんか顔が赤いような気がするけど……まあいいか。
「ノアくん」
「ん……?」
「リーナちゃん、勝つかな?」
「勝つだろ」
「なんでそう思うの?」
「見てたらわかるさ。あいつはこの環境でこそ本領を発揮する」
そう、あいつは必ず勝つ。
おそらく一瞬で。
解説のジュリー・ローズが試合開始の鐘を鳴らす。
『それでは行きましょう!! 試合開始……!!』
※※※※※
「君のノアくんには随分世話になったよ」
試合前、フェルトはリーナに話しかける。
「彼、強いでしょ。でもまだ本気出してないんだよ、あれで」
「それは僕にもわかる。彼がこの大会で本気出してこないのもね。なにせ、ドラゴンを単独で討伐するぐらいだからね」
「でも私は負けるつもり無いよ。ノアはもう私のライバルなんだから。それに彼氏だし……」
フェルトはここで疑問を抱く。
「でも、君。ノアくんに『決闘』で負けてたじゃないか。それでも勝てるのか?」
「勝つ。私はこういう所でこそ本気を出せる」
「そうか。だったらごめんね。その幻想は叶えられそうに無いよ。だってこの試合僕が勝つから」
両者共に睨み合う。
そして、ジュリー・ローズの呼び声と共に結界魔術《日出てる熱波の砂漠》が展開された。
結界魔術《日出てる熱波の砂漠》は太陽による直視やとそこから反射する砂漠より気温が急上昇した過酷な結界。
本来なら環境の変化ですぐに人は正気を保てないが、この結界には太陽の熱による気温上昇は存在しない。
そんなことはゼルベルン・アルファが敢えてそのように魔術を施さなかったため存分に試合を望めるようになった。
そんな中、フェルトから先に攻撃を仕掛ける。
「高位魔術《豪炎の――――》」
「動くな」
フェルトの動きが完全に止まった。
これは――――
リーナ・ラカゼットの《制動眼》が発動。
これによりフェルトは彼女によって完全に支配された。
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