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1-28 対ドラゴン②


 ※※※※※


『緊急事態発生! 緊急事態発生! 学園内に魔物発生、ドラゴンを確認しました!! 外に出ている学生の皆様は至急建物内に避難してください!』


 ジュリー・ローズの胸騒ぎは的中した。

 「ドラゴン」という名前を聞いて焦りだす学生、およびこの日訪れた貴族の者たち。


「おい!! 開けろよ!!」

「早く入れて!!」

「早く開けろ!!」


 しかし、各所建物の出入り口は建物内にいる生徒によって入れなくなった。

 建物自体強固でかつ侵入さえ許さない結界が施されている。

 そして建物の出入り口が結界の抜け穴であり、仮にそこに生徒に釣られて入られると自分の身が保証されないからである。


 ジュリーも未だに建物内に入れていない。

 ドラゴンが叫ぶ方向に思わず振り向く。すると、強大な炎がすでにこちらへ向かっていた。


 ※※※※※


「おい、何敵を変えてんだ。お前の敵はこのオレだろうが!!」


 光の剣術“【秘剣】魔術返し”。


 奴の炎を軽々と凌ぎ、逆にドラゴンに追い打ちをかける。


 しかし、危なかった。

 オレが奴の魔術を正確に読んですぐに駆けつけてなかったら死人が出てたぞ。


 奴がオレを見るやすぐにオレと反対方向に飛んでいく。


 なあ、お前。オレを舐めてるだろ。

 この位置、ここなら人がいないし、問題ない。


 オレはドラゴンの目の前まで一気に距離を詰め、右足を高々と上げる。


「地の格闘術“【踏襲】天地の洞穴”」


 オレは上げた右足を振り下ろし、ドラゴンの頭蓋をも粉砕するかのような勢いで地面に振り落とした。


 さっきまでは少し舐めてかかったが今度は違う。


「お前とのお遊びは終わりだ」


 生憎オレは魔術師なんだ。人を守る義務はあるんだよ。


「いやああああああああああああ!! 死にたくない!!」


 くそ。まだ人がいたか。

 悲鳴とか上げんじゃねえよ!


「ガララララララララララララララ!!」


 狙われるだろうが!!


 ドラゴンは少女めがけて顔を突っ込み大きく口を開ける。

 彼女を食って魔力を上げようってか? 

 そんなことさせるわけねえだろ!!


 オレは両足で奴の腹部を狙って蹴り飛ばす。


「おい」

「……」

「何か棒状の物は無いか?」

「……」


 彼女は体を震わせながらも地系魔術で簡易的な剣を作ってくれた。


「上等だ。助かる。これであいつを一撃で葬れる。お前はとっとと逃げろ」

「……!!」


 彼女はすぐに走っていった。

 さて、これ以上被害出ないよう潔く殺すか。


 彼女には悪いけどこの剣、破壊するぞ。


「ガルラ……ガラララララララララララ!!」


 ドラゴンはオレから逃げられないと思って突進してきた。

 そっちから来るなら助かる。


 オレは剣を右手と逆の左脇腹まで持っていき、低く構える。


 奴は最後の力を振り絞り、決死の高位魔術《爆炎の進撃(フレイムバースト)》で炎を纏わせ突進してくる。


 じゃあな。

 オレは奴が間合いに入った瞬間に剣を振り切った。


「光の剣術“【宝刀】煌めき”」


 振り切った瞬間、奴は見事に真っ二つに分断され黒い煙幕とともに蒸発した。

 オレはその魔晶石を手に取り、ため息がつく。


「あぁあ、こりゃフレイに怒られるやつだな」


 そうは言っても今回のドラゴン出現で出た被害者はゼロだった。

 こうして、オレはドラゴンを単独で討伐した。


 なんだかんだあったが、こうしてチームユプシロンはチームローの反則負けにより勝利。

 オレとこれまで共闘してくれたチームユプシロンの皆は第二次予選へと駒を進めたのであった。


 ※※※※※

 

 漆黒を纏い玉座に座る者がある報告を受ける。


「今回報告するのは偽物の五大魔術師(クインテット)と真のクインテットの敵対前調査をしました」

「ほう……」

「結論から言うと、彼らはともに我々の足元にも及ばないと推測します」


 玉座に座る者が何も反応せずに聞く。


「彼らは互いに暴走した生徒を収めるのに五分以上の時間をかけて収束させました。あなた様なら一瞬で終わらせられるはずです。そこまでの相手では無いと」

「お前は本気でそれを言っているのか?」

「……?」


 玉座を座っていた者は立ち上がる。


「真のクインテットはともかく偽物の五大魔術師(クインテット)はかなりの手練れだ。我が契約を結ぶほどに。恐らくお前が見たものはかなり手加減……いや我らの行動に勘づかされたのかもしれん」

「……!! 申し訳ございません!!」

「別に良い。その程度で我の計画は揺るがない」


 玉座の者は階段を降り、部下の肩に手を置く。


「二度とするなよ。次やったら、わかるよな?」

「……御意」


 玉座の者は再び持ち場に戻り、座る。

 そして宣言する。


「奴を攫い、日時は六月七日正午よりタレミア王国の第一王女、アメリア・ランドロード・タレミアの処刑を行う。それまで速やかに計画を遂行せよ」

「御意」


 部下の男は密かに消えた。

 そこに一人、ある人物が玉座の者に押し寄せる。


「それでそれで? いつ人をたくさんぶっ殺せるの??」

「言ったはずだ。処刑の日におそらくタレミア王国の残党魔術師が必ず襲ってくる。そこでお前は暴れればいい」

「りょぅ、かい!!」

「それまでのお前のやるべきことわかってるよな?」

「だいじょぶだいじょぶ!! ちゃんとわかってますって!」

「ならいい。下がれ」

「はぁい!」


 その者もまたすぐにその場から消える。


「さて、これで魔王様も大喜びになるだろう」


 玉座の者はそう確信してにやりと笑う。

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