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1ー22 対チームタウ③


 両者ともに動き出す。

 そして、視界から二人の姿が消えた。

 衝撃波のみが結界魔術越しにひしひしと伝わってくる。


『何も見えない! すごい! なんて試合だ!!』


 ルナさんの天性魔術、恐らく身体強化系じゃないな。

 身体能力はおろか魔力までも向上している。


 しかもその魔力もだいぶ厄介だ。


「《静かなる月花(エクセレントムーン)》」


 人差し指から飛び出す彼女特有の魔術がオレの顔面を狙う。

 オレは首を傾げて避けるが、それも束の間で後ろからも飛んでくる。


 絶え間ない光線の猛攻。


「地の格闘術“【見切】大地の舞踊”」


 オレはひたすら避けて避けて避けまくる。


 避ける先、何か光るものが見えた。


「光の剣術“【宝刀】煌めき”」


 一瞬で距離を詰められルナさんの中位魔術《陣風の嘶ぎ(ハリ・ブレード)》の一閃が首に直撃。するはずも無く、手刀で凌ぐ。

 だが、剣術はそのまま木々にぶつかりながら押される。


「《滅ぼ月(デストロイ)》」


 足元から何かが爆発した。

 恐らくオレに魔術を直接当てたのだろう。


 残念だったな。

 そんなもの地の格闘術“【踏襲】天地の洞穴”で爆発に合わせて蹴り、威力を殺した。


「埒が明かないな」


 オレは彼女の魔術の手刀を弾き、少し強く足で押した。


 その間、たった数秒。


 オレとルナさんの距離がかなり空いた。


『エース対決、収まったか……こ、これは! 両者、まだ立ってます!! まだまだ終わらない!』


「どう、ぼくの本気? 君に届いてるかな?」

「ああ、確かに効いたよ。久しぶりに吐血した。こんな迫られたのはいつ以来かな」

「そう……。だったらもう終わらせてあげる!!」


 残念だが、それは無理な話だ。

 お前の猛攻はここで終わる。


 オレの読みが正しければ彼女の天性魔術はこれをするだけで止まる。


「“斬撃 結界破り”」


 結界魔術はその結界魔術以上の魔力量を持った結界魔術もしくは広範囲の基本魔術で破壊するしかない。


 だが、オレのこの剣術(魔術)がもし広範囲の基本魔術に匹敵する威力を持っているとしたらどうなるだろうか。

 答えは簡単だ。


『ここで……け、結界魔術が破られました!! なんとい事でしょうか! こんな試合、見たことない!!』


 光の剣術“【斬撃】三日月”最大出力で結界魔術を破った。

 その瞬間、ルナさんの天性魔術は解かれ彼女の足が止まった。


 やっぱりな。

 ルナ・サレムーンの天性魔術《深淵の真月(サレムーン)》は夜になればなるほど魔力や身体能力が上がり、新月となると最高潮に到達する。


 そして、ここに閉ざされた結界魔術《深淵する森林》の暗さは新月の夜に匹敵する。つまり、この環境自体彼女の最高のコンディションが生まれていた訳だ。


 破られた結界はすぐさま簡易的な結界魔術に代わり、覆われた。


「……よくわかったね。ぼくの天性魔術の正体に気づくなんて」

「たまたまだろ。それにこれでお前の天性魔術が解けなかったら本格的に危なかった」

「危なかった……? よく言うよ。まだまだ本気なんて出してないくせに」


 彼女は少し距離を置くのか、半歩ずつ引いていく。


「それで、お前はどうする? 続けるか?」

「何言ってんの? なんで今、ぼくが半歩ずつ引いてるかわかる? それはね……助走をつけるためだよ!!」


 光の剣術“【宝刀】煌めき”が襲いかかってくる。


 まだやるか。だったら人思いに一撃で気絶()としてやるよ!


 オレはカウンター狙いで構える。

 距離が一気に縮まった。


 このぐらいなら余裕で見切れる。

 光の剣術“【宝刀】煌めき”に合わせて打つ。


 ここで中位魔術《雷の一閃(バッテリーレイ)》がオレとルナさんの間に通った。これは……。


 オレはカウンター狙いを止めて彼女の魔力の籠った手刀を弾く。


 ルナさんは弾いて距離を置いたオレに睨みつけてきた。

 気持ちはわかる。でも見てくれ。

 オレは飛んだ魔術の方向に指を指した。


 ルナさんはその方向へ見る。すると、そこにあった光景は思いもしなかった事実だった。


「すごいな、ノア。まさか結界を破るなんてな」

「…………こっちは大丈夫。みんな、片付けたから」


 旗の周りに四人倒れており、中央に立つチームユプシロンの二人。

 ルナさんは中位魔術《陣風の嘶ぎ(ハリ・ブレード)》を解いた。


「これでも、戦うか?」


 ルナさんはため息をついた。


「……いいや。これは詰みだね。流石にこの状況で勝てる気がしないよ。降参だ。ぼくらの負けだ」


『決まったあああああ!! 勝者チームユプシロン! 前回と違い全く違う形で勝利をしたチームユプシロン! 第二次予選へと王手をかけました!!』


 結界魔術を破ったおかげか盛大な歓声が聞こえた。

 

「やったな」

「ああ」


 オレとフェルトはハイタッチて勝利に祝福した。


「ねえ、ノア・ライトマンくん」


 ここでルナさんが声をかけてきた。


「どうして、君はそんなに強くなったの? それを教えて欲しいんだけど」


 ……そんなの決まってるだろ。


「ひたすら魔物を殺しまくっただけだ。それだけでもだいぶ違う」

「……そう」


 彼女が手を差し伸べる。


「勝利おめでとう、ノア・ライトマンくん。いい試合でした」

「ああ。こちらこそありがとう。あと、オレのことはノアでいい」

「……そ。じゃあ、ぼくもルナでいいよ」


 オレとルナは握手を交わし、チームユプシロンは勝利を収めた。


 第五ブロック第三試合 勝者チームユプシロン。

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