1-20 対チームタウ①
新星暦二九九八年五月十八日
リーナとルークのチームは順調に次の駒へと進めた。
観戦してたけれどオレのチームとは違い、やはり連携して勝利を手にしていた。
『さあ、始まりました。一年生予選第九試合、第五ブロック第三試合……!! 今回の対戦カードはチームタウ対チームユプシロン……!! 前回チームタウは五対五の総力戦に発展し見事、ルナ・サレムーン選手が最後の一人を倒し、見事勝利しました!! 対してチームユプシロンは最初一気に四人が倒され一度は危機に瀕しましたが最後に残ったノア・ライトマン選手が一人ずつ倒し、奇跡の逆転勝利を果たしました!! 両者ともに前回勝利していますが、果たしてどちらが勝つのでしょうか!!
尚、今回も解説で来てくださいました、センリ・アーヴァイン先生です!! よろしくお願いします!』
『よろしくお願いします』
チームとしてオレたちは強くなった。
さあ、始めようか。
『では、行きましょう!! 試合開始!!』
結界魔術《深淵する森林》が展開され試合が始まった。
※※※※※
《深淵する森林》はこの結界内全てに大木を張り巡り、さらに視界が新月の夜ぐらい暗いため、警戒しようにもしにくい。
「ケヴィン、マーク。手筈通りに」
「おっけぇ」
「了解」
馬鹿三人衆の残り二人、ケヴィンとマークは暗闇の中、深淵の中に潜む。
へぇ、あいつら高位魔術《暗闇の潜伏》みたいな高等魔術使えたんだな。
というかそんな名前だったんだ。
「レノンさん、中位魔術を」
「わかった」
中位魔術《永遠の陽光》で旗の周囲を照らす。
すると、風の魔術が降ってきた。
それをフェルトは高位魔術《千差万別の防壁》でその魔術を防ぐ。
「へぇ。お前、そんな魔術使えたんだな」
「何を言っている? 僕の入試順位は十位だぞ、できて当然だろ」
マジか。というかプライドなかったらこいつ、結構強いんじゃないのか?
ていうかできない人の前でそんなこと言わないで……!
……っとあぶねえ。
《千差万別の防壁》の解除に合わせて風魔術を撃ってきやがったが残念。
はたいてしまった。
「……お前こそどんなからくりで魔術を相殺できんだよ」
「さあな。感覚でやってる」
決して光の剣術“【秘剣】魔術返し”の応用なんて言えない。
この時代、魔術を殴って消すなんてこと常識的に考えられないからな。無理もない。
向こうのほうで魔術がぶつかり合う音が聞こえた。
あっちも戦闘を開始したようだ。
「ここは僕とレノンさんで守る。お前はあっちの方に行ってくれ」
「了解」
オレは敵陣の旗の方に向かった。
さて、どうしようかな。
着いたは良いが、実に妙だ。
旗には一人しかいない。あの先に行ったと思われる馬鹿二人の姿も見えない。されど、もう既に戦闘は終わっている。
そして、オレは今、物陰に潜んでいる。
旗を守っている長髪の可憐な女の子は一人、突然話し出す。
「はぁあ、せっかく上手く潜んでいる奴がいるから強い奴なのかなと思ったけど、見込み違いだったなぁ。まるで歯ごたえがない」
彼女は少し悲しそうに溜息して俯く。
それより歯ごたえがない? あいつら二人はこいつに倒されたのか。
だったら他の四人は?
まさか……――――!!
オレは急いで自陣に戻ろうとした、その時だった。
「どこに行く……?」
オレの目の前に現れ、中位魔術《陣風の嘶き》を展開した手でオレに斬りかかろうとした。オレはそれを手刀で止める。
「初めまして、ノア・ライトマンくん。ぼくはルナ・サレムーン。以後、お見知りおきを」
「たいそうな挨拶だな、ルナさん。もうちょっと丁寧な挨拶はできなかったのかな?」
オレはそのまま彼女の魔術の剣を弾き、距離を置く。
『おーっと、ここでチームタウとチームユプシロンのエースの戦いが勃発しました!! これは凄い対決になりそうです!!』
歓声が飛び交う中、オレとルナさんは間合いを一定に半歩ずつ横に、向かい合って歩き出す。
「流石だね、ノア・ライトマンくん。ぼくの剣を止めるなんて」
「あのぐらいは当然だろ? 明らかにオレを警戒してたからな。オレが来ることを想定してなかったらあのオーラは出ない」
両者、足を止める。
この時、ルナさんは微笑む。
「だったら、なんでわざわざあなたのもとに来たかわかる?」
ルナさんは中位魔術《陣風の嘶ぎ》を手刀に宿す。
そして、その宿した手を反対側の腰に持っていき、構える。
この構え、まさか――――
「光の剣術“【宝刀】煌めき”――――!!」
風に乗った斬撃がオレに襲いかかってきた。
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