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1ー19 団結


 新星歴二九九八年五月十六日


 『星極の術魔祭』予選は連続で選手を試合に出場させないようにしている。

 それは疲労に伴って本来の実力を出せないからだ。


 そして、試合中倒れた選手は学園の医務室で治癒魔術で直ぐに完治させる。

 そうして『星極の術魔祭』予選は安全かつ的確に進行していく。


「レノン、体大丈夫か?」

「うん。一日寝てたら治ったよ」


 ここにフェルト・ラヴンを含む馬鹿三人衆が現れる。


「おい、ノア・ライトマン。昨日はよくやった。あの試合は僕たちがへまをしたが次こそは必ず勝てる。お前は黙って旗を守ってろ。わかったな」

「……誰にものを聞いてんの?」

「……なんだと?」


 オレは強い言葉を吐いた。


「逆に聞くけど、次もお前らだけで行って勝てると思ってんの?」

「当たり前だ。次は勝つ」

「絶対に無理だな」

「……もう一回言ってみろ」


 明らかにキレた表情でこっちを見てくる。だが、そんなことはどうでもいい。


「絶対に無理だ」


 その瞬間、フェルトが胸倉を掴んできた。


「次こそは勝つ……!! その見込みもある……!! だから、お前は黙って俺たちの戦いを見てろ!!」

「何言ってんだ? 次なんかねえよ」

「なに……?」

「お前は戦場で倒れた時、まだ生きてると思ってんのか?」


 オレは胸倉を掴んだ手を取っ払う。


「魔術師は戦場に立ってこそ初めて自分の本来の職を全うできる。つまり、お前はあの時死んでんだ。戦場ならな。でも、今は魔術師同士の試合。殺し合いじゃない。だからお前はまだ生きている」

「……何が言いたい?」

「お前の言葉は信用できないってことだ」


 フェルトは少し身を引いた。


「でも、生きてるお前に選択肢がある。それはオレと共闘するかどうかだ」

「お前と共闘、だと……?」


 馬鹿三人衆はどうしても嫌な表情を見せる。

 そこでオレは追い打ちを仕掛ける。


「そんなにオレと共闘するのが嫌か。なら嫌でもいい。でも、必ず勝つ保障なんてできないぞ。それほど昨日の相手は強かった」

「それは……」

「貴族だろうが強い魔術師の家系だとか関係ない。死ぬときは死ぬ。なら、決めろ。お前は何を優先する……? 泥臭く掴む名誉(共闘)か、それとも貴族としての誇り(プライド)か……!」


 オレが言った後、フェルトが黙り込む。

 その間が数分が経過した。


「……お前の案に、乗ってやる。共闘してやるよ!」


 そう、その声が聞きたかった。


「僕は見失っていた。僕は貴族としての誇りばかり気にしてて僕の本来の目標が消えるところだった。僕は五大魔術師(クインテット)になる。そのためなら何だってする……!」

「勘違いすんなよ。五大魔術師(クインテット)になるのはオレだ」


 オレたちは握手を交わす。


 こうして、チームユプシロンは団結することができた。

 そして――――


『なんでこんなところにこいつがいんだよ!』


 団結して良かったと思わせる程の非常事態が出ることを未だに知らなかった。


 


 ※※※※※


 新星歴二九九八年五月九日――――『紅葉の山荘』にて。


「アリアちゃん!」


 リーナに呼ばれてアリアはびくっと肩を揺らす。


「……なに?」

「ノアのことなんだけど……。顔、怖いよアリアちゃん」


 アリアはリーナに対して向きになっていることに気づき、急いで顔を隠す。


「……ノア君が何?」

「そういえばノアの誕生日、私聞けてないんだよね。いつなの?」

「何回も……遊びに行ってるん……じゃないの?」

「そうなんだけどノアのやつ、何回もはぐらかすんだよね。『さあな』とか『いつだろうな』とか」


 実にノア君らしい。

 アリアは素直に伝える。


「五月……十日……」

「げっ……!! 明日じゃん……!!」


 リーナはどうしようかと思いつつ身支度する。


「ありがとう……!! アリアちゃん……!!」


 リーナはリュックを背負って玄関の扉を開ける。


「あの……!!」


 アリアはリーナの足を止めた。


「ノア君のこと……好きですか……!!」


 アリアは必死の思いで慣れない大声で言う。

 リーナはアリアの表情を見て口に出す。


「あいつは私のことどう思ってるか知らないけど、私はそんなことないよ!!」


 そう言って玄関の扉を閉めた。

 

 そう……そうなんだ……。


 アリアは自分の部屋に戻り、ベッドにダイブした。

 そして、足をばたつかせて素直に喜んでいた。


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