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1-18 チームシグマ③


『これはすごい!! ノア・ライトマン選手!! この激しい攻撃をかわし続ける!! この試合も激戦だあああぁぁぁ……!!』


 観客はすでにこの試合に熱狂の渦に飲み込まれた。


 こんな防戦な戦い方でもオレは勝てる。

 体術を使う選手はもう体力がじり貧で気力だけで向かっている。

 リーダー格の選手もかなり魔術を使ったんだ。もうすぐ魔力が切れる頃合いだろう。


「このままだとお前ら、負けちまうぞ」

「こいつ……!!」

「どんだけ体力あんだよ!!」


 そりゃ、実戦経験が桁違いに違うからな。

 このぐらいでへばってたら魔物に食われちまうだろ?


「《雷の一閃(バッテリーレイ)》……!!」


 その連射、何回目だ?

 その手はもう通じないぞ?


 オレは手刀で次々に魔術を破壊していく。ほとんどの魔力が残ってない状態なら剣術(魔術)を使わなくとも破壊できる。


「うおおおおおおおおおおおおおおおお……!!」


 こいつも体術を使う体力がないほど限界が来てる。もうじき倒れるだろう。

 オレは殴りかかってくる方向に振り向く。もうそろそろ休ませてあげよう。


 オレは拳を握り、相手が来るタイミングと同時に殴りかかろうとした。

 その時だった。


 このチームシグマの本来の目的を知ることになる。


「ごめん」


 オレはさっきの加減より少し強く、だが確実に倒れる力で殴った。


「うっ……!!」


 善戦した選手には申し訳ないけど、オレは急いで旗のほうに向かった。


 ()()()が旗を折ろうとした寸前でオレはそいつの頭をつかんで地面に押し付ける。


「中位魔術《雷の一閃(バッテリーレイ)》……!!」


 リーダー格の選手はここで旗に向かって今までの中で一番速い速度の魔術をぶつける。


 くっそ……!!


 オレはそいつをそのまま掴んで迫りくる魔術に向かって投げた。


 見事命中。

 当たったことによりそいつの影が視覚として観客皆々全員の目に映った。


 オレは見事にチームシグマの奇襲を阻止した。


「あの人型の魔力体は誰かの天性魔術か……? あれが基本魔術ならオレはとっくに気付いている。すごいな。オレが常に旗を警戒してなかったら確実にやられてたな」


 素直に認めよう。こいつらはチームとして確実に強い。

 でも、相手が悪かったな。


「ちくしょおおおおぉぉぉぉぉ……!!」


 リーダー格の選手がすべての策をねじ伏せられ悶絶する。

 オレはその選手に近づく。

 近づいても問題ない。

 彼の魔力はほとんど尽きかけているし、それに闘志ももう無い。


「……いい試合だった」

「……何が?」

「オレも危うく負けるところだった」

「何が……何が負けるところだっただ!! 現になんでお前はまだここにいる!! ふざけるな!! いい試合っていうのはな!! 勝った奴だけが言うことなんだよ!!  勝たなきゃなんも意味がねえんだよ!!」


 リーダー格の選手が見上げる。


「……オレは善戦した相手にはあまり傷つけたくない。だから、降参してくれ」


 彼は歯ぎしりする。


「……降参……する」


 その瞬間、結界魔術が解け、終了のコングが鳴った。


『決まったあああああああああああ……!! 勝利したのはチームユプシロン……!! 一気に四人が倒れて一度は危機に陥りましたが、ノア・ライトマン選手が旗を守りきり勝利へと導きました!!』


 そんな歓声の中、オレは負けた相手に聞く。


「お前、名前は?」

「……よく覚えておけ。俺の名前はゼノス・タイラント。アズガバーナ公国魔術師団に属する上位魔術師タイラント家の者だ。……次は負けねぇ。負けねえからな!!」


 良い心構えだ。


「オレはお前を忘れない。また来年の二次予選でまた会おう」


 両者は拍手をし、激高の歓声がオレたちの戦いに祝福をあげた。


 第五ブロック第一試合 勝者 チームユプシロン。


 ※※※※※


「……お疲れ様」


 戦いが終わり、会場から一歩出るとそこにリーナとアリアがいた。


「……あんた、結構危なかったね」

「まあな。流石に強かったな」

「……本当にそう思ってる?」

「そりゃそうだろ。あと一歩のところまで追い込まれたんだからな」

「……そう。でも良かった。あんたがここでくたばらなくて」

「それはどうも」


 少しアリアから痛い視線が来る。


「アリアもありがとな。わざわざ迎えに来てくれて」

「……うぅうん。いいの。私がそうしたいから」


 なに? その一途な感じ出すの?

 こっちまで照れてしまうだろ。


 おっと、いけね。ここで顔を緩めてしまえばリーナに何言われるかわからないからな。

 ここは全力で真顔でいなくては。


「あんた、何その顔? 気持ち悪いんだけど?」


 無理でした。

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