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1―14 プレゼント


 オレの頭はフリーズした。


 色紙で作った鎖のような物が壁に飾られており、二十個ほどのキャンドルがタンスの上や机に置かれている。

 そして、何より目立つものが横断幕が奥にあってその内容が「ノア!! エミリー!! 誕生日おめでとう!!」だった。

 リーナとアリア、ルークがどうやら用意していたようだ。


「なんだ、ノアか」

「せっかく驚かそうと思ったんだけど逆に固まったね」

「…………」


 ここでエミリーが登場。


「え、まさか私たちの為にこれを……!!」


 エミリーが手を押さえて喜ぶ。


「そうだよ……! お誕生日おめでとう!!」

「お二人さん、誕生日おめでとう!」

「誕生日……おめでとう……」

「ありがとう……!」


 嬉しそうに微笑むエミリー。

 ただオレはまだフリーズしたままだ。



「おーい、しっかりしてー」


 目の前で振っているエミリーの手にオレはようやく状況を理解する。


「はあぁぁぁ」

「なんで溜息してんのよ」

「一瞬、暗かったから魔物に襲われてたのかと思ったんだよ」

「なんでそうなんのよ!」


 だってそうだろ。

 この家自体防護結界はあるけど、強力な魔物がに襲われればどうなるかわかんねえんだからよ。


「中に入りなさい。今日はいっぱいご飯作ったんだから!」


 まあいいか。無事なら。


 オレとエミリーは寮に入り、パーティーが始まった。


 ※※※※※


「あ、そうだ。君たちにプレゼントがあるんだ」


 そう言ってルークは二つの箱を取り出す。


「まず、エミちゃん。これをどうぞ」


 エミちゃんて……。

 いつの間にそんなあだ名でこいつは呼んでんだよ。


「え、ありがとう……!! 中身開けていい?」

「勿論」


 その箱の中にあったのはプラチナ色した魔晶石をはめ込んだブレスレットだった。


「綺麗……」

「ほら。僕とお揃い」

「わあ……!! ありがとう……!!」

「……どう、いたしまして」


 ルークが目を逸らして少し照れた表情を見せる。なんだこいつら。付き合ってんのか。


「ノア君、君にはこれを」

「お、おう」


 オレも同じような物を渡される。


「……君は中身、見ないんだね」

「なんか悪いか」

「いいや、全然」


 オレはプレゼントの中身を見ないようにしてる。

 それはどっかの誰かさんが誕生日プレゼントで毎回冷やかしに来たからな。その影響だ。


「じゃ、じゃあ次は、私、ね」


 次はアリアが渡してくれるようだ。


「はい、エミちゃん」

「ありがとう……!! 中身、見ていい?」

「……目の前じゃちょっと、恥ずかしいから……」

「わかった……!! ありがとう……!!」


 次はオレの番。

 この一ヶ月、オレは散々アリアに無視されてきた。

 今回も怒った感じで来るのだろうか。

 唾を呑んで、覚悟する。


「ノア君……これ……」

「お、おう……。ありがとう……」


 だから上目遣いは辞めろって。

 ってあれ? いつものアリアに戻ってない?


「あと、ごめんね。ずっと……そっぽ向いちゃってて」

「いいよ、気にしてないから」


 別にいいか。

 そんなことよりも……。


 なんでこの子はこんなに可愛いのか。

 ひたすら尊い。


 最後にリーナか。


「エミリーちゃん、これ」

「ありがとう……!! 開けていい?」

「開けて開けて!」


 箱の中は銀色のシンプルなネックレスだった。


「これ、いいの?」

「いいよ!」

「ありがとう……!! 大事にするね!」


 早速エミリーはブレスレットとネックレスを着ける。


「ど、どうかな……」

「良い……」

「似合ってるよ!」

「……似合ってる」


 へぇ。


「大人びたな」

「なにそれ」


 オレの反応にエミリーは唐突な返しをした。

 というかルークのやつ、見とれてないか?


「じゃあ、最後に……。これ、あんたにあげる」

「おう……。ありがとう……」


 リーナは少し赤らめながらオレに渡してきた。


「がっかりしないでね」

「する訳無いだろ」

「そ、そう……」


 なんだそれ。


 さてと、リーナのプレゼント何なのか、後で確認しておこう。


 こうして、オレとエミリーの誕生日パーティーは夜遅くまで続いた。


 ※※※※※


 翌朝、オレはプレゼントの中身を見る。


「さて、何が入ってるんだろうな」


 まずは一番期待してないルークのプレゼント。

 とりあえず中身を開ける。


「しょぼ……」


 その中身は何も刺繍のない白のハンカチだった。

 ハンカチって、適当だな……。


 まあいいけど。

 次はアリアのだな。


「おおう……」


 さすがアリアさん、わかってらっしゃる。

 プレゼントの中身は魔導書だ。

 ザノア帝国の図書館の魔導書は全て読んだが、図書館が全ての魔導書を持っているわけじゃない。

 この書物は完全にザノア帝国の図書館に無い。

 ありがたく貰うことにしよう。


 最後はリーナか。どれどれ。


「なるほどな」


 リーナのプレゼントは無色透明で全身ダイヤモンドのブレスレットだった。

 がっかりしないでね、と言ったのはそういう事か。


 多分、あいつはオレの好みがわからなかったから昨日に嘘をついて選ばせたのだろう。

 オレが自分から選んだ方が確実だからな。


 全く……あいつはあいつなりで考えてくれてるんだな。


 リーナ、アリア、ついでにルーク。

 ありがとう。大事に使わせてもらう。


「さてと、学校に行きますか」


 オレは制服に着替えてバックを持ち、晴れやかな気持ちで学校に向かった。


 そして――――

 『星極の術魔祭』一年生予選が幕を開ける。

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