1-4 ショックと再会
オレはリーナとの『決闘』に勝利した。
「すげえぞあいつ!!」
「全く、とんでもない一年が来たな」
「あいつ、全然魔術使ってなかったぞ」
「憎い……」
「ノア・ライトマンが憎い……!!」
リーナファンが怖い。
それにしてもリーナは大丈夫かな? “魔術返し”でそのまま跳ね返したらとんでもないからオレは三分の一しか跳ね返して他は飛散させたんだけどな。
「救護班、リーナ・ラカゼットを医務室へ」
『決闘』は必ず申請しなければならない。
なぜなら降参しない限り、どちらかが必ず気絶するからである。
先生がいるのは殺人を防止するため。いざとなれば止めるためである。
でも、最後のリーナの魔術なんで止めなかったんだ?
オレじゃなかったら死んでるだろ。
まあいいや。
リーナは時期に起きるだろ。
オレは壇上から降りる。
すると、そこにはアリアがいた。
「勝ったぜ。……!!」
オレがアリアと出会ったのは十二歳の頃だった。
アリアはいつも無口で、でも表情はかなり豊かだからかなり感情がわかりやすい。
でも、オレが今まで見せたこともないような表情でオレを睨んできた。
「怒ってる……?」
「もういい……!!」
アリアは今まで出したことのないぐらい大きい声で走っていった。
えええぇぇ……。
どゆこと?
なんかショックがすごいんだけど。
こうして、オレは無事退学を阻止した。のか?
※※※※※
新星歴二九九八年四月二十日
「魔術には様々な理論があります。《生点》と《死点》、そして《内界理論》と《外界理論》。この授業では主に《内界理論》と《外界理論》についておさらいしていこうと思います」
リーナとの『決闘』から一週間が経った。
この一週間、本当に辛かった。
リーナファンから冷たい目線が飛ぶし、たまに『決闘』を申し出てくるし、なんなら勝手に申請されて『決闘』したり、高学年から自分の魔術師部隊に入ってくれって勧誘してきたり。
まあ、『決闘』すぐに終わらせたけど。
何より辛いのがアリアに無視されることだ。
毎回話しかける度にプイっとこちらを見ない。それも可愛いけど、それ以上に話せないのが本当に辛い。
「聞いてますか? 聞いているのですか、ノア・ライトマン!!」
「ん……?」
おっと、いけね。完全に聞いてなかった。
「はあ……。やっと気づきましたか。じゃあ、質問します。《内界理論》と《外界理論》の違いを具体的に説明しなさい」
この先生はセンリ・アーヴァイン。魔術理論学を取り扱ういつも敬語で話す若い女性の先生だ。オレのクラスの担任で、生徒からかなり人気がある。それもそのはずで、若くしてエリートクラスを任されており、魔術師の中でも上位の魔術師で言うなれば「天才」である。
でも、性格は律儀でいつも敬語で話し、同じ目線で聞いてくれる。おまけに美人。
人気があるのも納得がいく。
「えっと、《内界理論》は自分の体内から魔術で具現化する理論。よって魔術を使いすぎると『魔力欠乏症』になって体内に魔力が無くなると人は死ぬ。が、人がよく言う『魔力が切れる』というのはまだ一割残っているということなので魔力が切れても気絶してるだけなので、実際魔力が無くて死ぬことは無い。
対して《外界理論》は大気中の魔力を使って魔術を具現化する理論。これは大気中の魔力をそのまま使っているので真の意味で『魔力が切れる』ということは無い。
つまり、この『魔力が切れる』という点がこの理論における大きな違いだけど、これでいいか?」
「ありがとうございます。満点回答です」
ふう、どうやらこれで良かったようだ。
「でも、ちゃんと授業は聞いてください。ため口は許しますが、授業をしっかり受けないのは許しませんよ」
「わかった」
普通に怖い。
フレイよりも弱いけど、怒らせたら絶対やばいなってのはなんとなく感じた。
「ノア君の言った通り、この理論たちは全く違います。別物と考えていいでしょう。ですが、この理論は決して必要無いとは言えません。これが無ければ『魔術とは何か』という哲学の答えが生まれなかったからです。ではシノアさん、魔術師はどちらの理論で魔術を使っているのでしょうか?」
「……《内界理論》?」
「自信を持ってください。正解です。魔術師は《内界理論》で魔術を使っています。自身の体内にある魔力を使っているわけです」
「じゃあ、先生! 魔術師は《外界理論》で魔術を使えないんですか?」
センリ先生はきっぱり言った。
「《外界理論》を扱える生物は存在しません」
※※※※※
放課後。
魔術学園のスケジュールは規則正しい。
朝九時から九十分の授業と十分の休憩でサイクルを回し昼は一時間ほどの休憩がある。
いつも自由に生きてきたから、この規則正しい生活は慣れるのに時間がかかりそうだ。
「はあぁ……」
オレはため息をつきながら家に帰る、と言っても帰る家が遠すぎるから野宿してるんだけど。
ちゃんと近くの銭湯に入ってるから清潔ではある。はず。
人とすれ違った。
「ノア……?」
誰かに呼ばれたような気がして後ろを振り向く。
オレと同じ黒色の髪にいつもポニーテールをしている、つぶらな瞳が特徴で客観的に見て、かわいい女の子。
「エミリー……?」
「やっぱり、ノアだ!! 久しぶり!!」
およそ六年ぶりに双子の妹、エミリー・ライトマンと再会した。
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