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1-1 『決闘』


「どうして、あなたみたいな魔力も持っていないような無能力者がこの学園を、しかも首席で、入学できたの?」

「は……?」


 リーナは蔑んだ上目でオレを見てきた。


「何、言ってるんだ? ここはタレミア魔術学園だろ? そんな奴いるわけねえだろ」

「誤魔化したって無駄。私の天性魔術は《魔眼》。私は全ての魔眼を持っている。あんたから魔力が一つも感じれなかったから《測量眼》であんたを見てみたの。そしたら数値はいくらだったと思う?」

「さあ……?」

「答えは『ゼロ』。あんたは魔力を持っていない。まさか魔力持ってない人なんているんだね。平民でも持ってるのに」


 入学してから早々、面倒だな。


「で、何が言いたい?」


 オレはとりあえず彼女の要件を聞くことにした。


「今すぐ退学しなさい。どういうコネで入ったかは知らないけど、タレミア魔術学園はコネで首席名乗れるほど甘くない」

「何言ってんの? コネなんか使ってねえけど」

「……へ?」


 リーナは少し腑抜けた表情を見せる。


「いや、おかしいでしょ。入学試験じゃあ『魔力測定』とか『魔力操作測定』とか、魔力がないとできない種目あったじゃない」

「だからそれ、オレはちゃんと満点取ったぞ」

「いや、絶対無理。魔力がないのにどうして……」


 少し種明かしするか。お、結構遠いところに結構小さい鳥いるな。


「わかった。じゃあ、今飛んでるあの鳥の頭に当てる。それでいいだろ?」

「いや、無理無理無理。あんな距離私でも――――」

「まあ見とけって」


 オレは指先を少し使って『斬撃』を飛ばした。

 これは光の剣術“【斬撃】三日月”の応用。

 ピンポイントで鳥の頭に当てた。


「ほら、いけただろ?」


 リーナは唖然と口が開いていた。

 あーあ、せっかくの美人が台無しだ。


「おーい。おいおーい。起きてるか? 生きてるか? おーい」

「はっ……!!」

「やっと、気づいたか」


 オレはニヤリと笑う。


「ち、違うから。別に驚いてたわけじゃないから!!」


 はいはい。


「でも、どうやったの? まさか、『外界理論』――――」

「いや、これは疑似的な奴だ」


 オレは本当のことを伝える。


「オレは魔力を持っていない。もちろん魔術は使えない。これはオレが師匠に教わった奴でな。オレがもし魔力を使えるとしたらこれしか無いんだ」


 別に隠す必要無いからな。バレてしまったもんは仕方ない。


「ふーん、そ」


 なんだその反応?

 リーナは頑なにこう言った。


「やっぱあんた、退学しなさい!」

「断る」

「なんで!?」

「オレはここでもっとより強い魔術師になるためだ。逆に聞くけど、なんでオレをそんなに退学させたいんだ?」


 リーナは言葉が詰まったかのように口が動く。


「だ、だって……」

「……?」


 聞こえね。

 と思った瞬間、いきなりリーナは大きい声で叫ぶ。


「だって、おかしいじゃん!! なんで魔力無い笑顔がキモイ男が私より上なの!! おかしいじゃん!!」


 ――――へ?


「まさか、そんな理由で……?」


 オレを気遣ったとかじゃなくて? というか口悪すぎません?


「そうよ!! 悪い!! 私だって実技試験満点だったのになんであんたに負けたのよ!! じゃあ、筆記試験、筆記試験はどうだったの!?」

「満点だけど」

「はあ――――!? なんで魔導書読んでも意味ないあんたが満点なの!!」

「勉強してるからだろ」

「絶対、絶対おかしいじゃん!!」


 リーナが子供みたいにな騒ぐ騒ぐ。見てられねえな。


「もう戻っていいか?」

「何言ってんの? まだ用あるんだけど!!」


 まだあんのかよ。


「ふう」

「溜息しない!!」

「はいはい。わかったよ。で、用はなんだ?」


 リーナは騒ぐのを止めて、単刀直入に言った。


「私と『決闘』しなさい。このタレミア魔術学園では生徒同士で互いが互いのものを賭けて行う『決闘』が認められているの。もちろん殺すのは禁止。他は何でもあり。だから、ここで私と『決闘』しなさい」


 私立タレミア魔術学園は実践主義の学園。

 なるほど。お互いを『決闘』という形で戦わせて魔術師としての実力を上げる、そんなところか。


「それでお前の賭けの内容は?」

「あんたが負ければ今すぐ退学しなさい。もしあんたが勝てば今後あんたが魔力を持っていないことは誰にも言わない、これでどう?」

「ちょっと待て。勝手にオレの賭ける内容を決めてないか。オレが賭ける内容はオレが――――」

「そんなこと言っていいの? 他の人に言いふらすよ」

「……!!」


 こいつ、悪魔か! みたいな顔をしてやがる。

 まあ、でも今それでもいいか。

 言いふらされて退学になるのは入学した意味無いしな。

 それに――――


「わかったよ。どうせオレが勝つしな。乗ってやるよ」

「へえ、いい度胸ね。この際、魔力無い人間がどれだけ魔力を多く持ってる人間に及ばないか、はっきりさせてあげる」


 新星歴二九九八年四月十三日――――放課後

 一年生首席ノア・ライトマンと一年生次席リーナ・ラカゼットによる『決闘』が行われる。

 


星★★★★★、レビュー、感想、ブックマークのほど、よろしくお願いします!!


1つでも多くの評価ポイントがあるだけで作者は泣いて大喜びします!!

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― 新着の感想 ―
[一言] でもさ、後見人が王様なんだしさ、いいふらしても、かき消されそうじゃない? というか、魔導書読む必要が無いこそ、勉強の時間が増えるんじゃないかな? つまりは、魔導書を読んでいるから勉強出来…
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