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0-42 種族


 一気に恐怖が込み上がる。

 いくら実力差があっても本能がそうさせてしまうほど奴の姿は悍ましい。


「お前は一体、何なんだ」

「そんなことはどうでもいい。ただただ貴様を殺すだけだ!!」

「……!!」


 くそ。しくじった。

 奴の姿に気を取られて奴の蹴りに反応が遅れた。


 一瞬の蹴りでオレは吹っ飛ばされる。

 次々と岩を砕き、オレが気づいた瞬間、奴が頭上から現れる。


「死ねええええええええ!!」


 人差し指の一点から高密度の高位魔術《断崖の業火(クリムゾン・ヘル)》がオレの頭を貫通する。とでも思ったか。


「“魔術返し”」


 逆に奴の脳天に自身の魔力が貫いた。

 高位魔術《断崖の業火(クリムゾン・ヘル)》は広範囲魔術。一点の炎から莫大な威力で一体周辺の大地を更地と化す。

 故に奴は自身の魔術で被爆した。


 オレは次にぶつかる岩を使って、腕一本で勢いを殺し、たまたまあった真下の足場に着地した。


 最高位魔術《超速再生》で奴の体は再び完治する。


「お前は何者なんだ。種族は? どういう目的で魔術師を殺した?」

「誰が貴様に教えるか!!」


 ここで奴はとある切り札を使う。

 それはある条件を満たせば即死能力を持ち、圧倒的実力差では防ぎようも無い伝家の宝刀。

 そしてそれはオレにとって一番の弱点であり、おそらくフレイを殺した最悪の天性魔術。


 その名も――――《死……》。


「うがあああああああああああ!!」


 奴の両目を光の剣術“【斬撃】三日月”で切った。


「フレイは強敵相手には自分の魔力が尽きるまでとことん使う魔術師。なぜフレイより実力の無いお前がフレイに勝てたのかなんて《死眼》しかない。魔眼なんて発動の予兆さえ読めばすぐに切ればいい。

 ――――降伏しろ。お前はオレが必ず殺す」

「貴様ぁ。貴様貴さマキサマァァァアアアあああああああああああああああ!!!!」


 高位魔術《断崖の業火(クリムゾン・ヘル)》の同時複数展開。

 奴の魔術が次々とオレに向かう。


「ふざけるなよ」


 奴が真の本性を現す。


「我々魔族がこんな小童に負けるはずがなどない! 偉大なる魔王様から授かったこの力で負けるなどありえないのだ!! 魔王様の忠誠に誓って絶対に、絶対に殺すぞ!! ノア・ライトマン!!」


 魔族。それがお前らの種族か。

 なるほど。

 これでお前らを容赦なく殺せる。


 絶え間なく来る高位魔術《断崖の業火(クリムゾン・ヘル)》を避けながらオレは前進する。


「死ねええええええ! ノア・ライトマン!!」

「……」


 奴の言動も無視して蹂躙する。

 オレの間合いに奴が入った。


「……!!」

「……」


 魔王かなんかの恩恵で負けるわけがない? 何言ってんだ。

 お前が弱いだけだろ。


 もう、終わらせよう。

 やっと一つフレイに『恩返し』ができる。

 フレイに教えてもらった全ての剣術を集約したこの一撃を食らえ。


 光の剣術“【宝刀】煌め――――”


『そこから離れて!! ノア!!』


 フレイの声がした。オレは本能的に奴との間合いを空ける。

 すると、奴から莫大な魔力が滲み出てきた。


 奴の詠唱が始まる。


「《生点》と《死点》が締結する。

 蝕知の餞別。死毒の誘惑。

 その赤き反り返る花弁は冥府へと誘い、秋風の寒さを予兆する。

 希望により絶望。

 天国より地獄。

 術の生贄より苦しみ、悲しみ、怒り、虚無感を被る。

 我が魔術の生贄となりて切望せよ。

 悪なる感情にてその花は貴殿らを後悔へと向かい惨死へと運ぶ。

 さあ、この詞花によって殲滅せよ。

 ――――最高位魔術《彼岸花》」


 奴の周りに四本ほどの魔術の花が咲いた。

 そして、反り返った花弁から強大な禍々しい魔力が漂う。


「ダンベル!! 死んでもその術を解くなよ!!」


 複数の花弁の先から光線が飛び交った。

 最高位魔術。おそらく、この光線に触れただけで確実に死ぬ。


 オレは光の剣術で未だに習得できていないことがある。

 それは“【秘剣】魔術返し”で最高位魔術を打ち返せないことだ。


 この飛び交う光線の中、オレは奴の魔力が尽きるまで避け続けるしかない!


 地の格闘術“【見切】大地の舞踊”。


 オレはひたすらに避け続ける。

 四方八方から来るこの光線を最小限で――――


「……!!」


 くそ。流石は最高位魔術。オレを囲うように全ての角度から光線が来る。


「チッ……!」


 オレは狭い抜け道へ自分の身を投げる。

 だがギリギリをかわしたところに光線が来る。


 オレはその光線を前転でうまくかわした。


 「チクショー!」


 幾らダンベルの強固な魔術でも防ぐのに手一杯か。

 

 オレは走り続ける。いつか無くなるまで。

 光線を避けながら奴に向かう。


 だが、そう簡単には行けるわけが無かった。

 あと一歩、奴の間合いに入った直後オレは気が緩んだのか頭上の光線に気づかなかった。


 気づいた時にはもう避けれないほどの距離にあった。

 光線を視覚した瞬間、悟った。


 ――――死……。

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