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0ー41 強奪


「これが答えだ、ノア・ライトマン」

「な、んで……」


 なんでフレイの天性魔術を使っている。お前もフレイの天性魔術を持っていたのか。いや、それはあり得ない。天性魔術は同じ血統の人物以外の人間は決して同じ天性魔術を持つことは無い。だったら、この魔術はもとを辿れば隔世遺伝で同じ天性魔術が誕生するのか? 絶対ない。現世に天性魔術が混じることなんてない。混じっても多少な誤差があってそれは同じ天性魔術じゃない。仮に現世に全く同じ天性魔術を持つ者が現れたとしてもそれは前者が死んだ後だ。つまり、この天性魔術は絶対に零歳の子供にしか受けつが――――


「何を考えている。これはあの女の天性魔術だ」

「何、言って――――」


 奴は奴本来の天性魔術を口にした。


「おれの天性魔術《万死の強奪(デッドエンドスナッチ)》。

 あらゆる者の魔力を奪い、魔力を奪った者が死んだあと、その者の天性魔術を我が物とする。すなわちこの天性魔術《剣聖(ソードマスター)》は正真正銘、あの女の天性魔術だ」


 まさか、最後にみたフレイの魔術がこれになるなんて……。

 オレはフレイを尊敬している。弟子になって最初に同行した仕事で、フレイが魅せたあの異質の強さは今でも心に残っている。

 洗練に磨かれた剣術、尽きることのない無限に湧き出る魔力、何よりその潜在能力を最大限に生かした天性魔術《剣聖(ソードマスター)》。

 フレイはまさに無敵そのものだった。


 でも、その無敵の姿は今、違う形となってオレの目の前に現れた。

 もう見れないと思っていたのがまさか、汚れた状態で見るとは思わなかった。

 その姿は本来、無敵の人間が身に着ける魔術なんだ。


 お前は知らない。

 だから、オレは思った。


「――――確実にお前を倒す」

「いいだろう。やれるもんならやってみろ!」


 それが戦闘を再開する合図となった。


 魔剣が数本オレのもとに来る。

 その剣をオレはすぐに次々と破壊する。


 と、奴に背後を取られた。


「“断刃輪(だんじりん)”」


 剣術を込めた攻撃をオレは奴のほうに向いてそれを止める。

 それぞれの剣が拮抗する。


「貴様の師匠に感謝しなくてはな……。こういうことができるからな!!」

「……!!」


 拮抗している矢先に魔剣がこちらに向かってくる。


「さあどうする、ノア・ライトマン! 魔剣が貴様に来るぞ!」

「なら、こうする」


 オレは奴の剣をすぐさま弾き、避ける。


 避けた先に四方八方から魔剣が来る。

 それをオレは弾き返し続ける。


 魔剣が無限に襲い続ける。

 魔剣は通常の剣と違い魔力を帯びている。

 弾く度に炎、雷、光、鎌鼬(かまいたち)などの攻撃が襲い掛かる。


「……!!」


 最低位魔術《炎の千槍(サウザント・ブレイズ)》が来た。

 魔剣の中にも魔術を持った希少な物もある。


 千の火の粉がオレに襲い掛かる。

 ただでさえ魔剣だけで手一杯だというのにこれはまずい!


 ――――とでも言うと思ったか。


 最小限の動きで手を抜きながらも、オレは弾き続ける。

 オレは一流の魔術師。自分の剣術(魔術)だけでなく体術も同時に身に着けている。


 地の格闘術“【見切】大地の舞踊”。


 大地と一体化になってこの無作為に来る理不尽な攻撃を避けまくる。

 だが、こうしていてもオレの体力が削られていくだけ。


 魔剣が無数に来るところに一瞬の殺意を感じた。

 奴は突然、魔剣に紛れ込んで二本の魔剣を高々と上げた。


 “断刃輪(だんじりん)”。


 オレはそれを待っていた。

 高々と魔剣を一気に地上へ振り切り、最大火力の重みの剣を相手に与える剣術。

 それをオレは難なく避けて、振り切る直前で剣の刃の横を弾く。

 その剣術は縦に最強なのかもしれないが、横に弾かれるだけでお前は一気に体制を大きく崩す。

 同時に操られていた魔剣が空中に飛散した。


 ――――今だ。


「光の剣術“【連刃】千連光芒”――――!!」


 オレは奴を横一閃に切り裂く。

 

「がはっ……!!」


 次に逆方向から、剣をスライスする。


「ぎっ……!!」


 縦に二発の連続攻撃。


「くそっ……!!」


 仕上げに。


「光の剣術“【宝刀】煌めき”――――!!」


 脇腹に入れた剣によって奴を真っ二つに両断し、衝撃で奴の体は爆発音と共に完全に消滅した。


「一つ良いことを教えてやる。いくらお前の攻撃手段(アドバンテージ)が増えてもお前の脳は一つしかねえ。だから、どの攻撃も必ず一点に集まるんだよ!! あんな単調な攻撃でオレが沈むと思ったか!

 オレの師匠を馬鹿にするんじゃねえ!!」


 フレイ。オレはお前を生涯を通して尊敬する。決して忘れない。


 奴は完全に潰した。フレイの天性魔術はかなりの魔力を消耗する。

 もうこれで奴は観念するだろう。


 だが、悪夢はまだ続く。


「貴様……貴様ぁぁぁあああああああああああああああ!!」


 奴は再びオレの目の前に立ちはだかる。

 一体、何が奴を突き動かしているのだろうか。


「な、なんだその顔は……」


 驚愕した。

 奴の顔は変貌していた。それは神話や聖書に出てくるような悍ましき外見。

 額にある尖った二本の角。背中から生えている蝙蝠のような翼。まるで頭蓋骨のような黒く瞳のない顔面。

 人間じゃない。かと言って精霊族でも、大和族でも、獣人族でもない。


「お前は一体……」

「殺してやる! 必ず殺してやるぞ、ノア・ライトマン!!」

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― 新着の感想 ―
[一言] 人の「天性魔術」を使ってこの程度なのか...。じゃあやっぱり、二流止まりなんだね。 諦めの悪さがきわだつけど、こんなんで倒せる筈がない。 魔族になって、逆転出来ればいいけど、一撃をどれだ…
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