表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/134

0ー40 剣術勝負


 思い出した。

 この剣はオレが一番最初に抜いた剣。

 フレイとの修行で振るった木刀よりもさらに前、オレがライトマン家から追放された時に助けてくれた剣だ。


 ――――なんで()()はここにいるんだ。


 いや、今はそんなことはどうでもいい。

 どうやら、奴はこの剣を認知できていない。

 なら、選択肢は一つ。


 ――――お前の力を借りて、奴を倒す!!


「なんだ、その剣は」

「……《天空の聖剣(●●●●)》」


 奴の問いにボソッと零した。


「……どういうことだ。その剣から途轍もないほどの魔力を感じる。だが、なぜおれがその剣を今のいままで気づけなかった」

「知らねえよ。でもこれでお前を確実に倒せる!」

「やれるもんならやってみろ!!」


 光の剣術“【宝刀】――――”


「“煌めき”――――!!」

「“断刃輪(だんじりん)”――――……がはっ!!」


 互いの剣が交じった瞬間、《天空の聖剣》が奴の《悪行の冥剣(デフリート)》を破壊し、奴の首を両断した。


「なんなんだその剣は……我が愛刀を破壊しただと……!!」

「オレも知らねえよ!!」


 奴を捉えた。


「光の剣術“【帯刀】閃光斬”――――!!」


 奴を無数の斬撃で切り裂いた。

 だが、手応えがまるで無い。


「くそっ……!」


 また高位魔術《蜃気楼(シャドウ)》か……。

 厄介な。


 オレは奴との距離をとる。


「いい加減に倒されとけよ、『魔術師殺し』」

「それはこっちのセリフだ、ノア・ライトマン」


 生憎、オレはまだ追い込まれたうちに入ってねえよ。


 沈黙が続く。


「なんて、戦いだ……。こんなのザノア帝国最強となった俺でも戦いに介入なんてできない。ノア君、君はどのような修行して、そのような力を手に入れたんだ」


 ダンベルの声が聞こえてくる。まだ防護魔術は潜在のようだ。

 そっちは頼んだ。お前が魔術を解いた瞬間、オレ達は負ける。


 奴はふと笑う。


「中々に手強いな。もういい。最近手に入れた魔術で貴様を殺してやる。来い、《豪炎の魔剣(イフリート)》、《迅雷の魔剣(スカイリム)》」


 それはまさか、フレイの魔剣なのか。

 確かに、フレイの天性魔術《魔剣生成(ソードマスター)》は魔剣を作り出す魔術。死んでも尚、魔剣は存在し続ける。

 奴がフレイの魔剣を奪った、のか……?


「これで貴様と剣術勝負しようじゃないか」


 いずれにしても、奴は倒さなければならない敵。


「望むところだ」


 フレイと何があったかなんて関係ない。

 優先は奴を倒すことだけだ!!


 お互いがお互いの間合いを詰める。


 奴が先に攻撃を仕掛ける。

 二連続の縦の剣。

 オレはそれを難なく裁く。


 オレも縦の一撃をお見舞いする。


「……!!」


 おっと、マジか。


 魔剣二本で力任せの一撃を受け止めた。

 だが、ガードできたくらいで満足するなよ。


 光の剣術“【透刀】二光線”。

 一撃を受け止めた衝撃波で奴の右腕を切り落とす。


 よし、このままゴリ押しで――――


「……ちっ!!」


 切り落とした右腕を使ってオレに斬りかかってきた。


 オレはすぐその場を離れ、体制を整え――――

 奴は既に背後を取っていた。


「“断刃輪(だんじりん)”」


 最悪だ。いくらなんでもあの脳筋剣術に当たればさすがにヤバい……なんてね。


「……!!」


 オレは背中を向けながらその攻撃をガードした。


「どこが剣術勝負だ、切り落とした右腕を使いやがって!!」

「貴様こそ衝撃で我が右腕を落としただろうが!! それと何が違う!!」

「それがオレの剣術だ!!」


 オレは奴の双剣を弾き、すぐさま振り返って首元へ剣を振る。

 奴はオレの剣に反応して二つの剣をガードした。


「お前、その剣、フレイから奪ったのか」

「フレイ? ああ、あの女か。そうだな、奪ったと言われれば奪ったな」

「なんだ、その回答は! ふざけてんのか!」

「事実を言ったまでだ」

「それをふざけてるって言ってんだよ!」

「ふざけてはないさ。ただ、貴様がおれの質問に答えるなら本当のことを教えてやるよ!」


 奴はオレの剣を弾き、間合いを離れた。


「貴様はあの女なんなんだ?」

「フレイはオレの師匠だ。追放されたオレに魔術師としてもう一度立ち直させてくれた恩人だ」

「くっ、くくっ、っはははははははははははははははははは!!!」


 奴は大声をあげて盛大に笑う。


「魔術師? 笑わせてくれる。魔力が無い貴様がどうやって魔術師になると言うのだ! 奴は言葉を全く理解していないようだ!!」

「……おい。オレの師匠を馬鹿にするな」


 オレは極限にキレている。

 奴はオレを見て言う。


「いいだろう。ならば本当のことを教えてやろう」


 次の瞬間、オレは驚愕した。


「天命より我が魔術を仕え奉る。

 洗練された太刀筋。透き通る世界。

 我が剣道は誰よりも、

 深淵かつ鋭利なり。

 鮮明かつ人道なり。

 そして、あらゆる異能を打ち払う紛うことなき凄まじき剣。

 全ての者を護りきる素晴らしき剣。

 剣聖よ、これより我は貴殿の称号をここに受け継ぐ。

 次代は貴殿を受け継ぐに値する資格を持っている。

 ならば、その名をここで言おう。

 我が名は剣聖、#$%&!”’&%$&#……!」


 奴は変貌し、ある姿になる。

 それは何度も見てきた。そしてその姿はもう見ないのだと思っていた。

 なのにどうして、目の前にその姿があるんだ。


「その詠唱は、まさか……」


 天性魔術《剣聖(ソードマスター)》。


 ――――敬愛するオレの恩人(フレイ・ハズラーク)の天性魔術だ。

追記

「0ー4 謎の剣」に戻って頂けたらもっと面白くなると思います。


星★★★★★、レビュー、感想、ブックマークのほど、よろしくお願いします!!


1つでも多くの評価ポイントがあるだけで作者は泣いて大喜びします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ