０－３９ 見覚えのある剣
「とうとう本性を現したか」
フレイを倒した相手なんだ。こんなあっさり倒されるわけないと思っていたけど、まさか体が無くなった状態から復活するとは……。
でも、冷静に考えたらわかるはずだ。
ここは奴の結界魔術。つまり、奴の体の一部と捉えてもおかしくはない。
「それがお前の天性魔術か……。さてと、第二ラウンドを始めるか」
「貴様はこのおれをよくも追い詰めたな……。それがどういう意味か教えてやる……！」
再び顕現させた魔剣を持ってオレのほうに突っ込んでいく。
オレも奴のほうに向かった。
魔剣と剣が対峙する音が鳴り響く。のも束の間でオレは瞬く間に吹っ飛ばされ、溶岩を次々に破壊して壁にぶつかる。
「チッ……！」
これは……身体能力を極限に上げる天性魔術か……。
透かさず立ち上がる。
「まだまだ――――！」
「うっ……！」
腕を引っ張られ腹を殴られる。
「ぐっ……！ がはっ……！」
それも何発も。
「もう終わりか、ノア・ライトマン……！」
引っ張られた腕を持ってオレをぶん投げる。
「死ね、雑魚が……！」
「くそっ……！」
高位魔術《豪炎の咆哮》が炸裂する。
ぶん殴られたことで体勢が立て直しにく、いやオレはここで終われない……！
「光の剣術“【秘剣】魔術返し”――――！！」
オレはなんとか体勢を立て直し、奴の動向を伺――――。
「“断刃輪”――――！！」
「"煌めき”――――！！」
奴に自身の魔術を返した直後、その炎から奴が突破して剣術を放つ。
オレも咄嗟に剣術を放つ。が――――
「やっぱ耐えれないか……！」
くっそ、剣が折れた。
せっかく貯金をはたいて買ったっていうのに……！
「どこ見てる」
「しまっ――――」
一瞬の隙は戦いにおいて致命的なミスになる。
剣術を防いだとしても奴はオレの頭上からマグマの方へオレを蹴り落とした。
「っ……！」
どうする。
このまま落下すると、確実に死ぬ。
かと言ってマグマの方に剣術を放って落下を軽減しても、落ちた時点で死ぬから現状何も変わらない。
すると、一つの岩が目に入る。――――これしかない！
「光の剣術“【宝刀】煌めき”――――！！」
手刀で最大出力の光の剣術“【宝刀】煌めき”を岩にぶつける。
それによって岩にぶつけた反動で砕けた小さい岩が足場になって一時的な余裕を手に入れる。
「このまま足場まで行けば――――」
「させると思うなよ」
「――――！！」
横に奴がいた。
中位魔術《飛翔》か――――いや魔力を消耗していない。
結界魔術は奴の体の一部そのもの。
「“断刃輪”――――！！」
「くそっ――――！！」
奴の縦の一撃にオレは両手を手刀にしてガードした。
手から切れ目が、血が腕を通して垂れていく。
重っ――――！！
奴の剣術と天性魔術、それらの組み合わせが徐々にオレの手を蝕んでいく。
やっぱ借金してても名刀と呼ばれるほどの剣を買っておくべきだった！！
オレのタイムリミットは近づいていく。
オレと共に落ちていく岩が完全に無くなった時、オレは覚悟を決めなくちゃいけない。
そうなる前になんとしてもこの状況を打開しなければ――――。
――――お前の剣術がもし一刀両断するような脳筋の剣ならこの不意打ちに気づかないはずだ。
「うっ――――！！」
思った通り、奴の腹を思いっきり蹴る。
奴はその瞬間、体制を崩れた。
その好機をオレは逃さない。
奴の剣をはらって頭を掴みオレの足を奴の背中に持っていく。
あとは簡単。俺の足で一気に安全な足場まで飛ぶ。それと同時に奴はマグマに落ちた。
しかし――――
「くそっ……！」
足場まであと少し、なのに届かない。少し不意をつくのが遅かったか。
「うおおおおおおおおおおおお――――！！」
オレはノア・ライトマン。五大魔術師 フレイ・ハズラークの弟子。
こんなところで死ぬような修行はしてない！！
――――わずか中指。足場に届いた。
「ふう。あっぶね」
オレはすぐに足場に乗る。
ただ、安堵はできない。
ここは奴の結界魔術。マグマに落ちたとてダメージは無い。
「まったく貴様は、どれだけしぶといんだ。早く死んどけば楽になれたものを」
奴はすぐにマグマから空中に飛び上がる。
「お前を倒すまでは死ねないな」
必ず『魔術師殺し』は倒す。
だが、倒すにしてもオレの剣は折れた。
――――手刀だけで奴を倒せるのか？
何かを感じた。
オレはその何かに目をやる。
これは――――剣だ。
どこかで、昔使ったような、見覚えのある剣だ。その剣が突き刺さっている。
おれはそこに引き寄せられるかのように足を運び、その剣を抜いた。
星★★★★★、レビュー、感想、ブックマークのほど、よろしくお願いします！！
1つでも多くの評価ポイントがあるだけで作者は泣いて大喜びします！！
