0ー38 思い知れ
両者同時に動き出す。
オレが最初に剣を振るう。奴も剣を振る。
剣が鳴り響いた。
連続攻撃。
オレが何度も剣を振る度に奴が魔剣でガードする。
「チッ……!」
なら次だ。
「光の剣術“【帯刀】閃光斬”……!」
無数の斬撃が奴を襲う。
「そんなものでおれを倒せると思うなよ……!!」
最低位魔術《炎の千槍》で斬撃を防ぐ。
斬撃は奴の周囲を超える。
だが、火の粉はオレの方に向かった。
さすがに千を超える火球には勝てない。でも躱せないほどでも無い。
オレはその火の粉を剣で次々と取っ払う。
「流石におれに刃向かうだけの実力はあるようだ」
「は……? なに余裕ぶってんの? そんなぐらいできないでどうすんだよ」
「……そうだな。なら、これならどうかな!」
その瞬間にオレは気づいた。
足場から何か来る……!
オレはすぐにその場を離れる。すると足場無くなり、マグマが込み上げて空まで噴き上がった。
高位魔術《大噴火》。
通常は自分の魔力を集中させて莫大な火力を生み出す魔術だが、奴は違う。
この結界自体が奴本体。
オレたちは既に奴の術中にはまっている。
「チッ……!」
オレは避けれる。だが、ケイロスたちが危ない。
「高位魔術《千差万別の防壁》……!」
ケイロスは他の二人の魔術師と共に見えない透明の球体に入り、奴の猛攻を防いだ。
「俺たちのことは気にするな。君があの怪物を倒してくれ、ノア・ライトマン……!!」
その言葉はまるで俺を一人の魔術師として認められたかのような口だった。
――――そんなこと、お前に言われるまでもねえ……!
オレは剣を握り直し、力を込める。
「はあぁぁぁ……――――」
奴はオレの動きに反応できなかった。
一瞬でやつの間合いに入った。
「光の剣術“【宝刀】煌めき”――――!!」
燦々と遍く一刀は奴の体を二分に切り裂いた。
「ぅがああああ……なんてね」
高位魔術《蜃気楼》がまたオレの邪魔をした。
「チッ……! ――――っ……!」
罠に嵌められた。
オレが空振った瞬間、奴の魔術《大噴火》が発動する。
その炎は肥大し、無限に広がっているであろう奴の結界の天上まで燃え上がった。
奴がオレのもとに足を踏み入れる。
「所詮、この程度か……」
「光の剣術“【斬撃】三日月”――――!」
「ぐあああああああああああああ――――!!」
奇襲成功。
奴が魔術を発動した瞬間、オレは咄嗟に光の剣術“【秘剣】魔術返し”を発動元にぶつけた。
それによって炎が爆発したかのように魅せ、さらに燃え広がった炎に空洞ができた。
あとは簡単。奴が近づくのを待ち、見事に奴の首を取った。
だが、まだ油断はできない。
フレイを倒したほどの魔術師だ。必ずあれを持っている。
「嘘だろ……」
ダンベルがそう言うと、奴の体は変化する。
最高位魔術《超速再生》。
一瞬で奴の首は完治する。と思っていた!
「光の剣術“【連刃】千連光芒”――――!!」
まずは腹に一撃。
「がっ……!」
次に両腕を切り落とす。
思い知れ。
「があああああ……!」
両足を切る
お前がどれだけの人が歩むはずだった時間を奪ったか……!
「ぐっ……!」
胸を刺す。
どれだけの人を悲しませたか……!
「うっ……!」
そして刺した胸から奴の胴体を掻っ切った。
お前の悲鳴じゃ足んねえんだよ……!!
「光の剣術“【透刀】二光線・天撃”――――」
「ぐあああああああああああああああああああ――――!!」
掻き切った瞬間、光の剣術“【宝刀】煌めき”を込めることで莫大な威力を発生させ、奴の体は消滅した。
フレイ、オレは『魔術師殺し』を倒したぞ。
オレはやっとお前に『恩返し』できたぞ……!
『まだ……!』
フレイにそう言われたような気がした。それもそうだ。
まだ結界魔術は消滅していない。
「高位魔術《豪炎の咆哮》……!!」
高位魔術の中で最高威力を持つ炎の砲撃がオレに襲い掛かる。
オレはそれを半身で避けた。
「よくもこのおれを追い詰めてくれたな……! 許さぬ……。許さぬぞ……!!」
砲撃が来た方向に奴がいた。
ほぼ完璧に完治して現れる。
オレは再び剣を握りしめる。
奴は詠唱を唱えた。
「天命より我が魔術を仕え奉る。
魑魅魍魎。一騎当千。
強者によって群れを成し、
非情にして華麗なる猛獣。
貴殿の力を以てして我が心に百獣の王が目覚める……!
天性魔術・解放 《獅子の怒号》……!」
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