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0ー24 剣士としての格差


 まるでそこはこの世界の怒りのような、猛烈な溶岩に包まれていた。

 マグマから吹き出す火の粉。

 岩が溶ける(にお)い。

 足場が無く、落ちたら溶けてしまうような灼熱の大地。


 生き地獄のようなこの場所に私は引きずられてしまった。


「どうだ……! 貴様にとっては地獄だろう! これが我が結界魔術《煉獄》……! この結界は術者以外の全ての者に胸苦しい暑さと決して踏み外してはいけない緊迫感を襲う……!! さて、貴様はいつまで耐えられるかな……?」


 汗が流れる。

 頭が呆然とする。


 確かにこの空間に居るだけでもかなりの体力を消耗する。

 多分魔術で体を冷やしてもすぐ蒸発してしまうだろうし、それに魔力の消耗も凄まじい。


 きっとこの空間は奴にとって思う壷なんだろうな。けれど――――


「耐える……? 必要無い……! だってあんたを倒すんだから……!!」


 私は奴に接近した。


「まさか、足場の無い状況で接近してくるとは……! 中々どうして、貴様は素晴らしい剣士なんだ!」

「はぁぁぁああああああああ……!!」


 渾身の刺突。それを軽々と奴は躱した。


「やはり、この空間では貴様も冷静では居られないようだな!」


 躱されることなど知っていた。わざと避けさせたんだから……!


 《未来眼》発動。

 ――――接近前。私が刺突した際、奴は必ず半身で避ける。

 よって私は躱された瞬間、奴の腹部に斬り込む……!


「ぎゃぁぁあああ……!」


 見事に命中。


 私は四つの魔眼を持っている。

 《測量眼》。

 《透明眼》。

 《仙眼》。

 そして、《未来眼》。

 《未来眼》は未来を知る魔眼。

 これにより敵の行動を読み取り、次の行動ができる。

 でもここで注意しておくことはいくら未来を見えるからといって相手の行動よりも先に行動しないこと。先に行動してしまうと未来が変わってしまい、《未来眼》の効力が失ってしまうから。

 よって、相手に行動させてから行動することで《未来眼》の真の力が発揮できる。


 先程の一撃で体の平衡感覚を完全に失った私はすぐさま足場の無い岩に剣を突き刺して体制を整えた。


 私は奴を見る。ここでまさかのものを見た。


「どういう仕組みだ……? まるで未来を見たかのような動きだったな……」


 最高位魔術《超速再生》。

 奴の切れた腹部は一瞬にして元に戻っていた。


「貴様……! さっきおれに何をした……!」


 動揺している私にすかさず聞いてくる『魔術師殺し』。

 そういう男は嫌われるよ……?


 まあいいや。


「さあ……? そんなに知りたかったら足場でも作って確かめたら良いんじゃないの……!」


 私は両足で岩を蹴り、奴に向かう。

 それを見た奴は上に飛んだ。結界内では術者は自由に空間を移動することができる。


 そんなことをしてくるのは知ってる。


「中位魔術《飛翔(フライ)》」


 私は上に行ったことを察知し、奴の近距離(クロスレンジ)まで追いついた。


「光の剣術“【宝刀】煌めき”――――!」


 私は渾身の一撃を奴にかました。

 横に透かされ、避けられた。でも、それは知っている……!


 奴の胸に傷が入った。


 ――――光の剣術“【透刀】二光線”。


「うがああああああああぁぁぁ……!」


 避けたはずの攻撃。なのに、斬られた。

 なぜだ? といった顔をしている。


 奴はあることに気づく。


「……なるほど。貴様はさっき、二本の剣を同時に振ると思いきや、おれが避けることを()()()()()、あえて避ける方向と同じ腕、左腕を伸ばしておれの首を狙った、ということか」

「首斬れると思ったんだけどな……」

「貴様、もはや《未来眼》を持っているな」

「さぁ……ね!」


 《超速再生》。

 深かった傷が何も無かったかのように治った。


 私は攻撃を続ける。

 中位魔術《飛翔(フライ)》は使用する度に魔力を消費する。

 空中戦は不利。この空間は余計に魔力が減ってしょうがない。


 短期決戦。私は剣を振り続ける。さっきの連撃より速く、もっと速く――――!


 光の剣術“【連刃】千連光芒”――――!


 その連撃は白く輝く光源のように奴の身体を着実に傷を入れていく。奴がどれだけ抵抗しようが私の速さに追いつけやしない。


「クッソおぉぉぉぉ……!」


 最低位魔術《炎の千槍(サウザント・ブレイズ)》が降りかかる。私はそれを避けるために一旦奴から離れる。


 それにしてもこの魔術はちょっと面倒。


 一つ一つの炎の威力は弱いけど火傷しちゃうし、多数来るのだから避けなくちゃならない。


 だったら――――


「高位魔術《焦点(ポイント)》」


 襲い掛かる魔術を一点に集める魔術。基本は一点に集まった魔術を透かして避けるんだけど、私はこうする……!


「“魔術返し”――――!」


 幾度となく集まった最低位魔術。けれどその魔術たちも集めれば威力も強まっていく。

 その威力はおよそして高位魔術以上……!


 奴はまさか魔術が返るとは思っていなかったようで、その大きな火球が当たった。


「がはっ……!」


 奴は獄炎のマグマへと落ちていく。


 倒したの……?


 奴はマグマの中へと沈んだ。

 けれど、結界魔術はまだ解かれない。

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