表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/134

0ー23 獄炎


「なるほど。貴様は剣を以て戦う魔術師であるか。ならば、おれも真剣を繰り出そう。来い、魔剣《悪行の冥剣(デフリート)》……!」


 奴も剣を顕現させ、右手にそれを持った。


 しばらく奴の動きを見続ける。

 隙がなく、一瞬の動きも見せない。


 そして、私もまた動けない。この気迫。相手の一瞬さえ見逃そうとしない観察眼。今動いたら、不味い。


 数分が経った。それでも尚、動きを見せることは無い。

 すると、奴は肩の荷が降りたかのようにため息をついた。


「やはり、このままで居ても勝負はつかんな。仕方ない、場所を変え――――」

「光の剣術“【宝刀】煌めき”――――!!」


 私が先に攻撃を仕掛ける。

 私の両剣が奴の首に襲いかかった。が、それを奴は避けた。


「ちっ……!」

「いきなりだなぁ。話の途中で切り捨てないでくれ。貴様には戦の作法というものは無いのか?」

「あんたみたいな極悪人に、戦の作法をとる必要なんて、無い!」


 私はもう一度片剣を振るう。奴も同時に剣を振り、接触した。

 そのままもう一方の剣で奴の脇腹を狙う。だが、奴は咄嗟に私の片剣を振り払い、もう一方の剣に対応。止められた。


 私は体勢を立て直し、もう一度剣を振る。でも、奴にまた止められた。

 激しい攻防が続く。何度剣を振ってもすべて剣が奴に届かない。


 不味い。このままだと……。


「何を焦っている?」

「……!」


 遂に私の剣が完全に止められた。

 奴が私に尋ねていく。焦る? 何を言って……。


「なんでそう思うの?」

「貴様の剣は今、歴戦をくぐった剣では無い。この剣は覚えたての才能の無い人間の剣だ。こんな剣じゃおれに勝てるわけがない……!」


 …………!!

 奴に力で押し上げられる。二刀で構えていても尚、奴の力は強い。


 私はそのまま後ろに左足を軸に回転。その勢いで奴の首を狙う。

 奴は後ろに下がった。私も剣を振った後に後ろに下がり、距離をとる。

 振り出しに戻る。

 私は奴を観察する。やはり、どこにも隙なんて無い。


 ……焦ってなんかいない。


 すると、私は奴から魔力を感じた。


「なっ……!」


 一滴の炎が頭上から降ってくる。この魔術は……!


「光の剣術“【秘剣】魔術返し”……!」


 教会の屋根を突き破り、その火の粉は私に襲う。が、私はその炎を弾き返した。そして、夜空に花火のような光と轟音が生まれた。


 高位魔術《断崖の業火(クリムゾン・ヘル)》。

 そんなものを食らったら私だけじゃなくこの森全体が甚大な被害を受けてしまう。

 危なかった。


 と、ここで奴は笑った。


「素晴らしい……! さすが、おれの魔眼を耐えただけのことはある! やはり、貴様はクインテットの名に相応しい素晴らしき剣士だ!」

「それはどうも……。私が五大魔術師(クインテット)だからね!」


 再び剣の轟音が鳴り響いた。

 振り続ける。力じゃきっと奴に劣る。なら、速く……もっと速く――――!!


 剣が加速する。その凄まじき剣は奴の勢いをねじ伏せていき、奴に切り傷を次々に作り出す!


「ッ……! こいつッ……!」

「はあぁぁぁああああああ……!」


 魔眼。やっぱり魔眼だったんだ。

 《死眼》。魔眼の一種。

 視界に入る全ての生物に重圧を与えることによって気絶させる魔眼。対象者の魔力量が魔眼使用者より小さければ小さいほど死ぬ確率は高くなる。


 奴は一瞬にして世界第四位の戦力を誇るザノア帝国魔術師団団員を一掃した。それほどまでに奴の魔力量は遥か上、ということになる。


 でもそんなこと、私には関係無い。

 私は剣を使う魔術師なんだから!


「貴様あアアアァァァァ……!」


 奴が大きく剣を振るった。私はそのあまりにも強烈な一撃にギリギリ反応して躱した。でも、首を少しかすってしまう。


 奴は少し息を切らした。そして息が整った。


「やはり貴様は素晴らしい。普通の人間に対してはかなり善戦している方だ。誇っても良いぞ! 人間!」


 さっきから変な言い回し……。まるで自分が全知全能の神のような、そんな言い方している。

 滅茶苦茶痛いヤツやん。

 そんなこと言われてもね……。


「あんた、なんか上から目線で私に言ってるけど、ぜんっぜん覇気なんて感じないよ」

「ッ……!!」


 図星、ね。顔に出てますよ。

 動揺した『魔術師殺し』。奴は怒りを見せてこちらを睨んだ。けれど、どこか吹っ切ったのかニヤリと笑った。


「……貴様が何に焦っていたのか、ようやくわかったよ」

「……?」


 だから焦るって、何に……。


「貴様、結界魔術が怖いんだろ」

「……!」


 マグナドール公爵が帝国一の商店街で発見されるなんて可笑しいと思っていた。マグナドール公爵が負ける戦いには必ず被害が出るはず。なのに、その報告は一切無い。

 だとしたら、マグナドール公爵はどこか別の空間で戦っていた、と考えるのが妥当。


「そこでだ。貴様に良いことを教えてやる。」


 私は剣を強く構えた。


「別におれは詠唱しなくても結界魔術が使える。すなわち、お前がどれだけ早くこの戦いを終わらせようとしても、無駄だ……!」


 恐らく、私はその魔術からは逃れられないだろう。


「さあ、始めようか」


 なら、私も少し本気を出そう。


「結界魔術《獄炎》…………!!」


 魔眼発動。《未来眼》……!

星★★★★★、レビュー、感想、ブックマークのほど、よろしくお願いします!!


1つでも多くの評価ポイントがあるだけで作者は泣いて大喜びします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ