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1ー86 褒美


 新星暦二九九八年六月八日


 オレはタレミア国王に呼ばれ崩れかけてる城に足を運んだ。

 城の周りはもう何もない更地。それでも国民は復興のため今日から働いていた。


「はぁぁ……。めんどくせぇ」

「あんた、言っとくけどここは城内なんだよ? ちょっとぐらいちゃんとしたら?」

「だから嫌なんだよ。国のトップと話すのが一番だるい」

「……国のトップってレミリス王国の?」

「いや、ザノア帝国な。オレの生まれはレミリスの名門貴族ライトマン一家だけど、オレの人生の大半はザノアなんだよ」

「ザノア? なんで?」

「そりゃ、お前も知ってる通りオレに魔力無いからな。ザノアの貴族に追放されたんだよ」

「……そう」

「ま、おかげでオレは強くなれたから良いんだけどな。ザノアに行ってなかったらお前をこうして救うなんてできなかったし」

「……というか、なんでザノア帝国の皇帝と面識あるの?」

「そりゃ……」


 あ、これ長くなる奴だ。


「ていうかお前の魔眼でオレの過去見れるだろ」

「……! それもそうね」


 《過去眼》。

 それは文字通り対象の過去を見れる魔眼。その過去は見たいものを的確に見ることができ、それ以外の過去を見ると必ず「魔力欠乏症」にかかる。


 そしてアメリアはオレの過去を見たようだ。


「……うそ。あんたがあのフレイさんの弟子!?」

「言ってなかったか?」

「聞いてない!! でも、あんたがあんなに強いのも納得できる」

「そりゃ、どうも」


 ここでアメリアが問う。


「……というかあんた、何フレイさんと一緒に風呂入ってるの?」


 あ、そうか。

 そう言えばフレイが何度もオレの湯船に勝手に入ってきたんだった。


「それはその……フレイが勝手に入ってきて……だな……」

「――――変態」


 これは駄目だ。

 弁明の余地がねぇ。


「着いたよ」


 相変わらずボロボロだな。

 と言っても昨日はここが戦場になったんだ。無理も無い。


 さて、なんの話があるんだろうな。

 二人の門番からすぐに通され、オレとアメリアは城内に入った。


 ※※※※※


「それで、何の用なんだよ」


 オレはタレミア現国王ジーク・ランドロード・タレミアの要求を聞く。


「って、なに陛下にため口聞いてんの!!」

「アメリア、良い。彼に会った頃からこうだ。今更そのようなことで無礼だと思わないよ。なにしろ、彼は恩人だ」

「……そうなの?」

「言っただろ? オレはザノアの魔術師でザノア帝国がお前の両親を保護してたんだよ。それで、お前と試合する前に会いに行ったんだ。その時にお前から貰ったタオルを預けてもらった」

「そういうことだ。ここは今、妻とアメリア、ノア君しかいない。そこまで畏まる必要はない」

「……わかった」


 立ち膝で構えていたアメリアは立ち上がる。


「それで俺の用を聞きたいんだったね。簡単な話だ。君はこの国を救った英雄だ。その褒美をと思って。じゃないと国王としての威厳が保てん。金でも宝でもなんでも用意しよう」

「ああ、そういうことか」


 国王からの呼び出し……基本めんどくさい依頼が来るからな。

 少なくとも皇帝は間違いなく仕事を振ってくる。


 でも、そうだな……。

 だったら――――


「じゃあ、一つ」

「なんだ? 言ってみろ」

「オレは今アメリアと付き合ってるんだ。つまり、アメリアをオレは自由に触れるわけだ。もしかしたらオレとアメリアの間に子供ができるかもしれねえから、その時はよろしく」

「はあ……!? あんた、何言ってんの!!」

「そうか。どうやら貴様は死にたいらしいな!!」


 あっれえええええ?

 なんでも良いんじゃないの?


「貴様……!! そんなことしたら、許さんぞ!! それにアメリアと結婚してもいいのはこの俺だ!!」

「そんなわけないでしょ!!」


 アメリアはジークに石を投げつけた。


「いたっ。何故だ、アメリア。パパのこと嫌いになったのか!!」

「嫌いも何も、そんな恥ずかしいこと言わないで……!!」


 ??

 今オレの褒美を聞いてるんだよな?


 というか、あの王様いつのアメリアの話をしてるんだよ。

 もうアメリアは十五だぞ。


「とにかく、ノア君。君に娘はやらん!!」

「いや、冗談に決まってるだろ。オレ達はただ設定で付き合っているだけだ」

「……そうか。ならばよい」


 良し。これでやっと話が――――


「そうなの?」


 アメリア、頼むから辞めてくれ。

 もうジークの視線が怖すぎるんだ。


「もういいだろ、そんな話。で、オレの褒美だよな?」

「そうだ。今度はふざけずに言えよ」

「あんま、怒んなよ」

「最初から怒っていない」


 嘘つけ。

 それにしても、褒美か……。


「いらね。考えてなかった」

「何……?」

「オレはアメリアを助けたかっただけだ。別に金とかそんなもんに興味が無い」

「それでは、俺の国王としての威厳が――――」

「その渡そうとした金、全部国の復興代に使えよ。それがオレへの褒美ということで」

「ならせめて学費だけでも払わせてくれないか?」

「要らねえって。学費はザノア帝国に請求してるから良いよ。それにオレは退学になるしな」

「え……?」


 アメリアはオレの言葉に反応する。


「退学って……。それって、私のせい?」

「……何言ってんだよ。お前のせいじゃねえよ。オレがやりたくてやっただけだ。悔いなんてこれっぽっちも無いから安心しろ。……と言うわけだ。じゃあ、そういうわけだからオレは帰るぞ」

「……わかった」


 こうしてオレは城を離れた。

 そしてオレは明日学園長室に向かう。

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