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1ー81 タレミア奪還決戦⑦


 ※※※※※


 ノアが来てくれた。

 私はそれに不安しか湧かなかった。


 でもノアは初めてグレイバルにダメージを与えた。

 アミーでもできなかったことだ。


「でも……」


 私はこのままで良いのだろうか。

 彼に助けられて私は彼の好敵手(ライバル)で居られるのだろうか。


 この戦争は私が起こしたことだ。

 ここで私が止めないと……!!


 ここで奴に繋がれた魔力を吸う手錠に妨げられ魔術を使おうとも発動できない。

 なぜ私は、こんなにも弱いのか。


 アメリア・ランドロード・タレミア。

 私は王族としての誇りを失いかけていた。


 ※※※※※


「それでオレがいつ死んでるって?」

「バカな……。なぜお前が生きている?」


 オレは奴の咄嗟の剣を勘だけで防いだ。


「バレバレなんだよ。どうせ、時空系統の魔術でも使ったんだろ? ならお前も知ってるはずだ。魔力は時間に依存しないぐらい」


 ここで奴はオレの剣を弾いて距離を取る。


「お前の言う通り、私は時間を止めてお前の首を取りに行った。だが、私の魔術はお前を殺す寸前まで時間を止めたはずだ。なのに、お前は私の剣を止めた。意味がわからない」


 ……ここでオレの話でもしてやるか。


「……冥土の土産に教えてやる。オレは常に魔力の流れを読んで戦っている。でもオレの体質じゃあ、お前らみたいに第六感で魔術を感じれるなんて芸当できるわけが無い。第六感が無かったらあらゆる魔術戦で遅れを取るからな。だからオレはあらゆる魔力を数字として推定することにした」

「推定……?」

「たとえば、木の葉が落ちたとしてそれの落下地点が垂直じゃなく風が揺れたことで少し動いたところに落ちたとしよう。これだけで位置と時間、方角、高さ、移動距離を総合的に計算して風速を割り出す。オレはこれで常に魔力を把握している。


 ――――『算上の世界』。


 これがオレが編み出した魔術師として生きる道だ」


 それでもグレイバルは首を傾げる。


「だが、それでは私の剣を止めれた理由にはならない」

「……お前の魔術が発動した時、微かだがオレの首にまでお前の魔力が届いていた。これでわかっただろ。お前はオレに勝てないんだよ」


 奴はそれを聞いて唇を噛み締め、遂に本性を見せる。


「舐めるなよ、ノア・ライトマン! 貴様なぞ、天性魔術無くても勝てるわ!!」


 奴はオレの方へ走り出し、上空へ跳ぶ。


「魔天剣術“断刃輪(だんじりん)”……!!」


 奴は剣を縦に大振りに下ろす。


 なんだろうな。

 頭に血が昇った奴ほど戦いやすいものは無いな。


 オレは奴の剣がオレの頭スレスレに届くぐらいで奴の腹部を蹴り飛ばした。


「ガハッ……!!」


 蹴り飛ばした後、オレは上空に飛び、蹴り飛ばされてる奴をピンポイントで頭部を踏み潰す。


「おい、お前はさっき『天性魔術を使わなくても勝てる』と言ったな。でも、オレは違う。お前なんて剣術(魔術)を使わなくても勝てるぞ」

「くっそぉおおお!!」


 奴は漆黒の魔力をオレに向けて放つ。

 オレはそれを手で振り払い、奴の喉元を刺す。


「ぐっ……」


 ま、そりゃ動けるよな。

 奴はオレの足を狙って蹴る。

 それをオレは後ろに跳んで避ける。


 が、後ろから奴の足は既にオレの顔面に届いていた。

 オレは振り返って奴の足と合わせたタイミングで奴の顔面を殴った。


 奴の足は届かず、奴は転倒する。


「もう威厳も、恐怖も、絶望もお前には無いな。もうお前に勝機は無い。ここでオレが殺してやるよ」


 殺風景。

 瓦礫と、炎と、冷たい風に寄られた。


 奴は笑った。


「何がおかしい?」

「まさか、ここまで私が追い込まれるとは思わなかったよ。でもお前は一つ間違っている。私がいつ天性魔術が切り札と言ったか?」


 奴から漏れ出す魔力。

 オレはすぐ察し、奴から距離を取る。


「……もういい。ならいっそこの国を吹き飛ばしてやる。計画は狂ったがこれで脅威となるゼルベルン・アルファ、ノア・ライトマン、アメリア・ランドロード・タレミア、そして未だ見ぬクインテット共を屠れる……!!」


 来る……!!


 奴は上空、王都を見渡せるぐらいまで飛び詠唱を始める。


 この時、オレは奴の詠唱を聞き驚愕した。

 その魔術は「世界最強」と称される五大魔術師(クインテット)でさえ誰一人、一人で使えない魔術。


「我らが《生点》より救い給え。

 絶望から救う光。天を仰ぎし希望の眼差し。

 その光は運命さえ断ち切り滅亡を欲する。

 天命。

 根絶。

 死滅。

 新たなる願い。

 そして穿たれ今ここに放つ……!!

 儀式魔術《嗜虐の滅光》……!!」

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