1-79 タレミア奪還決戦⑤
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『星極の術魔祭』一年生予選一次予選にてチームタウを牽引した光の剣術使いのルナ・サレムーンは答える。
――――チームユプシロンと対戦してみてどうでしたか?
「強かったよ。ほんと、ぼく一人で倒せると思ったんだけどね。さすが首席。ノアくんは本当に強かった」
――――そうですね。彼と直接対決しましたからね。でも、我々からしたら彼と対等に戦っているように見えましたが……?
「よしてください。あれで彼は本気出してませんよ。もし仮に彼が本気を出していたら、ぼくは本当に負けていました」
――――でも、あなたは彼に結界魔術を破るほどの魔術を出させたじゃないですか。
「……あんなの、彼が本気を出したとは言えませんよ」
――――と言うと?
「あれは光の剣術“【斬撃】三日月”。そして、大気中の魔力を丸ごと飲み込んで放った疑似的な『外界理論』。おそらくノアくんは手加減していたんだと思う」
――――それではもし仮に彼が内なる魔力を使っていたら?
「考えたくはないな。だって、そんなことしたら――――」
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奴が詠唱を唱える。
「《生点》と《死点》が締結する。
蝕知の餞別。死毒の誘惑。
その赤き反り返る花弁は冥府へと誘い、秋風の寒さを予兆する。
希望により絶望。
天国より地獄。
術の生贄より苦しみ、悲しみ、怒り、虚無感を被る。
我が魔術の生贄となりて切望せよ。
悪なる感情にてその花は貴殿らを後悔へと向かい惨死へと運ぶ。
さあ、この詞花によって殲滅せよ。
――――最高位魔術《彼岸花》」
ここで最高位魔術か……!!
奴はこれまでの戦闘で基本魔術は使わなかった。
きっぱり最高位魔術を使わないと思っていたが、まさか使うとはな。
オレの体質は最高位魔術でさえ受け付けない。
けど、奴がそんな無意味攻撃をするか?
「光の剣術“【秘剣】魔術返し”――――!!」
オレは複数の花弁から放たれ、オレに集中する瞬間を狙い剣を当てる。
オレだって成長するんだ。
最高位魔術も跳ね返せないで五大魔術師になれるかよ……!!
「くっ、うぉぉおおおおおぁぁぁああああああああ!!!!」
やはり最高位魔術は重い。
でも、それでもオレは負けない……!!
ここでグレイバル・サタンはオレの背後を取る。
嘘だろ。
まさかこの最高位魔術は囮か……!!
「魔界術《悪魔の極地》」
くそっ……!!
漆黒の魔力がオレに襲い掛かる。
どうする?
このままだとオレは負ける。
けど、この最高位魔術をほっとくわけにもいかない。
まだ避難できていない人もいるかもしれない。
ヤバい……!!
ここでオレはある声を耳にする。
『国民全員の避難完了しました』
……わかった。
オレは最高位魔術を奴のもとへ跳ね返す。
奴はそれを《消滅眼》で打ち消す。
流石だな。
でもお前はこれを打ち消せない。
オレは剣を引いて構える。
奴はその構えを察したように剣を高々と上げた。
先までとは違い、オレのこの剣術は世界最強ですら止められない。
リーナとの戦いで手に入れた限界を超えた光の剣術“【斬撃】三日月”。
無限に魔力を放出する《天空の聖剣》。
行くぞ、グレイバル・サタン。
これがオレの本気だ。
「光の剣術“【斬撃】三日月”――――!!」
「魔天剣術“”断刃輪”――――!!」
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「――――世界ごと断ち切ってしまうから」
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奴は確かにオレの剣術を受け止めた。
が、それも虚しく奴の大剣は折れる。
そしてオレの剣はグレイバル・サタンの腹部、いや建造物、いや王都にそびえ立つ壁、その奥の山まで。
一直線上にズレた。
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